「震災特需」と「商人の品格」
商人舎ホーム―ページの巻頭に、
桜の絵柄の「東北関東大津波大震災へのメッセージ」と並べて、
日の丸富士の「東日本大震災チャリティセミナー」のお知らせを載せました。
ご協力、ご参集を、要請します。
私は、5月12日(木)の12:30から、
この企画のトップバッターで、
メッセージを発信します。
夕方の17:00に終わる最終講座まで、
私もともに会場で、被災地の商人を支援し、応援します。
その会場は、大阪・中之島のリーガロイヤルホテル大阪。
さて、この商人舎ホームページの巻頭テロップ。
「流通ニュース」。
商人舎と同志のように提携していて、
あくまで客観的に、第三者的に、冷静に、
小売流通・サービス業のニュースを提供し続ける。
その流通ニュースの画面上段にボタンが並ぶ。
左から、HOME 経営戦略 店舗 月次売上
決算 商品 トピックス IT 海外
この左から4番目の「月次売上」をクリックする。
そうすると、「ニュース一覧(月次売上)」の下に、
記事ごとの見出しが、ずらっと出てくる。
その見出しに表わされているのは、
協会、企業ごとの3月の売上高前年同月比。
4月20日段階の記事タイトルだけだが、
全部、抜き出してみよう。
* コンビニエンスストア/3月の全店売上9.2%増、既存店7.7%増 (2011年04月20日)
* セブン-イレブン/3月の売上12.2%増、既存店9.5%増 (2011年04月20日)
* マツモトキヨシHD/3月の全店売上高15.2%増、既存店7.3%増 (2011年04月20日)
* AOKI/3月の売上2.0%減、既存店2.8%減 (2011年04月20日)
* モスバーガー/3月の売上3.7%減、既存店2.7%減 (2011年04月20日)
* ゲンキー/3月の売上33.4%増、既存店は24.0%増 (2011年04月20日)
* カスミ/3月の売上高1.5%増の177億円 (2011年04月19日)
* ヤオコー/3月の全店売上高20.4%増、既存店9.6%増 (2011年04月19日)
* アークス/3月の売上5.6%増、既存店3.9%増 (2011年04月19日)
* 吉野家/3月の売上3.1%減、既存店0.8%増 (2011年04月19日)
* CCC/3月の売上0.1%増、既存店2.1%減 (2011年04月19日)
* J.フロントリテイリング/3月の百貨店10.9%減、SM3.2%増 (2011年04月18日)
* 高島屋グループ/震災で、3月の百貨店総売上16.8%減 (2011年04月18日)
* H2O/3月の百貨店9.7%増、SM4.3%増 (2011年04月18日)
* グローウェルHD/3月の売上22.7%増、既存店16.9%増 (2011年04月18日)
* コスモス薬品/3月の売上22.2%増、既存店10.7%増 (2011年04月18日)
* 青山商事/3月の青山商事の売上2.0%減、既存店3.0%減 (2011年04月18日)
* キタムラ/3月の売上16.7%減の83億3600万円 (2011年04月18日)
* 日本KFC/3月の売上、KFC0.4%増、ピザハット10.4%減 (2011年04月18日)
* 神戸物産/3月の売上高18.3%増の135億円 (2011年04月18日)
* マックスバリュ西日本/3月の売上11.3%増、既存店0.7%増 (2011年04月15日)
* マルエツ/3月の売上12.8%増、既存店8.2%増 (2011年04月15日)
* マックスバリュ東海/3月の売上13.9%増、既存店6.9%増 (2011年04月15日)
* マックスバリュ東北/3月の売上6.1%増、既存店6.7%増 (2011年04月15日)
* 大黒天物産/3月の売上14.4%増 (2011年04月15日)
* カネ美食品/3月の売上0.8%増の67億円 (2011年04月15日)
* ユニー/3月の売上0.9%減、既存店0.9%増 (2011年04月14日)
* コーナン商事/3月の売上11.0%増、既存店は9.3%増 (2011年04月14日)
* ゲオ/3月の直営店売上6.9%増、既存店1.9%増 (2011年04月14日)
* 日本通信販売協会/2月の売上2.5%増の1210億円 (2011年04月14日)
* アルペン/3月の全店売上11.4%減、既存店13.5%減 (2011年04月14日)
* マックスバリュ北海道/3月の売上8.9%増、既存店6.8%増 (2011年04月14日)
* コロワイド/3月の売上21.0%減、既存店13.8%減 (2011年04月14日)
* コナカ/3月の売上22.6%減、既存店17.1%減 (2011年04月14日)
* セブンネットショッピング/3月はジャニーズ関連商品が好調 (2011年04月14日)
* 三城ホールディングス/3月の売上2.2%減、既存店は0.7%増 (2011年04月14日)
* スーパーバリュー/3月の売上高12.8%増 (2011年04月14日)
* スギHD/3月の売上16.5%増、既存店11.7%増 (2011年04月13日)
* カワチ薬品/3月の売上6.4%増、既存店は4.4%増 (2011年04月13日)
* ココカラファイン/3月の全店78.6%増、既存店10.2%増 (2011年04月13日)
* サイゼリヤ/3月の売上7.4%減、既存店は11.2%減 (2011年04月13日)
* かっぱ寿司/3月の売上19.5%減の59億円 (2011年04月13日)
* カカクコム/3月の総ページビュー5.1%減の12億2827万 (2011年04月13日)
* ジョイフル/3月の売上1.8%減、既存店1.7%減 (2011年04月13日)
* ローソン/3月の全店売上10.0%増、既存店7.2%増 (2011年04月12日)
* ヤマダ電機/3月の売上高15.7%減、店舗数は2726店へ (2011年04月12日)
* ビール類市場/3月は震災で初めて新ジャンルが前年割れ (2011年04月12日)
* サークルKサンクス/3月の既存店日販5.5%増48万6000円 (2011年04月12日)
* 良品計画/3月の売上10.7%減、直営既存店18.2%減 (2011年04月12日)
* ココス/3月の売上13.1%減、既存店は7.2%減 (2011年04月12日)
* スリーエフ/3月の既存店平均日販13.7%増の48万4000円 (2011年04月12日)
* ファミリーマート/3月の売上12.6%増、既存店日販5.2%増 (2011年04月11日)
* コメリ/3月の売上17.7%増、既存店12.8%増 (2011年04月11日)
* ビックカメラ/3月の売上高12.1%減 (2011年04月11日)
* ミニストップ/3月既存店平均日販9.6%増の48万5000円 (2011年04月11日)
* PLANT/3月の売上9.2%増、スーパーセンター9.6%増 (2011年04月11日)
* 王将フードサービス/3月の既存店売上6.7%減 (2011年04月11日)
* 大塚家具/3月の全店売上高15.0%減 (2011年04月11日)
* ポプラ/3月の既存店日商4.2%増の37万6000円 (2011年04月11日)
* ハニーズ/3月の売上28.1%減、既存店27.7%減 (2011年04月11日)
* マクドナルド/休業店舗の影響で、3月の売上12.8%減、既存店7.3%減 (2011年04月08日)
* ケーズHD/3月の売上27.5%減、既存店は31.3%減 (2011年04月08日)
* バロー/3月のSM事業売上20.2%増、既存店7.3%増 (2011年04月08日)
* ゼビオ/3月のゼビオ全店売上10.2%減、既存店15.5%減 (2011年04月08日)
* スターバックス/3月の売上6.8%減、既存店10.1%減 (2011年04月08日)
* ワタミ/3月の売上17.9%減の58.8億円 (2011年04月08日)
* 原信ナルスHD/3月のSM売上11.0%増、既存店8.5%増 (2011年04月08日)
* 大庄/3月の売上23.0%減、既存店21.1%減 (2011年04月08日)
* マックスバリュ東海/3月の売上13.9%増、既存店6.9%増 (2011年04月07日)
* サンエー・インターナショナル/3月の売上19.6%減、既存店21.7%減 (2011年04月07日)
* スタートトゥデイ/3月の商品取扱高5.4%増の41億7300万円 (2011年04月06日)
* すき家/3月の売上14.6%増、既存店は7.0%増 (2011年04月05日)
* パルコ/3月の仙台店売上げ64.8%減 (2011年04月04日)
* チヨダ/2月の売上18.7%減、既存店17.5%減 (2011年04月04日)
* オークワ/3月の売上6.0%増、既存店2.9%増 (2011年04月04日)
* ABCマート/3月の売上10.8%減、既存店は11.0%減 (2011年04月04日)
* ユナイテッドアローズ/3月の売上18.9%減、既存店は17.0%減 (2011年04月04日)
* ポイント/3月の売上8.8%減、既存店は21.4%減 (2011年04月04日)
* カッパ・クリエイト/3月は売上高24.7%減 (2011年04月04日)
* アークランドサカモト/3月度の既存店売上8.8%増 (2011年04月04日)
* ジーフット/3月の売上6.6%減、既存店13.7%減 (2011年04月04日)
* ブックオフ/3月の売上7.0%減、既存店10.9%減 (2011年04月04日)
* 三越伊勢丹HD/3月の売上は三越銀座店11.6%増、伊勢丹新宿店24.7%減 (2011年04月01日)
* ユニクロ/震災の影響で3月の既存店売上10.5%減 (2011年04月01日)
* 大丸松坂屋百貨店/3月の売上高9.6%減 (2011年04月01日)
* 高島屋/3月の関東地区店頭売上25.9%減も月末は回復傾向 (2011年04月01日)
* 阪急阪神百貨店/3月の阪急本店3.3%減、阪神本店4.1%減 (2011年04月01日)
* ニトリ/3月の全店売上高8.5%減、既存店17.2%減 (2011年04月01日)
* JR名古屋タカシマヤ/3月の売上2.1%減の90億3600万円 (2011年04月01日)
* 松屋/3月の銀座本店31.6%減 (2011年04月01日)
* 松屋フーズ/3月の売上12.5%増、既存店7.5%増 (2011年04月01日)
凄いニュース量だが、
業態別にまとめると、
食品スーパーマーケットの3月の成績は、
二桁の伸び。
被災したカスミは、売上高1.5%増の177億円 。
同じくマックスバリュ東北は、売上6.1%増、既存店6.7%増。
しかし、それ以外の企業。
ヤオコー/全店売上高20.4%増、既存店9.6%増
バロー/SM事業売上20.2%増、既存店7.3%増
神戸物産/売上高18.3%増の135億円
大黒天物産/売上14.4%増
マルエツ/売上12.8%増、既存店8.2%増
マックスバリュ東海/売上13.9%増、既存店6.9%増
マックスバリュ西日本/売上11.3%増、既存店0.7%増
原信ナルスHD/SM売上11.0%増、既存店8.5%増
北海道は少しだけ、ちがった。
アークス/売上5.6%増、既存店3.9%増
マックスバリュ北海道/売上8.9%増、既存店6.8%増
コンビニも各チェーンとも好調。
セブン-イレブン/売上12.2%増、既存店9.5%増
ローソン/全店売上10.0%増、既存店7.2%増
ファミリーマート/売上12.6%増、既存店日販5.2%増
サークルKサンクス/既存店日販5.5%増48万6000円
ミニストップ/既存店平均日販9.6%増の48万5000円
スリーエフ/既存店平均日販13.7%増の48万4000円
ポプラ/既存店日商4.2%増の37万6000円
ドラッグストアはいずれも、超絶好調。
ココカラファイン/全店78.6%増、既存店10.2%増
ゲンキー/売上33.4%増、既存店は24.0%増
グローウェルHD/売上22.7%増、既存店16.9%増
コスモス薬品/売上22.2%増、既存店10.7%増
スギHD/売上16.5%増、既存店11.7%増
マツモトキヨシHD/全店売上高15.2%増、既存店7.3%増
カワチ薬品/売上6.4%増、既存店は4.4%増
ホームセンターも、絶好調。
コメリ/売上17.7%増、既存店12.8%増
コーナン商事/売上11.0%増、既存店は9.3%増
アークランドサカモト/既存店売上8.8%増
対して、百貨店、総合スーパーの大型店業態、
ファッションチェーン、専門店チェーン、
さらに外食チェーン、みな悪い。
こちらはずっと続くトレンド。
何しろユニクロまでが、
前年対比マイナス10.5%。
「震災特需」
それがあった業態と地域。
それがなかった業態と地域。
鮮明に浮かび上がった。
そこで、「特需」を受けた企業群は、
どう行動するか。
もちろんこれは、
「未来の自分の売上げの先食い」
という側面もある。
ただし3月にはすべての企業が、
特売を控えた。
すなわち定価で販売し、
これだけの売上げ増だった。
粗利益は上がっただろうし、
営業利益も出たはず。
今日は、はっきりと言っておこう。
被災した企業や地域は、
壮絶だ。
「震災特需」の利益。
いかに使うかが、
商人の品格である。
本当の志が、わかる。
さて昨日は、
商業経営問題研究会(通称RMLC) の4月例会。
この日の会場は、港区虎ノ門。
日本チェーンストア協会会議室。
会議室には歴代の協会長の顔写真が並ぶ。
初代会長の㈱ダイエー創業者の中内功さん、
二代目のイオン㈱名誉会長の岡田卓也さん、
三代目の㈱セブン&アイ・ホールディングス名誉会長の伊藤雅俊さん。
皆さん、お若い。
しかし、凄い写真が並びます。
みな、志と品格を備えた知識商人ばかり。
その歴代協会長の皆さんに見つめられて始まったRMLC。
今回は高木和成代表世話人の紹介で、
㈱やまと社長の小林久さんが、
ゲストスピーカーを務めてくれた。
やまとは、山梨県内のローカル・スーパーマーケット。
本部がある韮崎市を中心に、
12店舗を展開し、年商62億円。
10年前に、先代から引き継いだ時には、赤字会社だった。
それからの「破たんスーパーマーケットの再生物語」を、
2時間ほど話してもらった。
「高齢化が進む地域で、やまとは60から70代がターゲット」
「居抜き物件、競売物件でローコスト経営に徹する」
「人が嫌がること、まねのできないことをやる」
「店はお客を選べないが、お客は店を選べる」
「だから、一流の地域三番手になろう!」
やまとは、500グラム298円の弁当をつくり、売る。
500グラム一律だから、
おかずが少なければご飯の量が多く、
トンカツ弁当のように重量がかさむと、ご飯が少ない。
これがお小遣いの限られたお年寄りや若者に大人気。
震災後は300円に値上げし、
4円分を義援金にしている。
1年にすれば500万の寄付になる。
これを「10年間は続ける」という。
さらには、家庭の生ゴミを店頭で回収。
堆肥化して、契約農家に無料で提供。
できた野菜はやまとで販売するというエコの取り組み。
生ごみを持ち込んだ会員のカードには、
5円分のポイントを付ける。
生ごみを処理してもらって、ポイントがふえる。
お客には二重のメリットだが、小林さんは、
「わざわざ持参したお客への感謝だから」。
やまとは計画停電のときにも、営業を続けた。
お客が車のライトをつけて、その間、
店内を照らしてくれたという。
まさに、地域密着。
糸井重里さんいうところの「親しい商売」。
4月例会の後半は、
結城義晴の東北関東大津波大地震現地レポート。
写真を見ていただきながら、
被災地の小売業の活躍を報告し、
私なりのまとめを話した。
隣は「飯能の流通仙人」こと、杉山昭次郎先生。
久しぶりに飯能から参加いただいた。
さらにこの日は、
㈱ライフコーポレーション常務の並木利昭さんも参加。
並木さんも被災した石巻市に支援物資を持って訪問した。
改めてライフラインを守るスーパーマーケットの役割を実感したと語った。
講演後に小林さん、 高木和成さんと写真。
元気いっぱいの小林さんの経営。
「一流の地域三番手」とは、
多分、フィリップ・コトラーのいう「ニッチャー」のことを、
意味するんだと思う。
一番手のマーケット・リーダー、
二番手のマーケット・チャレンジャーに対して、
三番手以下のフォロワーではなく、
ポジショニングを確立したニッチャーになろうということだ。
それを「一流の」という形容詞をつけて表現した。
規模も有効だし、
それがなければできないことがたくさんある。
しかし規模があってもできないことが、
これも山ほどある。
どんな役割を選ぶか、
それに徹することができるか。
これが「親しい商売」の鍵を握ることだ。
そしてそれが商人の品格となる。
<結城義晴>
2 件のコメント
過日は、私のような若輩者の話を業界の先輩方に聞いていただき、心より感謝申し上げます。ご無礼な話ばかりでご迷惑をおかけしたかもしれませんが、世間知らずの戯言とご勘弁ください。
都会も田舎も厳しい競争が続きます。
これからも「なくてはならないローカルスーパー」を目指して、地道に努力していく所存です。
ご参加の皆様の、益々のご発展を山梨韮崎の地よりお祈り申しあげます。
どうもありがとうございました
小林久さま、一昨日はありがとうございました。
元気いっぱいの経営、続けてください。
ドラッカーの言う「自らの強み」にしてください。
それが「一流の三番手」すなわち「唯一のニッチャー」につながります。