ジジの帰還[2011日曜版vol19]
2日のあいだ、
ボクはひとりで、
オリのなかに、
いました。
そのあいだに、
こんなになっていました。
「トリミング」といいます。
まいとし、つゆのあとに、
トリミング、してもらいます。
でも、ことしは、
5月のはじめ。
にどめの引っ越しで、
ボクが病院にとまる日に、
トリミングはおこなわれたのでした。
そして、こんなになりました。
ここにきたときは、
こんなぐあいでした。
それからまた、
キャリーボックスにいれられた。
しみず動物病院。
この日は雨でした。
ユウキヨシハルのおとうさんが、
むかえにきてくれました。
そして、もとのおうちに。
ゲンカンも、
かわっていました。
うちのなかには、
ダンボールが山のように、
つまれていました。
ボクは、そういうのが、
だいすきです。
オリのなかにはいっていたから、
きゅうくつなおもいをしていました。
だからおもいきりはしったり、
いろいろなところをタンケンしたり。
でも、おなかがすいていました。
オリのなかでは、
たべる気がしないのです。
おうちで食べるのが、
いちばんいい。
夜には、
おとうさんとならんで、
ダンボールにかこまれて、
食事しました。
これも、たのしかった。
まだまだ、うちのなかは、
かたづきません。
でも、
「ひとつずつ、
すこしずつ、
いっぽずつ」
かたづいていても、
かたづいていなくても、
ボクには、ぜんぜん、
カンケーありません。
ボクじしんは、まいとし、
トリミングします。
からだ中の毛を、
かりとってもらう。
ほんとうにすっきりします。
ボクはそれでいいんです。
ボクは、とくに、
ほしいものなんて、
ありません。
生きているだけで、
いいんです。
生きていることを、
じっかんできることだけで、
いいんです。
きょうは母の日。
かあさん、ありがとう。
ボクは、生きています。
<『ジジの気分』(未刊)より)