サンフランシスコ地区の典型的な小型店とそのポジショニング競争
カリフォルニア州サンフランシスコ。
私の大好きな街です。
浅野秀二先生は、このサンフランシスコ在住。
若いころ、ある大手企業の入社面接のとき、
「私はこのサンフランシスコの街と結婚したい」と、
言い切ったそうだ。
素晴らしい。
この街が今回の旅の最後になる。
私はできるだけ、
旅の最後の訪問地として、
海辺の街を選びます。
なんというか、それが、
私の心を落ち着かせてくれるからです。
もちろん、ほんとうは、
あっちこっちと移動するのは好きではありません。
ひとつところで落ち着いていたい。
だから商人舎第9回ベーシック・コースは、
ネバダ州ラスベガスに居座った。
それがとても良かった。
私も7日間ラスベガスにいました。
それも良かった。
今回は居座って、最後にサンフランシスコ。
すべて良かったと思います。
さて、そのサンフランシスコでの視察と研修。
万代ドライデイリー会のメンバー。
ちょっと元気がないので、
もう一枚「グー!」
少し古いか?
トレーダージョーでのインタビュー。
熱心にメモをとる。
万代惣菜部チーフバイヤーの入江正徳さん以外、
全員がメーカー、卸売り会社の役員・社員。
それがこの研修の特徴。
浅野先生も絶好調。
大和魂を持つ国際人。
この店は95人~200人の従業員が働く。
大学生が多く、自分の授業に合わせて、
仕事の時間を調整しているから、
人数は多くなるが、うまくシフトが組まれて、
オペレーションが成り立っている。
そのうえ、トレーダージョーの店舗での業務は、
主に三つしかない。
①キャッシング(レジの仕事)
②クレンリネス(掃除)
③商品陳列
あとは全員でフレンドリーサービスとホスピタリティ。
実にシンプルなシステムで、
チェーン・オペレーションのお手本のような会社。
これを本当のチェーン・オペレーションという。
1万5000平方フィート(280坪)のアメリカ最強の小型店。
(この店については来週詳細の報告の予定)
そのトレーダージョーに対して、
ホールフーズ・マーケットが取り組んだ小型店実験。
3月にこのブログで詳細にレポートしたが、
この店が、順調に、オペレーションをこなし、
地域になじんでいる。
トレーダージョーにホールフーズ。
どちらも健康・安全・環境対応型小型店。
かたや低価格、かたや高価格でも胸を張る。
ターゲティングの違い、ポジショニングの確立。
見事な経営ぶりに、心から嬉しくなる。
二者に対してセーフウェイの「ザ・マーケット」。
ご存知、米国第2位スーパーマーケットの小型店。
まだまだ問題点多し。
ただし立地は抜群。
だから客数は多い。
しかし寿司コーナー、サンドイッチの対面販売コーナーなど、
課題だらけ。
そして生鮮食品に関しても、
まだまだ小型のハンディキャップを克服していない。
そのセーフウェイのレギュラー店。
しかも「ニューライフスタイルストア」。
この店は見事な繁盛店となっている。
同じ店づくりでも、こうも違うかと考えさせられる。
小売業のポジショニングの中に、
コミュニケーション、プロモーション、
そしてパーソナリティやイメージがある。
この店はそれが際立ってよろしい。
それがよろしいから、客数が増える。
すると、さらに従業員のモチベーションが上がるし、
商品回転もよくなる。
「小売業は売れれば売れるほど、
易しくなる」
その典型の店だ。
そしてスプラウツ・ファーマーズマーケット。
サンフラワー・マーケットと同じフォーマット。
スーパーマーケットという業態が分化してきた。
その分化の中のひとつのフォーマットとして、
「ファーマーズマーケット」はポジショニングが確立された。
これは米国スーパーマーケット産業の大きな特徴である。
私は、まさに「フォーマット」の時代が来たことを、
この店が象徴していると思う。
(ファーマーズマーケットに関しての考察は来週)
最後はバークレー・ボウル。
その圧巻の青果部門。
他の追随を許さない。
この店ほどポジショニングが際立つ存在はない。
だから大商圏の超繁盛店舗となる。
(この店の詳細も来週紹介の予定)
最後の講義2時間と15分ほど。
いったい何度講義をしただろう。
バスの中でも、浅野先生と交代で語り続けた。
いったい何時間講義をしたのだろう。
それでもまだ足りない。
メーカー・卸のみなさん向けに、
業態とフォーマットのこと、
ポジショニングのこと、
わかりやすく話したつもり。
そしてコモディティ化現象とプライベートブランドの関係。
これは欠かせない。
ゲータレードとパワーレードを引き合いに出して、
コモディティ化とプライベートブランドを解説した。
ピーター・ドラッカー先生の「見る・聞く」
この姿勢を貫いた研修となった。
私は満足した。
すべてのスケジュールが終わったら、
自由時間。
浅野先生と連れだって、
フィッシャーマンズ・ワーフ。
金曜日だが休日で、
大にぎわい。
海辺のマーケットの陳列も、
このように美しい。
これが商売の原点であり、
農産国アメリカのスタンダード。
だからアメリカのスーパーマーケットは、
どの店も美しいプレゼンテーションとなっている。
もちろん、プレゼンテーションは、
売るために美しくするのではない。
店のポジショニングを確立する要素のひとつなのである。
メンバーと出会って、
アルカトラズ島を背景に記念写真。
夕方からお別れパーティ。
イタリア料理の「T・ピアセッラ」。
みんな、自由時間も満喫し、
満足顔。
お疲れ様、お元気様。
団長挨拶は㈱ケイ低温フーズ社長の龍首文昭さん。
そして万代からたった一人参加した入江正徳さんの乾杯の音頭。
充実した研修会だった。
すべてのみなさんに感謝。
事務局の前田さん、小阪さん、佐藤さんにも、
そして誰よりも浅野秀二先生に、
心から感謝。
いい旅でした。
<結城義晴>
[追伸]
すべてが終わった夜10時過ぎ、
ヒルトンホテルの一室に向かった。
㈱たいらやの新入社員研修のみなさんに合流。
村上篤三郎社長自らが率いている。
コーディネーターはノブミゾグチさん。
私は、スーパーマーケットの仕事に就いた皆さんに、
心からのエールを贈った。