ヤマト運輸の「安全第一・効率第二」と村上春樹の「非現実的な夢想家でなければならない」
Everybody! Good Monday!
[vol27]
2011年第27週、7月第2週。
今月の商人舎標語。
「明日のために今日を決める」
「未来を築くために初めになすべきことは、
明日何をなすべきかを決めることではなく、
明日をつくるために今日、
何をなすべきかを決めることである」
ピーター・ドラッカー教授の『創造する経営者』からいただいた今月の標語。
「明日をつくるために」
「今日なすべきこと」
基本的なスタンスはここにある。
課題は、きっと、誰でもわかっている。
その課題や問題解決の順路と手順はいかなるものか、
そしてそのために今日何をすべきか。
これこそリーダーシップの根本である。
それが今月の商人舎標語。
さて今週のメーンイベントは、
木曜日の七夕。
7月のことを文月(ふづき、ふみづき)というが、
それは七夕に、
様々な願いを書きつけるところからきているという説が有力。
したがって7月は、
七夕から名づけられた月ともいえる。
ウィキペディアでは、
「現代の七夕祭り」を、次のように評する。
「神事との関わりも薄れ、もっぱら、
観光客や地元商店街等への集客を
目当てとしたものとなっている」
「商店街との親和性が高く、
戦後の復興期以降、
商業イベントとして
東日本を中心に日本各地で開催されてきた」
「昼間のイベントと、
夕方から夜にかけての花火」
この組み合わせがほとんどで、
「伝統的あるいは神事としての七夕の風習」には、
無頓着。
そのものずばりの表現で、
私はこういう割り切った物言いが好きだ。
ただし今年は違う。
七夕の今週くらい、
日本中の人々が、
「新時代」への願いを込めて、
「文月」らしい生活をしてみるのもいいだろう。
さて日経新聞のコラム『時流地流』
今朝のタイトルは、
「安全第一の虚妄を脱するには」
ヒロシマとフクシマ。
ヒロシマ、ナガサキの経験があるにもかかわらず、
フクシマが起こった。
「原子力に対する日本の拒否感はなぜ消えたのか」
それがコラムニストの問題意識。
作家・村上春樹の答えは、
「コスト、利益優先の『効率』だ」
同じ村上姓の村上龍が、
ヤマト運輸元社長・故小倉昌男の言葉を紹介。
「全国の工場や現場に『安全第一』の標語が掲げられる」が、
「安全第一」だけでは効き目が薄い。
小倉氏は、安全対策の徹底のためには、
「安全第一、効率第二」と、
書かねばならないという。
「効率第二」の念押しの仕方がヤマトらしい。
私も極めてリアリティのある見識だと思う。
コラムニストの主張は、
「効率第二は戦後のパラダイムの転換を意味する」
しかし日経新聞紙上だけに、
「非現実的との批判も出よう」と、
「効率第二」と言い切ることに、
ちょっと慎重。
小売業やサービス業ならば、
「顧客第一・効率第二」
ドラッカー教授は、
企業の目的を「顧客の創造」と断じる。
そう、顧客第一であることが、長い目で見ると、
効率をよりよくすることへの最短方法である。
今回のフクシマでも、東電はいま、
「安全第一」であったほうが、
最終的な「効率」につながったと、
実感しているに違いない。
コラムの結論は、
村上春樹の東日本大震災に対してのコメントに委ねられる。
『非現実的な夢想家でなければならない』
この言葉を引用して、
「作家の情緒論として切り捨ててよいのだろうか」と結ぶ。
結論は私の考えとはやや異なるかもしれないが、
「非現実的な夢想家」に関して、
七夕の週の態度としては、良いかもしれない。
今週は私たちも、
村上春樹になりきってもいいだろう。
では、今週も、
Everybody! Good Monday!
<結城義晴>