朝日新聞「原発ゼロ社会」キャンペーンと日経MJ第39回専門店調査
「ストレステスト」について書いたら、皮肉にも、
このブログそのものにトラブル。
昨日午後7時半ごろ、
書き終わっていったん公開したが、
そのあと校正段階で「プライベート」という状態に陥って、
非公開となってしまった。
今朝、メールなどいただいてチェックして気づいた。
とうとう毎日更新が途切れたか。
実質的には公開されていなかったのだから、
阪神タイガースの金本知憲のごとく記念すべき(?)「途切れた日」が、
昨日ということになる。
自分では、書いていたのだから許してください、という気分でも、
例えばこれが原発だったらと考えると、
そうはいかない。
二重三重のチェック体制を確認しつつ、
再びみたび、「毎日更新」を宣言させていただく。
ご心配、ご迷惑をおかけしました。
お詫びするとともに、
このようなことのないよう、
毎日励みます。
さて、為替レート。
ロンドン市場、ニューヨーク市場で、
1ドル=79円台と高騰。
日経平均株価の一時、
9907円81銭まで下落。
原因はヨーロッパの財政不安。
逆に、世界が繋がっていることを実感させられる。
朝日新聞がキャンペーンを始めた。
「原発ゼロ社会」
大胆と言えば大胆。
朝日らしいといえば朝日らしい。
論説主幹・大軒由敬自ら筆をとって、
社説特集を組んだ。
主張はいたってシンプル。
社説の冒頭に出てくる。
「日本のエネルギー政策を大転換し、
原子力発電に頼らない社会を早く実現しなければならない」
そのために「原発ゼロ社会」を、
将来目標に定めるよう提言したいらしい。
どうするか。
「脱原発を進めるポイントは、
時間軸をもつことである」
「ここで一気にゼロとすれば電力不足となり、
生活や経済活動が大きな打撃を受けるだろう。
過度に無理せず着実に減らしていく方が現実的であり、
結局は近道にもなるはずだ」
なんとなく説得力のある言い回し。
「もう新たな原子炉は建設せずに40年で順に止めていくと、
2050年にはゼロになる」
「代替電源の開発・導入に力を入れ、節電にも努めれば、
ゼロの日をそれだけ早めることができる」
「代替電源の希望の星は、
風力や太陽光を始めとする自然エネルギーだ」
美しいデザインだ。
ちょっと鳩山由紀夫風というか。
菅直人的というか。
だからこの社説は少し反省して、
リアリティを持たせ、次のように言う。
「たとえば『20年後にゼロ』という目標」を掲げ、
「数年ごとに計画を見直すことにしたらどうだろうか」
そして国民にも責任の一端を押し付ける。
「多くの国民も電力の源についてとくに考えずに、
好きなだけ電気を使う生活を楽しんできた」
「原発から脱し分散型の電源を選ぶことは、
エネルギー政策をお任せ型から参加型へ転換し、
分権的な社会をめざすことにつながる」
そして美しく結びとする。
「それは、21世紀型の持続可能な社会を築くことにも通じる」
この社説特集は自ら語るように、
「原発ゼロ社会」へ向けたデッサンにすぎない。
朝日新聞らしいというところを知ったうえで、
このデッサン、仕事をするみなさんは、
どう受け止めるだろうか。
日本経済新聞は、
「原発の安全性」を十二分に確保したうえでの、
再稼働を志向するだろう。
産業復興のためには、
「電力を我慢する」ことの長期化など論外だからだ。
ピーター・ドラッカー先生が生きていたら、
今回の東日本大震災をどう受け止め、
フクシマ問題にどう活路を求めるだろう。
私はいつも、考える。
「オクシモロン」で考える。
あちらを立てて、こちらも立てる。
二律背反で片付かないのが21世紀の問題解決。
その典型が「原発問題」だろう。
さて今日の日経MJは、
第39回専門店調査。
知識商人ならば、ぜひとも、
保存版として手元に置いてほしい。
「総合と専門」
両者の闘いの繰り返しこそが、
ビジネスの歴史。
そして今、日本の小売業では、
「専門」が圧倒的な優位にある。
消費社会が成熟し、
便利になればなるほど、
「スペシャルティ」が求められる。
作家の椎名誠は、
すでに昭和50年代初めに「痴呆百貨店」と揶揄し、
最大規模の総合小売店の衰退を予見した。
高山邦輔、島田陽介、緒方知行らは、
昭和60年代に「あいまい総合」と称して、
総合スーパーの衰退を示唆した。
ヤオコー会長川野幸夫は、
「専門店としてのスーパーマーケット」を標ぼうする。
その専門店の調査。
380社の総売上高は21兆5513億円。
その伸び率はプラス4.6%。
そして営業利益は22.3%プラス。
総合と比べると、驚くべき成長。
一面に掲げられたのは、
その営業利益ランキング。
1位 ユニクロ 営業利益1277億円(昨対比15.4%)
2位 ヤマダ電機 1168億4500万円(38.2%)
3位 ヨドバシカメラ 609億8700万円(28.5%)
4位 ニトリホールディングス 526億6500万円(13.4%)
ほんとうに強い企業ばかり。
5位 ケーズホールディングス 409億3000万円(86.9%)
6位 しまむら 397億3000万円(8.0%)
7位 エディオン 263億3900万円(150.6%)
8位 エービーシー・マート 236億8700万円(6.3%)
9位 カインズ 222億円(13.3%)
10位 ドン・キホーテ 172億1000万円(18.2%)
ケーズ、エディオンが営業利益伸び率が高いのは、
エコポイントという超追い風の効果。
11位 コーナン商事 166億1600万円(20.5%)
12位 サンドラッグ 164億3000万円(8.8%)
13位 マツモトキヨシホールディングス 154億9100万円(3.9%)
14位 ポイント 145億8600万円(▲11.4%)
15位 カルチュア・コンビニエンス・クラブ 144億4100万円(105.2%)
16位 コメリ 135億0200万円(14.4%)
17位 ビッグカメラ 132億5000万円(59.7%)
18位 青山商事 124億1900万円(▲4.5%)
19位 コジマ 118億8100万円(82.9%)
20位 オートバックスセブン 117億4900万円(11.5%)。
家電・カメラ専門店チェーンが6社。
ホームセンター・ホームファッションが4社。
ドラッグストアが2社。
衣料品・カジュアルファッションチェーンが4社。
それ以外は総合ディスカウンター、
靴チェーン、CDレンタル、カー用品チェーン。
地方百貨店やあいまい総合の衰退によって、
スペシャルティ・ストアが伸びた。
それが如実に表れた。
日経MJでは事細かに、
ジャンル別売上高ランキングを提示してくれる。
それを見ると、やや業態地図が固まった感がある。
そうすれば、今度は総合からの巻き返しが起こる。
イオンのザ・ビッグエクストラの登場など、
その予兆である。
第39回専門店調査は、
日経MJ を見ていただくとして、
「総合」と「専門」とのシェア争奪戦の中で、
現在は圧倒的に「専門」に勝利の凱歌が上がっていることを、
再認識したい。
ちなみにアメリカでは「総合業態」が圧勝している。
ウォルマート・スーパーセンター、
スーパーターゲット、
それにコストコやサムズクラブ。
総合の便利さが、
究極のディスティネーションであることを、
このことが示している。
ただしこれらはことごとく、
ディスカウント方式を採用し、
仕組みで利益を上げる方法を確立した。
日本とかの地の最大の差異である。
その意味で、
まだまだ総合と専門の葛藤は繰り返される。
私はそれを確信している。
<結城義晴>