海江田の涙に、「最悪を覚悟して最善を尽くせ」
新潟・福島両県の豪雨。
「記録的」との表現。
停滞する前線。
そこに湿った空気が流れ込んだ。
局地的には1時間雨量が120ミリを超えた。
降り始めからの雨量が1000ミリに達したエリアも。
2004年の「新潟・福島豪雨」を超えた。
今日30日正午現在、
両県の死者・行方不明者6人。
ご冥福を祈り、お見舞い申し上げたい。
それにしても信濃川水系の氾濫。
空からの映像がすごい。
今年は水難の年。
津波に台風。
江戸の昔なら、
水の神様に祈りをささげるところだろう。
一方、ニューヨーク外国為替市場。
円相場は一時、
1ドル76円72銭まで急騰。
原因はドル売りの加速。
円が強いわけではない。
ドルが弱い。
ユーロも不安。
そこで円が買われる。
東日本大震災後の3月17日、
戦後最高値の76円25銭を記録。
アメリカの債務上限問題に、
解決のめどが立たねば、
来週明けには、
「対ドル円戦後最高値」が更新される。
こちらは為替の神様に祈りをささげ、
人柱を立てねばならないだろう。
首相の、その「首」という。
自然界から受ける水難にも、
世界経済からもたらされる円高にも、
「最悪を覚悟して最善を尽くす」
今月の商人舎標語。
「明日のために今日を決める」
「未来を築くために初めになすべきことは、
明日何をなすべきかを決めることではなく、
明日をつくるために今日、
何をなすべきかを決めることである」
<ピーター・ドラッカー>
常日頃、この姿勢を崩してはならない。
けれども、難題がこれでもかと降りかかる。
そんなときのために、
「最悪を覚悟して最善を尽くす」
それにしても海江田万里。
経済産業大臣、62歳。
衆議院経済産業委員会。
自民党の赤沢亮正衆院議員との質疑の最中。
海江田は今月7日、
「いずれ責任を取る」と表明している。
赤沢の追求に、初めは、
「批判はいかようにも受けるが、
ここで分かりましたと席を立つわけにいかない。
責任は果たしたい」
冷静に答えていた。
再三の、容赦のない追及。
そして赤沢は言った。
「民主党は、幹部になるほど辞めない」
海江田、急に顔をゆがめた。
「その意味は理解しています。
それができるならいいかもしれません。
もう少しこらえて下さいよ。
お願いしますよ。
本当に頼みますよ」
演壇に額をこすりつけるように頭を下げる。
「2法案が成立しないと辞めないなんて、
菅さんとそっくり」
この赤沢の言葉が、効いた。
海江田は、やっと答える。
「出処進退は自分で決める」
赤沢。
「政治家としての価値を落とす」
とうとう海江田。
「自分の価値はどうでもいいんですよ、本当に!」
顔がゆがみ、
声は震え、
目に涙があふれた。
男の涙は、
悔しさによる。
ジレンマの苦しみ、悔しさ。
それを感じないかのような、
蛙の面にしょんべん、
上の空の菅直人。
21日の参議院予算委員会では、
実際に海江田の掌には、
「忍」の字が書かれていた。
しかし昨日は「心に刻んでいる」と述べていた。
当然、刻んでいたのは「忍」の字。
しかし手にしろ心にしろ、
「忍」 の字を刻んで臨んでも、
「菅とそっくり」との指摘には、
悔し涙が抑えられなかった。
「最悪を覚悟して最善を尽くせ」
海江田に贈ろう。
では皆さん、
良い週末を。
<結城義晴>