「一生懸命負けるなよ」西鉄ライオンズ・三原脩監督の言葉が意味する「精神のペース配分」
昨夕、東京駅を発って、
秋に近づいた空を見ながら名古屋へ。
駅の上のマリオットアソシエ名古屋。
大阪も、京都も、そして名古屋も、
駅の上などに大型ホテルができて、
さらに百貨店をはじめとする大型商業集積が並び、
街の中心がステーションになってきた。
かつての繁華街がさびれる。
名古屋の栄地区など、夜の9時を過ぎると、
閑散としている。
これは横浜が一番早かった。
青江三奈の歌で有名な桜木町など、
とうの昔に廃れてしまい、
横浜駅周辺がにぎわう。
かつての国鉄、現在のJRが中核となって、
そこに私鉄ターミナルが重なる。
もともと人が通過するポイントに、
商業や宿泊の大型施設ができると、
人は集まる。
人間は他が集まるところに、
群れる。
人間に限らない。
生物は群れる。
これが特徴。
世界中、都市化現象が顕著だ。
それが現時点の最大の特徴だが、
久しぶりに名古屋に宿泊して、
そんなことを思った。
さて、今朝の日経新聞スポーツ欄のコラム。
豊田泰光の「チェンジ・アップ」。
タイトルは「精神のペース配分」。
「ヤクルトに引き離された巨人や阪神、中日の逆転優勝はあるか」
問題提起よりも、豊田自身の経験談がいい。
1958年、私は6歳だったが、
わが西鉄ライオンズが、
南海ホークスに球宴前につけられた10.5ゲームという差を、
ひっくり返した。
豊田は「問題はここまでの消耗度だ」と分析する。
「58年の我々に逆転の成算があったわけではない」
「ただ、余力はあった」
「超合理主義者」だった当時の三原脩監督。
無駄な労力を使わない人だった。
その口癖。
「一生懸命負けるなよ」
「一生懸命にやったあげく、負けるのが一番よくない、
風向きが悪いとみたときにはさっさと引きなさい」
豊田は分析する。
「不毛な消耗を強いられた戦争体験が影響していた」
「そうした方針の下で、我々はジタバタせず、
自分たちの時が来るのを待つことができた」
不毛な消耗は、
フィジカルよりも、
メンタルに効く。
「肉体的には持つかもしれないが、
問題は精神のスタミナ」
「こちらは人それぞれ、
年間の持ち分が大体決まっていて、
常時百パーセント集中、
というわけにはいかない」
豊田は結論づける。
「三原式の割り切りが、
精神面のペース配分に必要だ」
ペース配分のためには、
「割り切り」が必須。
これは「トレード・オフ」の考え方。
トレード・オフも必要なコンセプトだ。
この話で思いついたのが、
島田紳助の人生のペース配分。
誰しもずっと走り続けていたら、
精神のペース配分ができない。
それが今回の事件の真相かもしれない。
企業や組織では、
自分のことはまだ自己責任でいいかもしれないが、
上司は部下の精神のペース配分を、
ケアしてやらねばならない。
麻原彰晃のように、
常に「ステージを上げろ」と強いてばかりでは、
組織は持たない。
自己の精神のペース配分に関しては、
私自身、以て自戒とすべし、と心得ているつもり。
「のんびりゆこうよ♪」
かまやつひろしの歌声が聴こえてくる。
昨日の会議で考えたこと。
チェーンストアは現場が、
何よりも「商売」をしなければならない。
店舗現場は商売することに、
ひたすら徹する。
本部やスタッフは、
そのことのお膳立てをし、
サポートをする。
それが全体の仕組みとなっている。
こういったことをシステムと呼ぶ。
システムにとっても、
店舗現場にとっても、
「精神のペース配分」は不可欠である。
夏の終わりの今頃、
お盆商戦が終了して、
夏休み休暇も残りわずかのお客様。
「のんびりゆこう♪
のんびりゆこう♪」
「ペース配分」は、組織全体に、
秋の疾走をもたらしてくれる。
<結城義晴>