結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年09月12日(月曜日)

「吉野家牛丼昔日の勢い」喪失の理由と「テスコ撤退」を「対岸の火事ではなく他山の石とせよ」

Everybody! Good Monday!
[vol37]

2011年第37週、9月第3週です。

今週はまだまだ、読んで字のごとく、
残暑が「残ります」が、
それでもずいぶん秋の感じがします。

暑いけれど、涼しい。

好きです。
この季節。

自分が生まれたころだからでしょうか。

今週土曜・日曜、
そして来週月曜の「敬老の日」
三連休が始まります。

その後も、金曜の「秋分の日」。
秋真っ盛り。
そして土曜・日曜の三連休。

三連休二つにサンドイッチされ、
火曜・水曜・木曜がある。

季節は良い。

ウキウキしてきます。

そんな季節の今月の仕事は、
「疾走せよ、疾駆せよ」
今月の商人舎標語。
気分よく、仕事に邁進したい。

そのためには、
メンタル、フィジカルを万全に。

精神的に、肉体的に、
十二分に気を配って、
うまいものを食って、
よく寝て、
そのうえで全力で走る。

いい気分です。

さて、今日は新聞休刊日。
1年に何回あるか、ご存知?

正解は、
12回。

まあ、毎月1回ずつです。
理由は、新聞販売店の慰労・休暇。

昔々、10代の終わり頃、
新聞配達のアルバイトを、
半年間だけやっていたことがある。

あのころは休刊日などなかった、
と思って調べたら、
当時も年間に4回あった。

たぶん2回だけ、
休みがあったんだろうと思うが、
思い出せない。

その新聞休刊日を列挙すると、
ウィキペディアには以下のようにでている。
1月1日(元日)
2月11日(建国記念の日)
3月20日又は21日(春分の日)
4月第2日曜日
5月5日(こどもの日)
6月第2日曜日
7月第2日曜日
8月第2日曜日
そして9月23日(秋分の日)
以降は、10月第2日曜日
11月第2日曜日
12月第3日曜日

しかし朝日新聞の2011年の休刊日、予定日は、
1月2日(日曜日)
2月14日(月曜日)
5月6日(月曜日)
6月13日(月曜日)
7月11日(月曜日)
8月15日(月曜日)
9月12日(月曜日)
10月11日(火曜日)
11月14日(月曜日)
12月12日(月曜日)

ウィキペディアもいい加減なところがあるが、
3月と4月は当初、統一地方選挙があって、
休刊日なしと予定されていた。
そこに東日本大震災が起こってしまった。

毎日、ブログを書くようになって、
以前にもまして毎日の新聞には、
丁寧に目を通すようになった。

新聞には本当にお世話になっていることになるが、
その分、週刊誌や、ましてや月刊誌は二の次となる。

さて日経MJ新聞のコラムがいい。
昨日の『底流を読む』は、
編集委員の中村直文さんが書いている。
タイトルは「繊細とボリューム 両にらみ」

牛丼戦争で吉野家が
「昔日の勢いを失った」。

なぜか。

吉野家のある役員の総括は、
「2004年のBSEに伴う米国産牛肉の輸入禁止に尽きる」

吉野家は米国産にこだわった。
ゼンショーのすき家や松屋フーズは、
オージーなどに切り替えた。

これがいまだに影響を与えているという。

このこと自体、貴重なケーススタディとなる。

ピーター・ドラッカー先生は、説く。
「自らの強みを知れ、
そしてその強みに立脚せよ」

吉野家の牛丼は、
米国産の吉野家仕様の牛肉を使った。
それが強みだった。
完成された味だった。

だからそれにこだわった。

クライトン・クリステンセンは、
『イノベーションのディレンマ』でこう語る。
「イノベーションによって成功した企業ほど、
新たなイノベーションにチャレンジしなくなり、
その結果新たなイノベーションを果たした企業によって
淘汰されていく」

面白いのは、この時、
新たなイノベーションを起こす者は、
最初のイノベーションよりもシンプルで、
時にはプリミティブでさえある。

不断のイノベーション、
小さな連続的なイノベーションが、
必要である。

吉野家役員の総括は、だから、
この小さな、連続的なイノベーションが、
できていないことを示すのだと思う。

BSEもきっかけとなったかもしれないが、
それよりもクリステンセンの指摘するイノベーションのディレンマこそ、
吉野家の問題点である。

中村さんのコラムはこういった方向ではなく、
「日本の競争の厳しさ」に向かっていく。

すなわち日本の食品メーカーの行動。
日本国内と世界市場、アジア市場への「両にらみ」。
私の言葉で言えば、
だからコモディティとノンコモディティの両にらみとなる。

先に味の素が「サムライ」ブランドで、
ウォルマートと取り組みをしたニュースを報じた。

繊細がノンコモディティ、
ボリュームがコモディティ。

海外に進出するには、
コモディティの概念抜きには、
成功はない。

前段の吉野家と、
後段のカルビーや日清食品やコカコーラとの関係性が、
ちょっと見えにくいコラムにはなっているが、
いろいろなことを考えさせてくれた。

先週月曜日の日経MJでは、
これも編集委員の田中陽さんが、
「英テスコ撤退 誤算の8年」の特集で、
総括文を書いている。

「蹉跌の本質は日本企業にも内包されている」

これが田中さんの問題意識。
賛成。

企業経営そのものは、
欧米も日本も変わらないということ。

「その店でないと買えない商品の存在が、
消費者を呼び込む」

M&Aが進むだろう日本でも、
「ボタンのかけ違いは致命傷」となる。
これも同感。

「8年間のテスコの足跡は
日本の流通企業のどこで起きても不思議ではない
本質的な問題をはらんでいる」

「対岸の火事ではなく、
他山の石とすべきだ」

田中さん、カッコいい。

その通り。

日経MJは週3回刊。
月・水・金。

毎日の新聞にお世話になっている私だが、
月・水・金の隔日刊ならば、
[毎日更新宣言]の仲間と言えるかもしれない。

週刊誌はまだしも、月刊誌は、
いかんともしがたいほどに、
のんびりしている。

のんびりしている暇はない。
「疾走せよ、疾駆せよ」

今月は、
「今日も一日、
慌てず、急げ」


Everybody! Good Monday!

<結城義晴>


4 件のコメント

  • 結城先生、お疲れ様でございます。お久しぶりです。

    ‐牛丼戦争で吉野家が、
    「昔日の勢いを失った」

    そのご的確なご分析は、今や「最適化社会」に入ったことを示されることと存じます。
    (オムロン創業者、立石一真様 SINIC理論より)

    また、世界的デザイナー奥山清行氏は「技術というのは『食材』で商品というのは『料
    理』だ、と。技術を売り物にしたって新鮮な魚をただ売りものにしているようなもので、そ
    れを料理して初めて商売になる。」と言われています。
    http://gigazine.net/news/20110908_moonshot_design_cedec2011/

    ユーザーにとって牛丼は「安い・早い・うまい」で良く、基本的に安全であれば食材の
    産地はそれほど重要ではないと思うのです。

    そういった意味において、我が青春時代を空腹を満たしてくれた吉野家の失速は、
    何かせつないものを感じます。でも吉野屋さん、がんばって!

    では、お疲れ様のみなさまに乾杯!

  • 結城先生へ
    吉野家の牛丼についてのつまずきを、渥美先生が「吉野屋の失敗の本質(最初の経営破たん)は、高速出店に牛丼の原料の特殊な枝肉の調達が間にあわなくなり、最後は米国産枝肉の仕入れ調達に関して、商社と仕手戦を演じて破れ去った。ことにある。」と書かれていました。イノベーションとは刷新と日本語で言うそうですが、個人も会社も刷新の連続化は困難を伴います。
    「日々新たに、また日々新たなり。」を私も肝に銘じたいと思います。

  • いまちゃん、ご投稿感謝します。
    「日々新たに、また日々新たなり」
    クリステンセンの持続的イノベーションそのものですね。

  • 船村さま、
    吉野家は必ず巻き返すと、
    私は思っています。

    ちょっと迷走したかな、といったところ。

    人材教育はずっと続けられています。
    だから大丈夫です。

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