イトーヨーカ堂「キャッシュバックセール」廃止/万代の今年度新店
日経新聞の『会社研究』で、
セブン&アイ・ホールディングスが取り上げられた。
その(上)は 「ヨーカ堂改革、背水の陣」
イトーヨーカ堂社長の亀井淳さんは、
日経新聞夕刊の『人間発見』にも今週、連載で登場していて、
いい話をしている。
ショッピングセンター開発を担当している当時、
「大型SCには高齢者らがゆったりと過ごせる休憩所を設ける」。
「明るくきれいなトイレ作りにも力を入れてきました。
買い物が現実の世界だとすると、
トイレは利用者がほっとできる、ある意味で非現実の世界」
亀井さんの視点は正しい。
けれども総合スーパー業態は「回復途上」。
「セブン&アイ・ホールディングスの連結経常利益が2012年2月期、
17%増の2840億円と最高益を更新する」
ただし、これはセブン-イレブンのおかげ。
イトーヨーカ堂は足を引っ張っている。
ここで重要な改革。
「キャッシュバックセール」の廃止。
昨年12月を最後に同セールをやめた。
「レシートをみせれば最大で20%程度を返金するこの手法は、
簡単に売り上げが作れて予算達成に役立つ半面、
利益はついてこない」
「かかるコストは年間50億円程度とみられるが、
副作用はそれ以上に大きい『麻薬』」。
ポイントセールの5倍増、10倍増なども、
同じく小売業にとっての『麻薬』。
それを止めた。
「売り上げはすべてを癒やす」
この「業界の呪縛からの脱却」である。
「危機感から部門横断的に約50人の緊急対策チームを組成」
そのチームでの激論の末の結論。
「今年上期、ヨーカ堂は60億円の営業黒字に浮上。
売上高が減る一方で、
粗利益率が約30%と1.4ポイントも改善した」
ただしこれも『麻薬』をやめただけ。
記事では「収益構造改革はまだ『5合目』」と指摘する。
本格回復は「祖業」の衣料品改革。
しかしこれとても、いまだ迷走。
亀井さんは「生ぬるい商売はしない」と、
背水の陣を敷いた。
「我々はまだ過去の成功体験に縛られている」
これは鈴木敏文会長の言。
イトーヨーカ堂の本格改革は、
これから。
私は業態論とフォーマット論でも、
イトーヨーカ堂のコンセプトが問い直されていると考えるが、
いかがだろうか。
さて、昨日は大阪での2日目。
㈱万代の新店を視察した。
朝から兵庫県の伊丹荒牧店へ。
今年9月オープン。
2階にしまむら、1階にセガミ・ドラッグ、
駐車場の反対側に西松屋などを誘致し、
万代は600坪とたっぷり売場をとった意欲店舗。
しまむらと万代のマッチングがいい。
入り口では、いちご1パック398円が大々的にアピール。
万代は1品1品が魅力的な商品。
ダイコンとネギ。
鮮魚部門ではよこわの販売。
パック商品の商品化も的確。
この時期はとらフグとあんこう。
そして天然真鯛598円。
個食なべ物用セット2パックで698円。
次々にお買い得単品が続く。
豚ロースしゃぶしゃぶ用138円。
このボリューム。
豚もも切り落としは100グラム98円。
ひき肉売り場のボリューム陳列。
国産若鶏モモ肉。
安くて、味が良くて、鮮度が良くて、たっぷり。
鍋用豆腐、絹あげ、うすあげのエンド平台。
惣菜部門の煮物。
米飯売り場。
寿司カテゴリーに一人、
米飯カテゴリーに一人、
こういった分担でバイヤーが担当している。
揚げ物売り場。
カキフライ298円。
本当に1品1品に魅力がある。
スープバーと実際に手で握ったおにぎり。
菓子パンの98円均一と88円均一のアイランド売り場。
カテゴリーごとに、
1品ごとに、
力のこもった開発や仕入れが行なわれ、
商品化が展開されている。
万代の売り場には、
その単品の力とカテゴリーの魅力がある。
左から吉川英樹惣菜部マネジャー。
圓石一治店長、
東本明店次長、
黒田久徳デイリー部マネジャー。
一気に初年度で36億円の年商を上げる勢いで推移。
凄い店だ。
次に、宝塚中筋店。
荒牧店から直線で10分ほどの約300坪。
300坪で改装を施し、
20億円を売り上げる。
こちらは「べたべた」の万代スタイルの店。
中ノ忠敏店長をかこんで、激励。
最後に、12月にオープンしたばかりの中小阪店。
入り口や出口あたりにお祝いのランの花が並ぶ。
御堂宏司店長を囲んで、笑顔。
入り口の青果部門からして気合が入っているが、
「万代のイメージを一新」。
要は洗練された店。
しかしオープニングセールはすごいインパクト。
その一例。
バターロール105円。
ドラッグ部門を導入した。
万代は100坪から300坪、600坪まで、
いわばマルチ・フォーマットのような展開。
148店舗。
ただしそれはすべて、
一貫したマーチャンダイジング。
4つのフォーマットで、
統一したライフスタイル提案をするテスコと同じ。
だから、迷いはない。
商品部も店舗も、スーパーバイザーも、
全社挙げて、50周年の3000億円に向けてまい進中。
2012年は日本全体にとっても「復活の年」だが、
ここで「迷いない」方針と仕事の実現が、
一番重要となる。
日本国も迷いなく、
全国民あげて一心に突き進みたいものだ。
<結城義晴>