RMLCの2012年テーマとプロフェッショナル・ボランティアという「答え」
東京・横浜に雪。
昨日、サンフランシスコは16度。
この落差が、いい。
今回は若干、時差ぼけがあるが、
それも雪で吹き飛ぶ。
帰国しても忙しい。
今日は日本橋の日本スーパーマーケット協会で、
商業経営問題研究会の2月例会。
Retail management learning circle、略称RMLC。
今年最初の例会。
そこで、出席者全員で記念撮影。
(今日欠席の皆さん、悪しからず)
前列左から、前田章三さん、山口紀生さん、
私の右横は、高木和成さん、品川明さん、
その後ろが、井口征昭さん、杉田幸夫さん、
臼井旬さん、和田光さん、村上篤三郎さん。
今日は2012年の課題テーマについての話し合い。
今年のテーマの話し合い自体が、
現在の小売流通業の核心をついているから面白い。
RMLC世話人会からのテーマ・プレゼンは、
「小売業の『next stage』を年間テーマに設定」し、
研究し、まとめていこうというもの。
代表世話人の髙木和成さん(右から二人め)の進行のもと、
午後1時半から5時まで、濃密なディスカッション。
メンバーがそれぞれの問題意識を提示し、
それについて賛同したり、反論したりで、
3時間あまりが、あっという間に過ぎた。
最後に座長の私から、
ピーター・ドラッカーのポスト・モダンの7つの作法。
「見る、聞く」の徹底。
だからRMLCでは自分たちで見る場面を多く設けたい。
そしてゲスト・スピーカーを招いて、聞く機会を増やしたい。
ここからすべてが始まる。
そのうえで、議論し、考察する。
ほぼ年間方針が決まってから、
フリーディスカッション。
シニアマーケットの消費動向、
まいばすけっとをはじめとする小型店問題、
IT技術がいかに、次世代の小売業に影響を及ぼすかなど、
話題は尽きなかった。
今年一年の議論を通し、
次世代のスーパーマーケット構築の方向性が
見えてくる。
RMLCは、議論のための議論で終わらない。
今年もよろしく。
そして参加したい人がいたら、
ぜひ、申し出てください。
オープン・マインドがRMLCのモットー。
小売業のプロフェッショナルが集まったRMLC。
調査し、研究し、議論し、考察し、
提言する。
さて、日経新聞「大機小機」。
コラムニスト一礫氏が、
「答えの見つからない時代に」と題して、
明治維新後の時代時代の「答え」を書く。
第1に、「坂の上の雲」の時代。
「西欧に習うべし」。
明快な目標があった。
第2に、敗戦後。
「日本経済再建のための答えは、
国家と製造業にあった」。
そして第3が高度成長期。
「答えは大衆や消費者であり、
生活文化産業や流通業であった」。
私はこの部分に関心を持った。
流通業・生活文化産業が「答え」の時代があったし、
現在もその延長上にあるということ。
意外に、この産業自身が自覚していない。
ただしコラムニストは今、
「答えが見つからない時代」という。
その中であえて、
「いま、答えがはっきりしている所もある」。
「東日本大震災の直後、被災地には、
スコップ一丁を持って
被災者の支援に汗をかくグループの姿があった」。
コラムニストが示すのは「ボランティアの時代」。
「困った人がいたら助ける、
悲しんでいる人がいたら寄り添う。
答えは、探すまでもなく自明である」
しかし私は、ちょっと反論。
もうすこし、考察を深めてほしい。
ボランティアも尊い。
精神は。
だが、仕事を通じて、
ライフラインを守ることも貴い。
そしてそれが、
小売流通業・サービス業の本来の役割。
高度成長期の流通業とは異なる商業。
東日本大震災のあと、
私たちはそれを自覚し、確信した。
しかしもっともっとそれを、
高めねばならない。
どう高めるか。
ドラッカー教授はNPOと造語した。
「ボランティアの大勢が、善意のアマチュアから
スペシャリストとしての無給のスタッフに移行したことは、
NPO自体にとって大きな変化であるだけでなく、
企業にとって大きな意味をもつ」
『チェンジ・リーダーの条件』にある。
例えば、茨城県の㈱カスミ。
店長が「5 a day」活動の一環として、
小学校で子供たちにレクチャーする。
すると店長が街を歩いているときに、
「せんせー」と呼びながら、
子供たちが群がり寄ってくる。
アメリカの先進的NPOのボランティアは、
自らの成果について、事前の目標に照らした評価を求める。
ドラッカーはこれを、
「ボランティアから無給のスタッフへの変化」と表現する。
アマチュアのボランティアよりも、
スペシャリスト、プロフェッショナルのNPO。
東日本大震災の後の今年、
小売流通業・サービス業から、
こんな「答え」を持った知識商人が、
排出されるに違いない。
負けるな、日本。
頑張れ、知識商人。
急に、思っていたことを、
言いたくなった。
<結城義晴>