谷川俊太郎・まどみちお・杉山昭次郎、赤ちゃんの心持つおじいちゃん
糸井重里の『ほぼ日』。
「ほぼ日刊イトイ新聞」の連載。
「谷川俊太郎、詩人の命がけ。」
詩人・谷川俊太郎さんと糸井重里さんの対談。
今日は三日目。
「言葉」に関して、意見を交換するが、
谷川さんの言葉が重い。
「おぎゃーっ」と産まれてきたときには、
まわりは全部、他人の言葉ですよね。
お母さんでもお父さんでも、誰でもね。
赤ちゃんは、人の言葉を聞いて、
だんだん覚えていく。
つまりはじめは、
言葉は完全に他人のものだった。
では、いつ、自分のものになるんだろう。
それを自分のものにしていくことが、
人間が成長していく過程だと
ぼくは思っています。
谷川俊太郎、80歳。
まど・みちおさんもそうだけれど、
年をとっていくと、
少しずつ赤ちゃんにもどってゆく。
しかし、けっして、赤ちゃんじゃあない。
それが、大切なこと。
赤ちゃんの気持ちがわかるおじいちゃん。
最初の、言葉が他人から来たものだってことを
ちゃんと確認しとかないと、
へんにまちがうと思います。
人間というのは、
もう何千年もずっと
言語を使ってきてるわけだから、
そんなことはあたりまえなんですよ。
なんでも自分が最初だとか、
自分が考え出したとか、
僭越なことを言いだすこと自体、
間違いです。
ほら、吉本(隆明)さんが言ってた、
「ほんとに大事なことは、
とっくに書かれてる」
あとはみんな、
その時代に則したやり方で、
言い替えてるってだけ。
そうです。
その通りです。
そういうふうに考えると、
言語は、言語を超えたものを
めざしてるんじゃないかと
どうしても思います。
はじめに言葉あり。
言葉は神とともにあり。
言葉はすなわち神なりき。
<ヨハネの福音書>
これはキリスト教の神を語った部分だが、
谷川さんも、そんなふうなことを考える。
赤ちゃんがわかるおじいちゃん。
そういえば、流通仙人の杉山昭次郎先生。
今年85歳になって、谷川俊太郎よりも5つ上。
ちなみにまど・みちおさんは102歳だから、
仙人を突き抜けて、「大仙人」レベル。
その杉山先生が、
昨年のRMLC宇都宮クリニックの際に漏らした言葉。
「お客の支持を得る店は、
レベルが高い低いよりも、
そのレベルが高くなろうとしている店、
高くなりつつあるのがお客にわかる店なんだよ」
昨日、私の盟友・鈴木國朗さんと話していて、
突然、思い出した。
㈱セイブ社長の荻澤誠さんもご一緒していたが、
この話、しそこなった。
今度お会いしたら、じっくりと伝えよう。
現在のお店や社員のレベルが「高い・低い」よりも、
それが「高まっていること」が大事だ。
「高まっているのがわかること」が大事だ。
これなど、仙人の心でしか、
見通すことができない。
話は変わって、
ダイヤモンドフリードマン社発刊の『チェーンストアエイジ』。
2012年4月1日号で、1000号を数えた。
創刊は1970年4月10日。
タブロイド版の『チェーンストアエイジニュース』紙。
㈱商業界のチェーンストア経営専門誌『販売革新』は、
1963年5月にスタート、
スーパーマーケット経営専門誌『食品商業』は、
1972年10月創刊。
チェーンストアエイジが42年、
販売革新が49年、
食品商業が40年。
私が『販売革新』編集部に入ったのが、
1977年だから、
ずいぶん歳月が経過したものだ。
私は『食品商業』『販売革新』の編集長を務めた。
このチェーンストアエイジ1000号に、
第25回「STORE OF THE YEAR」が発表されている。
その第1位は、阪急オアシスえるむプラザ店。
第2位、サミットストア成城店、
第3位、ヤオコー立川若葉町店。
第4位、ヨークベニマル石巻中里店、
第5位、ジョイス北上アピア店。
まずは、受賞店舗、受賞企業に、
「おめでとう」の言葉をかけておこう。
実際に、どの店も、いい出来栄えです。
ただし、このランキングの集計方法。
「読者、小売業関係者、有識者、小誌編集部等の投票により、
獲得票数から総合順位を決定した」とあるが、
その母数や得点数が記されていない。
統計学でも、
根拠が明らかでないものには、
信頼がおかれない。
それでも、阪急オアシスえるむプラザ店をはじめ、
サミットストア成城店やヤオコー立川若葉町店、
ヨークベニマル石巻中里店、第5位、ジョイス北上アピア店などの価値が、
損なわれるものでは断じてない。
そして、現在のレベルが高い・低いよりも、
「そのレベルが高くなろうとしている店、
高くなりつつあるのがお客にわかる店」こそ、
顧客に支持されることを、
ランキングされた店々には自覚してほしい。
「レベルが高くなろうとしている店」のことは、
自分自身や自分の部下、自分の子供に置き換えてみれば、
だれでもおのずとわかるはずだ。
最後に、横浜商人舎オフィスの裏の遊歩道の桜。
私のデスクの椅子をくるりと回すと、
この満開の桜を見ることができる。
このあたりでは一番早い桜。
元気が出てくる。
みなさんにも、元気を。
<結城義晴>