ビックカメラ「コジマ買収劇」とラスベガス巨大チェーン群
“Welcome to LAS VEGAS″
この言葉に迎えられて、
ラスベガスに到着。
アメリカン航空のAグループ27名はロサンゼルス経由、
ユナイテッド航空のBグループ37名はサンフランシスコ経由。
時間差はあったものの、
無事に全員がラスベガスの地に降り立った。
待っていたのは、浅野秀二先生(写真)と藤森正博さん。
米国在住の現地コーディネーターのお二人。
全員が真っ先に訪れたのは、
アローヨ地区の広大なショッピングセンター。
全員でウォルマートを背景に記念撮影。
アローヨ地区には、
パワーセンターが4つ集積されている。
核店は、それぞれウォルマートスーパーセンター、
ホームデポ、ベストバイ、ベッド&バス・ビヨンドなど。
アメリカのショッピングセンターのパワーと、
ウォルマートの最強フォーマット・スーパーセンターを、
最初に実体験してもらう。
ファーストインプレッションはとても大事だから。
そのウォルマート・スーパーセンター。
世界最大の小売業の2012年1月期の年商は、
4438億5400万ドル。
100円換算すると、44兆3854億円。
前年比はプラス5.9%。
営業利益は265億5800万円で、
こちらも前年比4%増えた。
100円換算をすると、2兆6558億円。
ウォルマートは昨年、
南アフリカのマスマートを買収し、
店舗数は一気に増加し、
1月末時点で1万0130店。
とうとう総店舗数1万店舗を超えた。
ウォルマートでは、
アシスタントマネジャーのスティーブンさんにインタビュー。
コンペティター対策、プライスマッチングの店舗政策、
顧客と従業員にたいするマネジャーの仕事、
そして、参加者からの質問にも丁寧に答えてくれた。
この店はまだ新しいから、
フード部門とHBCで売上げの75%を占めている。
感謝をこめてスティーブンさんと握手。
14年間空軍に従事し、
ウォルマートに来て4年。
握手した手は分厚くて、
力強かった。
そしてアローヨ地区のほかの店々を、
35度の暑い中、視察。
アローヨでは、業態ごとの1位、
もしくは、2位、3位企業を見ることができる。
家電専門チェーンではベストバイ。
全米ナンバー1企業。
2012年2月期は年商507億ドル。
5兆円を超える。
店舗数は2月末で4308店、
そのうち国内は1447店。
しかし業績はアマゾンなどのネット通販に押され、
マイナス12億ドルの損失を計上するなど、苦戦。
おりしも日本では、
「ビックカメラ、コジマ買収」のニュース。
家電業界第2位に躍進して、
連結売上高1兆0615億円。
トップは、年商2兆1532億円のヤマダ電機。
3位が9010億円のエディオン。
ベストバイは、日本1位の2倍強、
2位、3位の5倍という規模。
その最大の敵は、
ウォルマート。
日本では、ヤマダ電機やビックカメラ、エディオンの敵が、
イオンやイトーヨーカ堂ではない。
1990年代までは、
日本でも家電最大販売企業はダイエーだった。
それが家電専門店チェーンに、
奪い取られていった。
この違いはどこから生まれてきたのか。
誰か修士論文のテーマにしないかしら。
極めて興味深い。
話はアローヨ地区にもどって、
好調業態のOPS(オフ・プライス・ストア)。
1位のT.J.Xが展開するマーシャルズ。
T.J.Xの2012年1月期売上げは、
231億9100万ドル、伸び率5.7%。
純利益も11.7%増の14億9600万ドル。
総店舗数2905、うち国内2089。
マーシャルズはアパレルとホームグッズを品ぞろえする。
、
おなじOPS業態の第2位ロス。
2012年1月期の売上高は86億0800万ドル(8608億円)、
前年比9.4%増。
純利益は6億5700万ドルで18.3%増。
こちらも絶好調で、総店舗数は1125店舗。
OPS業態は不況の時ほど、やはり強い。
一言でいえば、ブランド品のバッタ商売を、
巨大チェーンにしてしまった業態。
面白い。
私はこのOPSが大好きで、
昨年、この店でスイスギアのキャリーバッグを買った。
一方、ホーム関連はどうか。
ホームセンター業界第1位のホームデポ。
2012年2月期、売上高703億9500万ドル、3.5%増、
純利益38億8300万ドル、16.3%増。
価格志向に走りつつも、
専門的なサービスの提供は失わない。
サブプライムローン破綻によるホーム需要激減を、
やっと乗り越えつつある。
その専門性はウォルマートと別の次元をつくっている。
ホームファッション・チェーンのベッドバス&ビヨンド。
ニトリがベンチマーキングしていることで知られる。
2012年2月期は売上高95億ドル(8.5%増)、
純利益9億8900万ドル(25.0%増)。
オフィス・サプライチェーンのオフィス・マックスは、
ステープルズ、オフィス・デポに次ぐ全米第3位。
2011年12月期の年商は71億21004億ドルのマイナス0.4%。
純利益は3300万ドルと昨年より半減。
業態の3番手はフォロワーにならざるを得ず、
衰退していく。
それがオフィス・マックスに表れている。
ほかにも、ペット専門店のペッツ・マート。
トイザらスが展開するベビーザらス。
短い時間に、効率よく視察するには、
このアローヨ地区に限る。
ただし、それでも、駆け足の視察になる。
そして初日の最後は、グレイザーズ。
ラスベガスに1店舗だけ構えるインディペンデント・スーパーマーケット。
地元新聞の発表する“ラスベガスで最も良いグロサリー・ストア”に
2年連続で選ばれている人気店。
ここの特徴はアメリカでは珍しく、
惣菜の小容量の個食パックを販売する。
しかしこの店、昨年ほどの元気がない。
競合が激しくなると、
インディペンデントは、
どうしてもグロサリーが弱体化する。
すると、客数が減っていく。
生鮮食品の鮮度が落ち、
惣菜も作り立てを提供できなくなる。
しかし、寿司だけはしっかりと売っていた。
ペットボトルの水もよく売れていた。
サービス&クォリティ型のインディペンデント、
ホールフーズが出てくると、
本当につらい。
はじめに世界最大の1万店企業・ウォルマートを訪れ、
最後に1店舗のグレイザーズを見る。
さらに非食品の業態ベスト3の店舗を訪れる。
そしてそれぞれのギャップを感じとる。
それがベーシックコース、
最初の日のコンセプトだ。
このブログを書いているのは、
こちらの時間で、午前4時。
私はもう、36時間くらい起きている。
長い1日がやっと終わる。
一眠りして、
明日からまた、
疾駆、疾走。
よろしく。
<結城義晴>