トレーダー・ジョーのアーティストと故渥美俊一先生3回忌の集い
ロンドンオリンピック。
日本ではいまひとつ、盛り上がらない。
7月27日に開会式。
しかしその前の25日から、
女子サッカーなどの試合はスタート。
8月12日までの19日間。
世界中が沸き上がる。
日本でも、その時になれば、
瞬間湯沸かし器のように盛り上がる。
しかし今から、少しずつ、
気分を出しておいた方がいい。
トレーダー・ジョーのエンド・トップパネル。
クッキー、チップス、ナッツなど、
フットボールやベースボールの重要ゲームでは、
爆発的に、アメリカ一、売れる。
だからオリンピックも。
トレーダー・ジョーらしく、
うつくしくて、シンプルで、洗練されたパネル。
見本にしたいくらいだ。
さて、サンフランシスコでの研修。
この人口438万人のサンフランシスコ・オークランド地区では、
セーフウェイが、
30.0%のシェアでトップ。
だからセーフウェイを訪れることは不可欠。
アップスケール型のニューライフスタイル店舗が、
いい出来栄えで、立地さえ良ければ、
セーフウェイの実力が高いことを示してくれる。
二番目のシェアの地位にはなんと、
コストコが座る。
16.8%。
三番手は12.6%のセーブマート。
そして4番目に、
8.3%のトレーダー・ジョーが入ってくるし、
次の5番目に5.9%で、ホールフーズがいる。
だから今日は、トレーダー・ジョーとホールフーズの日。
しかしテスコのフレッシュ&イージーも、
マークしておかねばならない。
もちろん147店舗のチェーンストアとして、
新しいフォーマットを完成させたスプラウツも。
高級スーパーマーケットのドレーガーからも、
学ばねばならない。
ただしドレーガーは反面教師。
高級スーパーマーケットは完全に負け組。
「高質」と言葉を変えようとも、
「高い低い」で消費を見ていたら、
アメリカでは生き残れない。
それがドレーガーを反面教師にして、
くっきりと見えてくる。
その高級でも高質でもないトレーダー・ジョー。
入り口の花売り場もすばらしい。
バナナ1本19セントが、
これだけ並べられているということは、
それだけ売れるということであり、
客数が多いことを意味する。
エンドのトップパネルも、
ショーカードもPOPもプロフェッショナルの仕事。
こんなプレゼンテーションをつくり上げるには、
社員・スタッフを美術学校に通わせる必要がある。
キャプテンのジョシュアさんからレクチャーを受ける。
この男、すばらしい。
冷蔵庫、冷凍庫に全員が入る。
そして販促物作成ルームへ。
人員体制、制作の仕組み、その制作方法など、
レクチャーしてもらう。
全員がこの部屋にはいってきて、
それから質疑応答。
パムさんがその専門アーティスト。
制作テーブル。
油性のサインペンも使う。
制作ルームの壁には、
作品が飾られている。
プロフェッショナルの仕事。
ジョシュア店長に感謝。
店内では、HEMS役のボニーさんと写真。
ココナツ・ネックレスをしていて、
「お客様お声かけ係」。
1時間交代で、この係を受け持つ。
全員で写真。
満足そうな顔、顔、顔。
次はホールフーズ。
もちろん素晴らしい店づくり。
ANDIスコアのトップ5を掲示している。
ストア・リーダーのセレステさん。
様々な質問に的確に答えてくれた。
ホールフーズは「チームワーク」トレーニングを施して、
「チームワーク」マネジメントを採用している。
これ、第1回商人舎ミドルマネジメント研修会で、
私のテキストに入れて教授した考え方。
セレステさんを囲んで、写真。
ただし、ホールフーズから、
日本の視察団体に一言。
先月来店したある団体が、
ずいぶんしつこく、
失礼な質問をしたらしい。
その苦情が寄せられた。
学ぶ姿勢は大切。
しかしそこに礼儀がなければいけない。
品のない行動は慎まなければいけない。
ホールフーズには、
多くのことを学んだ。
心から感謝したい。
夕方、小型店を訪問。
これだけの省略、カットをして、
一つの完成された店をつくり上げることのできるこの会社。
CEOジョン・マッケイはただ者ではないし、
チームワーク・マネジメントの成果も上がっている。
最後に、バークレーボウル。
2店舗で120億円のインディペンデント。
オーガニック青果部門。
その後ろに広大な青果部門。
ただただ圧倒される。
バナナの売り場。
ホールフーズもトレーダー・ジョーも、
ウォルマートもセーフウェイも、
脱帽しているに違いない。
キノコ類も、この品揃え。
平和堂の青果部門バイヤーたちも、
言葉が出ない。
日系二世のグレン・ヤスダさんが築いた世界最高峰の店。
私も、拍手喝采。
そしてこの店で、
バークレーボウルで研修中の安島英城さんに再会。
何だかずいぶんたくましくなったし、
精神的にも成長の跡が見られた。
心から祝福したいし、
グレン・ヤスダさんにも感謝したい。
< 安島さんとは夕食を共にして、語り合った>
最後に団員全員で写真。
満足し、納得した一日だった。
さて日本では、昨日、今日、
2012年ペガサス下半期政策セミナー。
㈱日本リテイリングセンター主催。
場所は東京・椿山荘。
510名が参加した。
初日のセミナー後、
同じ椿山荘のジュピター会場で、
「渥美俊一先生を偲ぶ集い」が開かれた。
渥美先生の3回忌追善供養。
渥美先生は2010年7月21日に亡くなられた。
あれから丸2年が過ぎた。
「追善」とは曹洞宗で、
「故人の残した言行を偲び、慕い追い求めること」を意味する。
会場には渥美先生のお元気なころの写真。
渥美先生を慕い学んだチェーンストア企業、
そのそうそうたる方々が参列。
写真は、横を向いた㈱ライフコーポレーション清水信次会長、
イオン㈱岡田卓也名誉会長、
㈱平和堂の夏原平和社長、
㈱ヨークベニマル大高善興社長。
はじめに発起人を代表し、
㈱コメリ捧賢一会長がご挨拶。
そして㈱日本リテイリングセンターを代表し、
渥美田鶴子さんのご挨拶。
献杯の挨拶は㈱アルペン水野泰三社長。
今回の発起人は、捧会長、水野社長のほか、
㈱AOKIホールディングス青木擴憲会長、
㈱カインズ土屋裕雅社長、
㈱サイゼリア正垣泰彦会長、
大黒天物産㈱大賀昭司社長、
㈱西松屋チェーン大村禎史社長、
㈱ニトリ似鳥昭雄社長、
北辰商事㈱太田順康副社長、
六花亭製菓㈱小田豊社長。
献杯の後は、渥美先生を肴にそれぞれ懇親。
会場では、お元気なころの講演風景が流された。
会場の前には、渥美先生の愛用の品が並べられた。
スノーケリングが大好きだった。
イルカと戯れる写真の前には、潜水用の眼鏡。
化粧品と洗面小物入れ。
シャツとネクタイ。
きれいな色が好きだった。
おしゃれで粋だった。
向こうからセブン&アイ・ホールディングス伊藤雅俊名誉会長と、
岡田名誉会長と清水会長。
清水会長、伊藤名誉会長の前では、
一歩下がる現役社長・会長。
大高善興ヨークベニマル社長、
似鳥昭雄似鳥社長、
AOKIホールディングス青木擴憲会長。
今日の日経新聞社の2011年度「専門店調査」では、
専門店の「成長の主役交代」が報じられた。
家電量販店とカジュアル衣料品店の勢いが衰え、
ドラッグストアやホームセンターが増収幅を広げた。
399社から回答を得、昨年と比較可能な373社の総売上高は、
0.6%減。21兆6947億円。
「減収は1973年の調査開始以来初めて」
専門店は総合スーパー、スーパーマーケットから、
顧客を奪って伸びてきた。
上の写真の顔触れを見ていると、
それがよくわかってくる。
しかしその専門店も、
既存市場が縮む中で成長を続けるために、
まだまだInnovationが要求される。
閉会の挨拶は、
AOKIホールディングス青木さん。
渥美先生がお亡くなりになった日、
私はアメリカに発った。
そして追善供養の今回も、
アメリカにいる。
私の父は渥美先生と同年の大正15年生まれ。
大学のゼミの壽里茂先生も大正15年。
だから渥美先生、壽里先生は私の父の如き存在。
「亡き父よ店見るたびにみるたびに」 合掌。
どこにいても、学び続けます。
<結城義晴>
4 件のコメント
1980年ごろ初めて先生に相談した時の第一声。
あと25年で小売業は完全な寡占化になってしまいますよ。
その頃は、チェーンストア理論は商業史の一部ですよ。
どこかの大学の図書館に行かないと勉強できなくなります。
君は先代や業界の先輩たちが勉強しなかったから
もしかしたら幸福かもしれません。(小生は旅館業です。)
Wal-Martなどの寡占化とフォーマットを超えた戦い(もしかしたら殺しあい)の現実は
先生の言うとおりでした。
今更驚いても。・・・・・
小川晴也さま、渥美先生の予言、
恐ろしいほどですね。
「チェーンストア理論は商業史の一部」。
㈱商業界から『商業経営の精神と技術』が復刊されました。
私がゴーストライターを務めた本ですが、
歴史の復活のように感じます。
結城先生、復刊『商業経営の精神と技術』を入手しました。
後輩たちに推薦しても購入することができず、古本屋で探すよう促すしかありませんでした。
前書きのところで、「初心者向けに叙述した」とありますように、この本は商人を志す者にとって、言わば教科書です。
しかし、小売業に携わって三十余年経った今でも手放すことができません。
困ったとき、迷ったときには真っ先にこの本を読み返し、原理原則又は経験法則を確認します。
次に、何事かを実行に移す前に、『観察』、『分析』、『判断』の手順を踏んだかどうかを振り返ります。
そして、それは国民大衆の日々の生活を守り育てることになるのかどうか、価格・品質・販売方法の革新と言うごりやくがもたらされるのかどうか(名ばかりの『改革』になっていないか、本当の『イノベーション』につながっていくのか)、を考えます。
そんな思考プロセスを私はこの本から学びました。
JRCの皆様方や結城先生に敬意を表したいと思います。復刊に際してのご尽力自体に対してはもちろんのこと、復刊の先に『お客様』があることを意識し、正しき商業人を育成し続けていこうとする執念に対して頭が下がる思いでいっぱいです。
ところで、私事で恐縮ですが、昨日(7/21)、とても嬉しいことがありました。西端春枝奥様と初めて電話でお話をすることができたのです。ニチイ創業社長の奥様という意識から、恐れ多いことと身構えてダイヤルしたのですが、大変気さくなお話しぶりで、身内に接するがごとく距離感が皆無でした。
そして人に対する温かみ、やさしさあふれるお人柄がじんじんと伝わって参りました。
会話しながら、ハトヤ時代の“お詫び広告”に代表される社長ご夫妻の自己を律する生き方、銭湯で従業員一人一人の背中を流されたというような人への思いやりは、間違いなく本物だと感じました。
ご縁を結ぶ機会を作ってくださった結城先生と商人舎スタッフの方にお礼申し上げます。
どうか結城先生も無茶をせず、無理をなさってください。小生はその境目がよく分かりませんが・・・。
T.M.さま、私も西端先生とお話ししました。
昨日、合宿からの帰途、私の携帯電話に連絡があり、
10分ほど、一気に、しゃべり始めて、とまらない、といった感じでした。
T.M.さんとの再会を心から喜んでいらっしゃいました。
ほんとうによかったです。
一度、三人でお会いしたいものですね。