「柔道はなぜ期待外れに終わったか」のマネジメント改革&イノベーション
今朝、目覚めたのは、
軽井沢プリンスホテル・ウェストのコテージ。
池のまわりにコテージが並ぶ。
涼しい。
それだけで、
心地よい。
朝日新聞一面コラムの『天声人語』が書く。
「漢字の文化はありがたいもので、
『涼』の字を眺めるだけで、
ふっと体感温度が下がる気になる」
その通り。
「納涼、涼気、夕涼み……この一字がなかったら、
日本の夏はもっと暑いに違いない」
「涼」の字だけでなく、
実際に「涼しい」
コテージのテーブルに、
「てるてる坊主」。
この部屋を準備してくれたスタッフの手づくり。
それだけでも涼しさの気分は、
倍加される。
私は一日、このてるてる坊主を、
ポケットに入れて動いた。
さてロンドン・オリンピックは、
ちょうど折り返し点。
前半が水泳をはじめ、体操、柔道などだったが、
後半は陸上やサッカー、バレーボールなど球技の決勝が行われる。
「柔道はなぜ期待はずれに終わったか」
山口香が日経新聞に長編の評論を書いている。
日本の女子柔道の草分け。
現在、筑波大大学院准教授にして、
日本オリンピック委員会理事。
1984年世界選手権で初優勝。
1988年ソウル五輪で銅メダル。
私は今、柔道に関する評論家として、
山口香を一番信頼している。
「今大会の日本勢を象徴する戦いぶり」は、
「攻めずしての負け」
女子は「調整の失敗」
男子は「選手層が薄く、足りない選手が代表」になっている」
手厳しい。
「負けることに慣れてしまうと、
立て直すのは大変だ」
このコメントは、
小売業やサービス業の店の競争に似ている。
山口香が特に指摘する男子柔道の低迷理由。
「身体能力の差が如実に結果に出るのに、
体力をつけるための練習が少ない」
「『一本を取る柔道』を掲げながらも、
そのための強化はしていなかった」
つまり「目指すものと実際の施策」に、
明かな「矛盾」があった。
さらに「コーチの選び方」。
「現役時代の成績より、
選手を育てた実績を重視して選ぶべき」
根本的な考え方に関して。
「日本はもう強くないということを、
柔道界全体で認識するところからスタート」。
「数年前から弱体化の兆候はあったのに、
日本の柔道は目をそらしてきた」
そして、「『神話』を捨てて変わる覚悟」
これは絶対に必要だ。
すなわち日本柔道に求められていることは、
イノベーションそのもの。
ピーター・ドラッカーは、
イノベーションが起こる一番多いケースとして、
「予期せぬこと」を上げる。
予期しない失敗、予期しない成功。
それがいちばんイノベーションにつながりやすい。
「男子金メダルゼロ」は予期せぬ失敗か、
すでに兆候があったのに目をそらしていたからなのか。
山口香は、後者だと断ずる。
日本柔道界は、
「しばらく前までよかったのに、
今は駄目な会社」そのものだ。
しかし、こういった場合にも、
手術の手立てはある。
マネジメントの改革である。
さて今日8月3日、
「改正労働契約法」が成立。
対象は、
「同じ職場で5年を超えて働いているパートタイマーや契約社員」。
本人が希望すれば無期限の雇用への切り替えを、
企業に義務づける。
二つの側面がある。
第1に、正社員との待遇格差が改善される。
かつての言い方では「本工と臨時工の差別」。
それが是正される方向になる。
しかし第2に、臨時労働者を主戦力としている企業には、
直近、明らかに負担増となる。
小売業、サービス業がその代表だが、
企業によっては契約更新しない場合が出てくる。
そんな時にはパートタイマーのためにはならない。
だから「運用」には課題が多いとされるが、
熟練したパートタイマーを再雇用しないとしたら、
その企業は競争に勝てない。
日経新聞の記事には、
イトーヨーカ堂とファミリーマートが出てくる。
イトーヨーカ堂は「長期間働くパートはやる気があり、
安定した雇用の環境整備につながる」と歓迎。
これが妥当な考え方だ。
「経験者は大事な戦力。
無理に辞めてもらうことは考えづらい」
こちらはファミリーマート。
「働きたい企業」は、
この法改正にどう対応するだろうか。
そう考えるだけで、
結論は見えてくる。
厚生労働省の試算。
2010年の雇用者数は5111万人。
契約社員やパートタイマーは1200万人。
この中で、勤続年数が5年を超える労働者は360万人。
改正法は2013年度中に施行される。
重要な法改正である。
<結城義晴>
[追伸]
万代西宮前浜店の紹介は来週に延期します。
みなさん、よい週末を。