富士山頂を垣間見、イタメシを堪能し、セブン&アイ上半期決算を断じる
タクシーに乗る。
東京・横浜の最低料金は、710円。
降りるときに、
「10円ないっすか~?」
ドライバーから聞かれる。
つい、反射的に答える。
「すみません、1000円でお願いします」
しかしなぜ、顧客が、
「すみません」と謝らねばならないのか。
業界と行政が710円の端数価格を決めた。
顧客にとっては極めて迷惑。
小売業界だったら、
外食産業だったら、
この10円はない。
「これは私たちの利益です。
90円のお釣りは、
いつもご用意しています」
この姿勢でなければ、
710円の価格設定は許されない。
今朝は、リーガロイヤル堺の21階自室で目覚める。
見下ろすと眼下に堺の港。
ゆっくりと起きだして
ゆっくりと朝食。
それから午後、新幹線で帰京。
新幹線のぞみが京都を越え、
名古屋を過ぎ、浜名湖を通過すると、
「初冠雪後の富士の頂を見よう」
こんな気持ちが盛り上がった。
富士の裾野が見えてきた。
あのあたりにあったはず。
と、思うと、雲の切れ間に、
ちょっと、見えた。
スピードは緩まない。
白い雲の間に、
ちょっとだけ青い頂が見える。
ここです。
ズーム・アップ!
貴重な一瞬。
しかし頂上は白くはなかった。
列車はすぐに遠ざかる。
雲の切れ間の頂も、
小さく遠ざかる。
もう見えない。
手前のマックスバリュが見えるだけ。
空と雲はくっきりしているが。
冠雪があるはずの富士の頂上。
ほんの一瞬だったが、
垣間見ることができて、
今日はなんだか満足。
帰京して、夕方から、
アッピアアルタ西麻布。
広尾のイタリアンレストラン。
お相手は、㈱トーアコーポレーション社長の乙守典厚さんと、
ダイナムジャパンホールディングス取締役の堀場勝英さん。
乙守さんは、チェーンストアの看板システムを請け負う会社を経営。
その交友の広さと、ユニークな経営感覚は、
ほんとうにおもしろかった。
堀場さんと共に、共通の友人の多さに驚いた。
料理はウェイター長が、
すべての素材や調理法を丁寧に説明してくれて、
なおかつそれに合うワインなどもお奨めしてくれた。
「10円ないっすか?」とは、
大違いだった。
大いに料理を堪能し、
会話を弾ませた。
レストランとパートナーに、
「心から感謝」と、
ゴルフ・コンペの優勝者のような弁。
ありがとうございました。
さて、日経新聞に、
「セブン&アイ、3年ぶり営業減益」の記事。
セブン&アイ・ホールディングスの2012年上半期決算。
連結営業利益は1470億円前後。
前年同期比2%の減益。
これは3年ぶり。
連結営業収益は2兆4600億円前後。
売上げは4%プラス。
つまりセブン&アイの上半期は、
増収減益。
どうだろう。
あなたの会社は、どんな傾向だっただろうか。
セブン&アイが増収減益ならば、
わが社はどうか。
安心してもよいし、
これからの下期に、
気合を入れるもよい。
セブン&アイの苦戦の理由は、
総合スーパー・イトーヨーカ堂の不振。
そのイトーヨーカ堂の既存店売上高は、
4%程度のマイナス。
夏場以降、消費の伸びが鈍化する中で、
生活必需品などは値下げ競争の様相が強まっている。
同社は値下げを前面に出さなかった。
そのために集客で苦戦した。
これは今夏の百貨店と同じ。
「バーゲンセール、後ろ倒し」
一方、ヨークベニマルは、
「低価格戦略で採算が低下」。
こちらは値入を下げて客数と売上げを確保したが、
営業利益は下がった。
客数を採るか、利益を採るか。
昨日の万代での記念講演ではないが、
インディペンデント・カンパニーならば、
極めて明白だ。
答えは「客数」。
利益を採らねばならないとなると、
打つ手はほとんどない。
一番の方法は、この細道しかない。
客数を伸ばしつつ、
かすかに利益を確保する。
ただし、セブン-イレブンの営業利益は、
上期として過去最高。
プライベートブランド「セブンプレミアム」が2割以上伸びた。
惣菜・菓子類も好調。
既存店売上高は2%プラス。
上半期のトレンドは増収減益。
だから通常の企業の場合も、
下半期の方針は、
客数伸長・営業利益微増、
もしくは微減。
微増か?微減か?
これは、企業と店の底力によって、
決定づけられる。
ただし、「10円ないっすか?」は、
断じて許されない。
< 結城義晴>