糸井重里「イメージの刷り込み」とミンツバーグ「芸術的右脳型組織論」
今夜のおぼろ満月。
明日は十五夜。
しかし、台風17号日本列島に接近。
今夜のおぼろにかすむ月を、
明日の十五夜の代わりに見ておこう。
台風17号によって、
沖縄・鹿児島は暴風圏に突入。
厳重な警戒が必要。
くれぐれも、油断なきよう。
明日から明後日にかけて、
日本列島を縦断する恐れがあるという。
立教大学総長室からメールあり。
「台風17号が接近していますが、
10月1日の授業については、
台風の進路等により
休講などの特別措置を取る場合があります。
変更がある場合は、
10月1日午前6時に大学ホームページ、
Twitter、Facebookページ、
緊急連絡システムでお知らせします」
月曜日の私のサービスマーケティングも、
朝6時に開講が決定されます。
さて、立教大学でも、
ホームページやTwitter、Facebookページが、
最初の連絡手段となっていて、
その次に緊急連絡システムがある。
かつての電話では、
まったくなくなった。
㈱商業界に入社して、編集部に配属された時。
雑誌メディアで仕事してきた。
インターネットのホームページとブログで、
仕事を始めた。「紙から網へ」。
雑誌・書籍のペーパーから、
デジタルのインターネットのホームページやブログへ。今年からはそれに、
ソーシャルネットワークのfacebookが加わった。
もちろん私は「紙と網」の両方が必要だと考えて、
今では毎月1日に月刊『商人舎』を限定部数で発刊している。
5年前の商人舎発足の会。
「商業界での30年は折り返し点。
これからまだ30年現役を続ける」
私はそう決意し、宣言して、
ネットによる報道を始めたが、
いったいこの領域は、
どんなふうに変わっていくのか。
現在、私は、朝、目がさめると、
すぐにパソコンを開く。
そしてfacebookを見る。しばらく前まではメールを開けて、それを見た。
それから自分のブログやホームページに、
書き込みがないかどうかチェックした。さらに35年前、商業界に入ったころは、
出社するとまず、手紙やはがき、
メモなどが届いていないかを確認した。朝の仕事始めの手順や様式が、
まったく変わってきた。この変化のスピード、
ますます早まるに違いない。
もちろん全ての人が、
それについていく必要はない。
しかし商売をしている人、
商売をしている会社は、
それについていかねばならない。
会社がついていくということは、
トップマネジメントや幹部、ミドルマネジメントも、
その流れについていかねばならないということだ。
一方、こんな考え方、見方もある。
糸井重里の『ほぼ日』。
その巻頭言「今日のダーリン」。
「いろんなものごとが向上していくということを、
ぼくらはついつい、グラフ上の
『右肩上がりの直線』としてイメージしてしまいます」
糸井さんはこれを「イメージの刷り込み」と表現する。
イメージは「ものごとをわかりやすくしてくれる」。
しかし「まちがった型にはめこんで自由を奪うことも」ある。
これ、実に鋭い。
「同じような角度で均一に向上していくのではなく、
停滞する時期があったり、
そのあとで角度を変えてぐんと上るときもある」
「進化とは、階段をひとつ登っては、
しばらく停滞することの繰り返しによって、
成し遂げられるものです」
〈結城義晴『メッセージ』より〉
「そういう不規則な階段状の線が、
らせん状に(バネのように)上っていく感じです」
イメージに関してもうひとつ例を挙げる。
それは「ピラミッド型」の組織図。
ツリー状の図形。
そうすると、
「どうしたって、上のほうに位置している上司と、
フラットな意見のやりとりはできにくくなるでしょう」
そこで考える。
「同じパフォーマンスを出す組織が、
『ピラミッド型』じゃなく描けたら、
所属している人たちの意識も、
変わるんじゃないかと思うんですよね」
ヘンリー・ミンツバーグは、
カナダ・マギル大学経営大学院教授。
『人間感覚のマネジメント』のなかで、
組織の6つの基本部分を説明しつつ、
基本のイメージ図を提示し、
それをさらに展開して、
いくつもの組織パターンを解明した。
6つの基本部分は以下。
第1に、「戦略尖」
=組織全体をまとめるマネジャー
第2に「中間ライン」
=作業核と戦略尖をつなぐハイアラキー
第3に「作業核」
=仕事を遂行する人々
これ以外に、
第4に「テクノ構造」
=分析を支援する技術スタッフ
第5に「支援スタッフ」
=組織内部へのその他サービスを提供するスタッフ
そして最後に第6に「イデオロギー」=組織文化
ミンツバーグは、経営における実践を重視し、
さらに芸術的要素や正確な意味での右脳的要素を大切にする。
組織図に関しては。
最近では、マトリックス型の組織イメージまで考案され、
活用されている。
糸井さんはその鋭い感性で、
「向上」や「組織」のイメージ図に対して、
疑問を感じ、提案している。
このアートの要素が、
糸井重里とミンツバーグを繋いでいるのかもしれない。
日本列島の西のほうに、
台風の大きな渦がやって来ていることをイメージしつつ、
東京湾のおぼろ月を眺めながら、
そんなことを考えた。
2012年の9月も、
もう20数時間となった。
<結城義晴>