米国失業率7.8%なのにオバマ憂鬱、ウォルマート完全復活の実際
ダラス2日目が終わった。
昨日は10店舗を巡り、
なおかつその間に、
全米最大級の食品ブローカーACOSTA社を訪れて、
レクチャーを受け、質疑応答。
とてもいい勉強になった。
最後に主要メンバーで記念写真。
2日目が終わっただけなのに、
ずいぶん長くこちらにいる気がする。
それだけ濃密な時間を過ごしているからだと思う。
アメリカ合衆国労働省が9月の雇用統計を発表。
失業率は7.8%で、前月から0.3ポイント改善。
3年8カ月ぶりの7%台。
9%と10%の間を行ったり来たりしていたのが、
ここへきて、上向き傾向。
人口動態と失業率は、
国の力と、その力の傾向を如実に表す。
下回るのは、2009年1月以来。
非農業部門の雇用者数が、
この1カ月で11万4000人増加。
ニューヨーク外国為替市場では、
円売り・ドル買いで、
78円80銭前後まで下落。
しかし雇用に関して、
製造業は1万6000人減、
小売業もマイナス。
医療関連の雇用は活発で、
過去1年で約30万人増。
製造・小売りはやや、
既成の産業となりつつある。
新しい産業に人が集まる。
この失業率7%台で、
オバマ大統領には追い風かと思えるが、
そうでもないらしい。
大統領選挙は1カ月後。
大統領選直前の失業率としては、
過去最悪の水準らしい。
第38代ジェラルド・フォード大統領、
第39代ジミー・カーター、
そして第41代ジョージ・H・W・ブッシュ、
それぞれの選挙時点の失業率は、
いずれも7%台で、落選。
第40代のドナルド・レーガンだけが例外。
レーガンはこちらではとても人気のある大統領で、
2005年のウォールストリートジャーナル調査では、
歴代大統領ランキングで6位に入っている。
ちなみに、カーター34位、
フォード28位、
そしてパパ・ブッシュ21位。
42代ビル・クリントン22位、
43代子ブッシュ19位。
第44代バラク・オバマは現役なので、
まだ調査されていない。
オバマ大統領は失業率に関して、
こう発言している。
「大統領就任以来、最低水準に低下した。
再びアメリカは前進を始めた」
さて前進を始めたといえば、
あの会社。
この売場写真、
どこの会社の店だと思うだろうか。
青果部門の美しくて、鮮度感にあふれる前進立体陳列。
日本にはもう、ほとんど見られない。
これはハロウィン向けのリンゴ売場。
丁寧で楽しいアイランド陳列。
青果部門もこのカラフルで迫力ある陳列。
そして、バナナ売り場。
1ポンド52セント。
もうお分かりだろう。
エブリデー・ロープライスのウォルマート。
私は愕然とした。
ウォルマートの店がここまで、
水準を上げてきた。
それもエブリデー・ロープライスを維持しながら、
売場は洗練され、楽しくなってきた。
店舗の入り口。
平ケースのジュースの陳列。
ハロウィン・グッズは、
どこよりも積極的な売り込み。
しかも非食品でも楽しいデコレーション。
高い天井にまで届こうかという大がかりな演出。
ハロウィン・プロモーションを派手に展開しておきながら、
もうクリスマス売り場を登場させて、
先取りのイメージづくり。
6000坪、7000坪の広大な売り場を、
最大限有効に使って、
今日を表現しつつ、明日をイメージさせる。
アクションアレーと呼ぶ主通路沿いの島陳列も復活。
なんと卓球台まで主通路の島で売られている。
149ドルなり。
店舗の入り口外は、
エブリデー・ロープライスの花でお迎え。
ウォルマート完全復活。
強い印象を受けた。
2月1日から始まった2012年度。
その第1四半期決算は、
売上高1130億1800万ドル、前年同期比8.5%増、
当期純利益389億4000万ドル、前年同期比9.7%増。
第2四半期(5/1~7/31)は
売上高1142億9600万ドル、伸び率4.5%、
当期純利益 41億6100万ドル、5.7%増。
第1、第2を合わせた上半期は、
売上高2273億1400万ドル、6.4%増、
純利益80億5500万ドル、7.6%増。
8月から10月までの第3四半期も、
この分では絶好調に違いない。
ウォルマートのイノベーションへの意欲、
世界最大の企業でありながら、
衰えていない。
そのことをこそ、私たちは学ぶべきだろう。
ウォルマートがこの調子だからこそ、
昨日のブログで書いたように、
HEBが価格強化とサービスの充実を図っている。
ホールフーズ、トレーダー・ジョーはわが道をゆく。
クローガー、セーフウェイ、
そして特にアルバートソンなどは、
この全体のレベルアップについていけず、
後退していく。
二日目は、
ウォルマート・スーパーセンターと、
サムズクラブを皮切りに、
そのスーパーマーケット部門のネイバーフッドマーケット。
セーフウェイ傘下のトムサム、
3分割された懐かしのアルバートソン。
それからホールフーズ、
ダラス2号店の絶好調トレーダー・ジョー。
さらにこれもわが道を行くアルディ。
スプラウツ・ファーマーズマーケット。
もちろんウォルマート・スーパーセンターのプラノ店も、
定点観測のために訪れて、
31歳のコ・マネジャー、クリス君にインタビュー。
謹厳実直、しかし自信にあふれていた。
このクリス君の顔つきが、
今の、ウォルマートを表わしている。
(つづきます)
<結城義晴>