ニューヨーク直撃ハリケーン・サンディ去り、繁盛する店・衰退する店
Everybody! Good Monday!
[2012vol45]
2012年第45週。
11月第2週。
日本は文化の日と日曜の連休が明けて、
今、大学などは文化祭の真っ盛り。
立教大学の学園祭も、
池袋キャンパスでは11月2日(金)~11月4日(日)、
新座キャンパスでは11月3日(土)・11月4日(日)。
私はもちろん参加できないけれど。
一方、ニューヨーク。
商人舎USA研修会経営戦略コースのメンバーは、
ウォール街のワシントン像の前で、
元気いっぱい。
貴重な体験も重ねた。
ハリケーン・サンディが去った後、
マンハッタンの南側には、
大きな傷跡が残された。
ウォール街はマンハッタン島の南の端にあるが、
ハリケーンのために水没。
小売業・飲食業など、
3日の土曜日まで、
電気や水道が回復せず、
昨日の日曜日にやっと再開。
その分、ミッドタウンは、
人の波、大混雑。
街中を救急車や消防車が、
サイレンを鳴らして走り回る。
南側は信号機も作動せず、
ポリスマンが交差点に立って交通整理をしている。
私たちの宿舎は、今回、
インターコンチネンタルホテル バークレー。
格調が高くて、落ち着きのあるホテル。
ニューヨークには2泊3日だが、
安心してくつろげるホテル。
ロビーも心地よい。
さて、ワシントンDCからアムトラックで、
ニューヨーク・ペンシルバニア駅に到着して、
すぐに目的地を変えた。
初めは南側のダウンタウンを訪問する予定だったが、
コロンバスサークルのホールフーズを訪れた。
ホールフーズの2011年度の年商は101億0800万ドル。
分かりやすく、1ドル100円で換算すると、
1兆0108億円となる。
店数は311。
さて、ワーナータワーの地階の店。
顧客でごった返していた。
ゴンドラアイルも満員電車のように込み合っている。
棚はガラガラ。
ホールフーズでは本当に珍しいこと。
デリ売り場にも、人が殺到。
寿司コーナーは、総動員で対応。
レジも当然、長い列。
そして混雑。
フードコートでは席が探せない。
ハリケーンの影響を考慮して、
日本からの観光や視察のツアーは、
多くがニューヨークを避けたようだ。
しかし、小売業・サービス業の勉強には、
サンディが去った後の状況を、
自分の目と耳で確認するのが良い。
ホールフーズで昼食をとりながら視察し、
その後、イースト・リバー・プラザを訪れた。
2010年7月に、
マンハッタンのミッドタウンにオープンした商業集積。
ディスカウント業態ばかり集めたパワーセンター。
多層階の駐車場は1248台。
マンハッタンでは驚異的な威力を発揮する。
施設総面積は約4万5000㎡。
「絶対に成功する」
私はこの施設を、そう言い切っているが、
案の定、大繁盛。
1階のコストコ。
コストコは8月末決算。
最新の2012年度の決算発表では、
年商970億6200万ドルとなった。
店舗数は598。
約4000坪ワンフロアの売り場の通路は、
大型カート満杯に買い物した顧客でごった返す。
レジもいっぱいで、
そのレジ待ちの行列が、
主通路の店の3分の1ほどまで続く。
店舗入り口では、
店員が商品チェックに忙しい。
2階のターゲット。
この企業はウォルマートの向こうを張る同業態ライバル。
ターゲットの年商は698億6500万ドル。
1763店舗を展開。
ターゲットもレジが満開で、
大繁盛。
食品売り場は狭いが、
顧客が押し掛ける。
棚は品切れだらけ。
こちらも。
こちらも。
ハリケーンの脅威に、
買いだめ需要が高まった。
さらに配送が間に合わず、
品切れ続出。
小売業がライフラインの役目を果たしていることを、
あらためて認識させられた。
このパワーセンターは、
地階にペッツマート。
3階にオールドネイビー。
ギャップのロープライス・フォーマット。
この店もレジは行列。
4階にはオフプライスストアのマーシャルズ。
この店も、ステータスブランドのディスカウントで、
熱烈な信者を集める。
ターゲットの隣は、
キッズタウンという子供服店が早くも撤退し、
アルディが入居。
年商92億1800万ドル、店舗数は1195と急増中。
レジがこんなに混んでいるアルディは、
アメリカでは初めて見た。
3階の全米家電チェーン第1位のベストバイも、
1年で退散。
Always Open BestBuy.comのコピーがむなしい。
「ベストバイのネットショップはいつも開いています」
それはこの店舗は弱かったと自ら認めたことになるからだ。
ディスカウント業態でなければもちろん、
安売り店でも、際立って強い企業でなければ、
ショッピングセンターのなかで生き残れない。
けれど、コストコやターゲット、アルディは、
押すな押すなの大盛況。
そしてショッピングセンターの出口のあたりには行列。
買い物したあとに長い行列に並ぶ。
手ぶらでショッピングに訪れ、
大量に買い込んでタクシーで帰る。
イーストリバーから吹き付ける寒風の中、
人々は黙々と待っている。
これもサンディの影響。
イーストリバーを臨む光景は美しい。
左がブルックリン、右奥はダウンタウン。
サンディが及ぼした打撃からの回復は早かった。
バラク・オバマ現職大統領の選挙が有利に傾斜した。
そのなかで、
小売りサービス業のライフラインぶりも、
鮮明に浮き上がった。
しかし、混迷のときには、
顧客の支持を受ける者はさらに繁盛し、
カスタマーが遠のきつつある者は急速に衰退する。
厳しい競争を、私たちは思い知らされる。
何はともあれ、
こんな時にも店にやって来てくれる顧客には、
感謝しつつ、精進しなければならない。
今月の商人舎標語。
朝に希望、
昼に努力、
夕に感謝。
では皆さん、
Good Monday!
<結城義晴>
2 件のコメント
先生が海外に出張時は、海外の流通事情が、手に取るように見られる凄さに、感激です。昔の記憶と、現在の状況が重なりながら、毎日楽しみです。もし、紹介画像に加えてもらえるなら、海外のドラッグ店舗もお願いします。これから、SMとドラッグ、コンビニのボーダレス化が進みます。先進国のドラッグはどうなっているのかも知りたいです。そこに未来のヒントがありそうな気もします。
inoueさま、ありがとうございます。
ドラッグストアは、アメリカではウォルグリーンと、
CVSケアマークの2社に絞られてきました。
共に1000億ドル目前です。
スーパーマーケットとドラッグストアのコンバインは、
1980年ごろから始まり、
今、それが当たり前です。
さらに、ドラッグストア自体は、
コンビニのようなエクスプレスストア化しています。
おおきな潮流の節目にきています。