オバマ大統領再選と2012年年末商戦の「北風と太陽」
バラク・フセイン・オバマ大統領再選。
今回の選挙で獲得した選挙人数、
303人対206人で圧勝のように見えたが、
得票率は50%対48%。
薄氷の勝利だった。
CNNの出口調査では、
黒人層で93%、
中南米系71%。
しかし白人層の支持率39%。
女性55%、30歳未満の若年層60%。
勝利の理由。
時が味方した。
まず経済指標の改善。
小売業売上高は9月まで3カ月連続プラス。
雇用統計も雇用者増17万1000人で失業率低下。
さらにハリケーン・サンディ来襲と、
その復旧の迅速さ。
7年前のカトリーナ被害のときは、
政府の対応がひどく遅れたが、
今回はその学習効果が出た。
経済や小売業の復活、
失業率の回復、
さらに天候までが、
オバマ再選を後押しした。
天が味方した。
「始めたことを終わらせる」
ノーサイドの今、その意気で頑張れ。
今日は朝から、
新幹線で大阪へ。
富士は雪を頂き、
美しかった。
私はやっと、
日本に帰ってきた気がした。
さて日本に帰ってきてから、
12月商戦の厳しさを、
あらためて感じさせられる。
このままいったらどうなるのか。
そこで私なりにふたつの提案。
第1は基本的な考え方。
「北風と太陽」
イソップ物語。
北風と太陽が、
旅人の上着を脱がせる勝負をした。
北風が力いっぱい吹いて、
旅人の上着を吹き飛ばそうとする。
しかし旅人は風が強ければ強いほど、
上着をしっかり押さえて、
服を吹き飛ばされるのを防いだ。
太陽はさんさんと照りつけた。
旅人はその暖かさに、
自分から上着を脱いだ。
勝負は太陽の勝ち。
しかしこの話には、
あまり知られていない、
もうひとつのストーリーがある。
北風と太陽の勝負は二段階だった。
初めは旅人の帽子をとる勝負だった。
こちらは太陽が照りつける。
旅人は日差しの強さに、
帽子をしっかりかぶって脱がなかった。
北風が全力で吹くと、
帽子は簡単に吹き飛んだ。
第二の勝負が上着を脱がすこと。
それは太陽の勝利となった。
何事にも適切な手段がある。
最適の方法。
ある場合に、ひとつのやり方でうまくいっても、
他の場合には、うまくいかない。
その逆も、またある。
今日、㈱万代の子会社㈱トドクック社長の谷康一さんと話していて、
私はこの「北風と太陽」の話を思い出した。
年末商戦に向けて、
「価格の風」を強く吹きかけても、
思ったほど売上げは上がらない。
かつては「価格の風」が効果を発揮した。
帽子の如き消費だったからだ。
しかしコモディティの低価格だけでは、
消費者の上着を脱がすことはできない。
では現時点での「太陽の作戦」とは何か。
もちろん高価格では、断じてない。
「最良のベーシック」の価格提案。
これは確かな考え方ではある。
ある顧客は帽子もかぶっているし、
上着も着ている。
マフラーも巻いているし、
ヒートテックも身につけている。
一方、ある顧客は丸裸に近い。
そんな顧客たちに、
北風でいくのか、
太陽でいくのか。
持てる手立てで、
ケース・バイ・ケース。
ピーター・ドラッカー教授の、
この考え方しかないのが、
今年の年末商戦だ。
第2の、もうひとつの提案。
アメリカではサンクスギビングデーが、
年末商戦の前段階となっている。
11月第4木曜日〈今年は22日〉が感謝祭。
その翌日の11月23日金曜日は、
「ブラック・フライデー」と呼ばれ、
単日では1年で最大の売上高を占める。
この日からの三連休が、
小売業・サービス業の最大の狙い目となっている。
日本ではまったく偶然ながら、
今年の勤労感謝の日が、
11月23日の金曜日。
24日土曜日、25日日曜日で、
給料は22日木曜日支給。
アメリカのサンクスギビングデーと酷似している。
私は今年、早仕掛けで、
年末商戦入りのピークを、
11月23日からの三連休に設定すべきだと思う。
それで、顧客の支持の最大化を図り、
12月24日のクリスマス・イブと、
12月30日の際の商戦に、
最後の勝負をかける。
あとはバラク・フセイン・オバマの如き、
神風の到来を祈る。
心がけがよければ、
あなたの店に、
「太陽と北風」が、
一緒にやって来てくれるに違いない。
<結城義晴>