「勤労感謝の日」は小売りサービス業で働く人々が主役となる日だ!
今日は「勤労感謝の日」。
私が一年で一番大切にしている日。
「勤労をたつとび、生産を祝い、
国民たがいに感謝しあう」
それが勤労感謝の日の趣旨。
小売業・サービス業に携わるものは、
その勤労感謝の日に仕事する。
経営者はもとより、
社員、パートタイマー、アルバイトまで。
一般の顧客は、国民の祝日。
だから勤労感謝の日は、
小売業者・サービス業者にとって、
際だって尊い。
アメリカでは昨日の11月第4木曜日が「感謝祭」。
そして今日は「ブラック・フライデー」。
一年で一番売る日、売れる日。
クリスマス・イブよりも売れる。
今日からクリスマスまでの1カ月間が、
最大の「書き入れ時」。
日本でも、勤労感謝の日から、
大晦日までが、アメリカほどでないにしても、
最大の「書き入れ時」だ。
そのスタートとなるのが今日。
そしてその日は、
国民こぞって「たがいに感謝しあう」日。
大新聞の一面看板コラムは、
どこを見渡しても「勤労感謝」に触れていないが、
[毎日更新宣言]は、
声高らかに宣言しよう。
今日こそ、
小売業・サービス業に従事する人たちが、
主役となる日だ。
「今日も一日、優しく、強く」
「今日も一日、元気と勇気」
「今日も一日、慌てず、急げ」
朝に希望、
昼に努力、
夕に感謝。
ちなみに日本の国民の祝日は年間に15回。
1月1日 元日
1月第2月曜日 成人の日
2月11日 建国記念の日
春分日〈今年は3月20日〉 春分の日
4月29日 昭和の日
5月3日 憲法記念日
5月4日 みどりの日
5月5日 こどもの日
7月第3月曜日 海の日
9月第3月曜日 敬老の日
秋分日〈9月23日〉 秋分の日
10月第2月曜日 体育の日
11月3日 文化の日
11月23日 勤労感謝の日
12月23日 天皇誕生日
一方、アメリカの連邦祝日は基本的に10回。
1月1日 New Year’s Day 元旦
1月16日 Martin Luther King Day キング牧師記念日(振り替え休日)
2月20日 Presidents Day 大統領の日(振り替え休日)
5月28日 Memorial Day メモリアルデー
7月4日 Independence Day 独立記念日
9月2日 Labor Day 勤労感謝の日(振り替え休日)
10月8日 Columbus Day コロンバス記念日
11月12日 Veterans’ Day ベテランズ記念日(振り替え休日)
11月22日 Thanksgiving Day 感謝祭
12月25日 Christmas Day クリスマス
日本の方がアメリカよりも祝祭日は多い。
小売りサービス業にとって、
これは好条件と言える。
商売の節目をつくることができるからだ。
ただし最後の勤労感謝の日と天皇誕生日からのクリスマスは、
アメリカと一緒。
何度も繰り返すが、
この1カ月間が最大のピーク。
今年は特に「無呼吸泳法」となります。
ちなみに、これも繰り返しになるが、
メンバーシップ・ホールセールクラブのコストコは、
年間7回の休業日を設けて、
アソシエーツを休ませる。
この中で、第2のイースターは、復活祭。
春分の日の次の満月の週の日曜日。
特別に祝日とはなっていないが、
コストコはこの日曜日にも休業する。
国民が休んでいるときに働くことは貴重だが、
その国民と同じに休む。
それができる小売サービス業は、
幸せである。
さて、一昨日の11月21日、
阪急百貨店うめだ本店が全面開業。
日経新聞が記事にした。
2005年から改装を続けていて、
売場面積8万㎡に拡大。
従来比3割増。
10月25日に部分開業していて、
その後約1カ月間の来場者は前年同期比2.2倍、
なんと400万人。
1日換算13万人強。
売上高は前期比6割増。
初年度売上高計画は2130億円で、
伊勢丹本店、三越日本橋店と並んで、
2000億円超を果たす。
これは前年度比7割プラス。
凄い計画だし、すごい店だが、
ほかの店はそうでもない。
昨春改装開業の高島屋大阪店は、
上半期の増収効果が想定の3割にしかならない。
梅田に期待の新店をオープンさせた三越伊勢丹、
1年半で188億円の減損損失を計上。
今春に一部改装した松坂屋名古屋店、
13年2月期の予想売上高を下方修正した。
東武百貨店池袋本店も一部改装したが計画未達。
日本百貨店協会によると、
2011年の全国の百貨店年間売上高は、
6兆1525億円で15年連続前年割れ。
ピークの91年比では37%減った。
百貨店は日米ともに衰退業態だ。
衰退業態の特徴は、
全体の営業状況が悪くなるのではなく、
絶好調のほんの一握りの店と、
ほとんどの大不振の店とに、
明確に分かれること。
百貨店の機能自体は、
必須のものだ。
「大都市の良いもの何でも屋」。
しかし良いものが、小さなコンビニでも売られることになると、
「何でも屋」の機能は、あっちにもこっちにもある必要がなくなる。
だから百貨店は、
絶好の立地の、
最大面積の店舗しか、
集客できず、売上げも利益も、
上げられなくなる。
その10月の「全国百貨店売上高概況」。
全国総売上高は4955億9612万円で
既存店前年比はマイナス2.4%。
これで6カ月連続のマイナス。
都市別に見ると、
プラスは札幌の+1.3%と、
神戸の+0.8%のみ。
札幌はもちろん、
日本ハムファイターズの優勝セールで、
大きく売上げを伸ばした。
今年は前年に比べ、
土日がそれぞれ1日ずつ少なかった。
また10月中旬まで気温の高い日が続いたことで、
主力の冬物衣料が売れなかった。
高級宝飾品やブランド品は変わらず堅調で、
クリスマスケーキやお節の早期受注も順調ではあるが、
全体としてみると、まだまだ商況は厳しい。
他の業態も10月の営業成績が発表されている。
「コンビニエンスストア統計調査月報」。
日本フランチャイズチェーン協会の発表。
既存店の店舗売上高は
6992億4300万円、前年同月比マイナス2.1%。
コンビニは5カ月連続でマイナス。
それでも、全店ベースで見れば、
前年同月比プラス2.4%と好調。
店舗数は46224店で昨年より5%増えている。
既存店の来客数が11億9845万人でマイナス0.9%、
平均客単価は584円のマイナス1.2%。
商品別では、
日配がプラス3.7%、
加工食品が7.4%。
食品は好調に推移していることが分かる。
ただし、非食品がマイナス2.0%。
タバコの購入者が減少しているが、
それがコンビニに大きな打撃を与えている。
一昨日発表されたのは、
「スーパーマーケット販売統計調査」。
日本スーパーマーケット協会、
オール日本スーパーマーケット協会、
新日本スーパーマーケット協会からの合同発表。
10月の総売上高は7881億5366万円、
既存店前年同月比はマイナス2.8%。
スーパーマーケットは8カ月連続マイナス。
部門別の詳細は、
以下のような結果となった。
食品合計 6847億0196万円(マイナス2.8%)
生鮮3部門合計 2508億7451万円(マイナス3.8%)
青果 1018億8786万円(マイナス4.5%)
水産 682億5893万円(マイナス4.3%)
畜産 807億2771万円(マイナス2.4%)
惣菜 696億6349万円(マイナス2.1%)
日配 1494億6152万円(マイナス2.4%)
一般食品 2147億0244万円(マイナス2.0%)
非食品 687億6480万円(マイナス2.8%)
その他 346億8690万円(マイナス2.1%)
全部門マイナス。
今月の発表は、増井徳太郎さん。
新日本スーパーマーケット協会副会長。
「発表するのに、心痛い」
そして、
「新店を含めた全店ベースでも、
今年の7月以来初めて100%を割れてしまった」
「青果は果物がよく動いたものの、
野菜の相場安の影響で売上げにつながらなかった」
「水産も不調。
今月は不漁が続いたため、
築地での動きに変化がみられた。
以前は、午前2~3時に仕入れをしていた人たちが
今は前日の夜11時頃に出勤してきている。
そうしないと、良いものが買えないからだ」
「今までずっと好調だった惣菜も、
ここにきて商品のマンネリ化がみられる。
コンビニとの差別化が非常に厳しい。
今後、品揃えの見直しが必要だろう」
厳しいコメントばかり。
今月のゲストスピーカーは市森曉さん。
㈱三越伊勢丹フードサービス代表取締役社長。
昨年4月、Queen’s Isetanと、三越の子会社・二幸が統合。
株式会社三越伊勢丹フードサービスが生まれた。
売上高は540億、店舗数は20店。
「10月の売上げは前年比98.8%。
客数は99.4%でそれほど変わっていないが、
客単価が96.5%で下がっている。
6月に実施したナショナルブランドのEDLPが要因。
飲料を中心に600~1000アイテム値下げした」
「顧客のライフスタイルを見直してみようと考えて、
顧客1600名にアンケートを行った。
三越伊勢丹フードサービスの重点顧客は、
40代前後の小学生が2人いる4人家族。
しかしこのターゲット層の離反率が高まり、
買いまわりが増加しているという状況が見えた」
「今後も厳しい状況が続くだろう。
独自性のある商品を提供し、
顧客の価値観に見合った価格を、
見直していく必要がある」
市森さんも厳しいコメント。
そして最後に、
総合スーパーの商況。
昨日発表の「チェーンストア販売統計」。
日本チェーストア協会のまとめ。
総販売額は1兆0036億2273万円、
既存店前年比はマイナス4.0%。
チェーンストアも8カ月連続マイナス。
食料品 6202億円(マイナス3.4%)
衣料品 1087億円(マイナス8.0%)
住関品 2059億円(マイナス3.4%)
サービス 33億円(プラス0.7%)
その他 652億円(マイナス4.2%)
サービスだけプラス。
総合スーパーの店舗の広さが、
サービス機能に貢献している。
この中で特に低迷したのは衣料部門。
マイナス8%。
10月下旬にようやく気温が下がってきたことで、
冬物衣料に動きが見られたが、
前半の不調をカバーできず。
売上げの前月比だけは、
3.8%増加している。
厳しい10月商戦だった。
11月12月も環境は、
全く変わらない。
そのうえ、衆議院総選挙がある。
残念ながら12月16日まで、
国民不在の政党主義が闊歩する。
消費は白け、冷え込む。
しかし、小売りサービス業は、
なんとか国民に「元気」を提供し続けたいものだ。
スポーツや芸術と同様に、
国民の暮らしに明るい灯を供したい。
朝に希望、昼に努力、夕に感謝。
<結城義晴>