安倍第2次内閣発足と「落ち目のときに人間の真価が問われる」
国民の期待を担って、
第2次安倍内閣が発足。
大差で決まったからには、
長期安定政権を樹立し、
国民の意思を反映させて、
再び「国づくり」に邁進してほしい。
主義主張を超えて、
それを期待したい。
首相と閣僚の平均年齢は57.7歳。
第3次野田佳彦内閣は58.3歳、
前回の2006年安倍内閣は60.9歳、
長期政権となった2001年の小泉純一郎内閣は61.5歳。
平均年齢が若い内閣だからといって、
いい仕事ができる保証はない。
内閣も政党も、
イメージではなく、
仕事力。
しかも安倍首相自身は、2007年9月、
体調不良を訴えて退陣。
5年ぶりの復帰。
吉田茂首相以来、
なんと64年ぶり。
前回辞めた時の印象があるので、
すっきり受け止めにくいところもあるが、
こうなったら応援するしかない。
何しろ今、日本国に必要なのは、
「長期安定政権」。
日経新聞スポーツ欄のコラム『チェンジアップ』。
元西鉄ライオンズの野武士・豊田泰光が、
評論家となって書き続ける。
「プロの評価の基本は年俸だが、そればかりでもない。
右肩上がりで終わる野球人生はなく、
最後は衰えて終わる」
ここで自分の屈辱的な減俸の経験を語る。
その経験からの一言がいい。
「落ち目になってから、
人間の真価が問われる」
読売ジャイアンツの小笠原道大の年俸3億6000万円減。
豊田は言う。
「さあ、ここからだ。
売り物のフルスイングをやめて、
当てに行くなら、
一銭の値打ちもない」
「代打の1打席でも球場がわくのは
そのスイングを見たいからだ」
「小笠原も振り続けるべし」。
「年俸が下がり始めたときに、
お金を越えた何かがみえてくる」
そしてソフトバンクの王貞治球団会長の言葉を引く。
メジャー帰りの五十嵐亮太の入団会見。
「勝ち負けでなく、ファンの胸に焼き付く投球をしてほしい」
豊田は述懐する。
「あれだけ勝ちにこだわってきた人が、
そう話したのだ。これは重い」
「プロ野球はお金だけでなく、
勝ち負けだけでもない――。
みんなに聞かせたい言葉だ」
小売りサービス業も、
売上げだけでなく、
利益だけでもない。
「落ち目になってから、
人間の真価が問われる」
そこから復帰した安倍晋三。
真価が問われるのは、これからだ。
さて日経新聞の一面に、
「コンビニ出店、3年連続最多」の記事。
コンビニのニュースは、
大新聞の一面を飾る。
コンビニエンスストア大手5社というところが、
ちょっと物足りない気がしないでもないが、
2013年の新年度、
約4000店の国内出店計画。
過去最高。
出店数から閉店数を差し引いた純増数は、
2300店超で、これも過去最高。
これだけ競合の激しいコンビニが、
まだまだ過去最高の出店と純増。
アメリカではウォルマート・スーパーセンターの出店が、
すべての小売業に影響を与える。
日本ではコンビニの出店が、
全ての小売サービス業に打撃を与える。
セブン-イレブンは2012年度比1割増の1500店。
何よりも強いインパクトは、
来年春の四国進出。
3年間で250店の予定。
ファミリーマートは、25%増の1000店。
サークルKサンクスは18%増の500店、
ミニストップは5%増の200店。
ローソンだけが新規出店数を減らして、
既存店強化を優先。
これはこれでローソンの独自戦略で、
よろしいと思う。
それ以外に、デイリーヤマザキ、セイコーマート、ポプラ、
それにスリーエフ、ココストアなどが続くが、
これらのチェーンやそれ以外の企業の出店数を総合すると、
5000店となるのか6000店となるのか。
日本の小売業、サービス業を先導する業態であることは、
間違いないし、そのコンビニが、
プライベートブランド開発に邁進する。
製造業・卸売業をも巻き込んで、
2013年が進んでいく。
問題はそれ以外の業態にある。
コンビニの活力に負けない仕事力を見せてほしい。
すなわち業態間競争を、
意識しなければならないということ。
年の瀬に、それを強く思う。
自分と同じ姿をしたものをのみ、
敵と思い込むことの怖さ。
さて昨日の午後は、
横浜・商人舎オフィスに続々、来客。
まず、㈱クレハのお二人。
中央が佐川正さん。
取締役常務執行役員家庭用品事業部長。
右は鈴木伸明さん。
リビング営業統括部販売管理グループリーダー。
佐川さんのクレラップの商品イノベーションと営業改革の話。
実に面白かったし、感心した。
「食品ラップはコモディティ・グッズの代表」
そんなイメージが大勢を占めているが、
クレラップは東日本大震災以降、
ノンコモディティの地位を築きつつある。
これは大いに研究資源となる。
次に㈱ゴードン・ブラザーズ・ジャパンCEOの増田春彦さん。
実に感じの良い人物。
しかも優秀で、実績十分。
アメリカのゴードン・ブラザーズ・グループは、
100年以上の歴史を持つコンサルティング企業。
「在庫を中心とする動産を対象に
高度な鑑定評価・換価・ABLを提供する」
そのビジネスモデルは、
ハーバード大学ビジネススクールのアナンス・レーマン教授が、
小売業研究のなかで、ケーススタディの対象にしているほど。
ちなみに私はレーマン教授の本を持っている。
「小売業の新科学」とでも訳したらいいか、
空港の書店に並んだほどの本。
レイマン教授に会いたくなった。
最後に、渋木克久君。
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科・結城ゼミ第2期のゼミ長。
今年結婚して、奥さんの杉山純子さんは、
修士論文をすぐに単行本として発刊。
お目出度続きの渋木君、
新しい年に飛躍してもらいたい。
「落ち目になってから、
人間の真価が問われる」
落ち目になっていなくても、
人間は慢心してはならない。
それが人間の価値を決める。
ピーター・ドラッカー教授。
「あなたは何をもって
憶えられたいか?」
これこそ人間の真価を問うている。
〈結城義晴〉