憲法問題も原発問題も店の繁盛も「自立と勇気」によって決断せよ。
1月3日、三が日最後の日。
新年 おめでとうございます。
まだまだ、挨拶の言葉としてふさわしいでしょう。
だから三が日のあいだは、年賀状を掲載。
そして会社へ自宅へ、
年賀状をお送りくださった皆さん、
ありがとうございました。
1000通くらいは出しているのですが、
それでももちろん間に合いません。
恐縮ですが、この場を借りて、
お礼申し上げます。
さて1月3日ともなると、
ずいぶん多くの店舗が開いてきて、
街に活気が出てくる。
街の活気のもとは、人と店であることが、
1月の1日、2日、3日で、
すごくよく実感できる。
例えば今日、スーパーマーケットを訪れる。
繁盛していてくれよ。
そんな願いを込めて、店に入る。
ドラッグストアに向かう。
ここも繁盛していてくれよ。
コンビニに立ち寄る。
ここにも繁盛を。
商店街の専門店。
ここも繁盛しますように。
私は正月には分け隔てなく、
繁盛や千客万来をお願いする。
きっと日本中のお客様が、
そんな感慨をもって、
自分の家の一番近くの店に行くんだと思う。
もちろん目的別に一番近い店。
百貨店、総合スーパー、スーパーマーケット、
ドラッグストア、ホームセンター、
カジュアルファッション店、
コンビニ、エトセトラエトセトラ。
業態別に、一番、
親近感のある店を訪れる。
正月だから。
ところが、1月、2月、3月と時間を経るごとに、
新店が登場したり、チラシが入ったり、
新たな機会が訪れて、
他の店に流れる。
だからこそ、
正月の今、お客さまを迎えることの重さを、
感じ取っていなければいけない。
正月の今、やって来てくださるお客さまの有難さを、
知っておかねばならない。
今日、私が訪れた店は、
いずれも繁盛していた。
お客さまがニコニコしていた。
働く人たちは?
残念ながら、ちょっと疲れているように見えた。
もちろん、きちんとしてはいたが。
ここで満面の笑みをたたえた人たちに迎えられたら、
1年間、お世話になります、お願いします、と、
顧客側から感謝してもらえるし、
頼りにしてもらえる。
明日から営業の企業は、
明日がまた、ひどく大事な日になる。
そんな1月3日。
朝日新聞と東京新聞が、
巻頭コラムで一人のアメリカ人女性のことを取り上げた。
ベアテ・シロタ・ゴードンさん。
昨年暮れ、ニューヨークの自宅で亡くなった89歳。
日本国憲法の起草にかかわり、
人権小委員会の一員として憲法24条を書いた。
22歳の時だった。
朝日の『天声人語』はゴードンさんの言葉を紹介。
「『日本の憲法はアメリカよりすばらしい』。
そして憲法が日々の暮 らしに根を張ることを願ってきた」
「ただ書いただけでなく、
戦後の日本を見つめ続けた人だった」
アメリカから押し付けられた憲法、
独自憲法を。
様々な論議が繰り返されてきた。
しかしゴードンさんは、
アメリカ合衆国憲法より素晴らしい憲法だと信じた。
東京新聞『筆洗』は、語る。
24条の男女平等や社会福祉に関する条項に関して、
「だれが起草しようとも、
二四条はすでに普遍的な理念として、
私たちの中でしっかりと息づいている」。
その東京新聞の今日の社説。
「電力業界から17億円寄付 原子力研究の8国立大に」
共同通信の記事だが、
「原子力関連の研究に取り組む東京大や東北大、名古屋大など8国立大が、
電力会社や原子炉メーカー、核燃料加工会社など電力・原子力業界から
2011年度までの5年間に計約17億4400万円の寄付を受け取っていた」
「大学側が受け取った寄付金は
ほとんどが提供先を指定されており、
原子力工学などの研究者に渡った。
原発の新たな安全基準を検討する
原子力規制委員会の会合に参加する研究者も含まれていた」
これは日本国の安全規制に影響する可能性がある。
徹底的に調査し、検証すべきだろうと、私も思う。
今年は、自民党が政権に復帰した年。
この類のニュースにはますます、
敏感になっておかねばならない。
さて、三が日はスポーツ・イベント目白押し。
駅伝、ラグビー、アメリカンフットボール、サッカー・・・。
観戦するだけでなく、自ら体を動かしたい。
日経新聞のスポーツコラム『チェンジアップ』。
私の大好きな西鉄ライオンズの野武士・豊田泰光が書く。
昨年12月開催のイチロー杯。
イチロー主催の少年野球大会。
その最後のイチローの締めの訓示。
「今まで生きてきたなかで
大きな決断がいくつかあったが、
常に自分で決断してきた」
「(君たちも)将来、必ず
大きな決断をしなくちゃいけない時期が来ると思う。
そのときに難しいことに立ち向かっていって決断すること。
これができる大人にぜひなってほしい」
豊田は述懐する。
「大人こそ耳を傾けなければならない言葉だった」
大きな決断の時、
難しいことに立ち向かっていって、
常に自分で決断すること。
私は、昨年の商人舎ミドルマネジメント研修会の冒頭で強調した。
「自立したミドルマネジメントであれ」
それが結局、一番、会社のためになる。
同時に、自分のためになる。
大きな決断の時、
難しい決断の時、
常に自分で決めること。
結城義晴著『メッセージ』(商業界刊)より、
「勇気ある決断」
私たちは
いつも
勇気を
もたねばならない。
弱い人も、
強い人も。
小さな人も、
大きな人も。
力ある人も
知恵ある人も。
地位ある人も、
将来ある人も。
最後の最後には
勇気ある
決断を
しなければならない。
恐れてはいけない。
くじけてはいけない。
悔やんでもいけない。
逃げては、もちろんいけない。
日々の
小さな意思決定にも
勇気が
潜んでいなければならない。
人生一度の
大きな勝負どころには
勇気が
あふれていなければならない。
四面楚歌の
窮地には
勇気でしか
立ち向かえない。
勇気とは
未知なる世界に一歩、
目隠しで踏み込む
心のあり方だ。
雪印も日本ハムも、
ダイエーも西友も、
イトーヨーカ堂もイオンも、
そしてユニクロも。
人びとが
すべて
勇気ある決断を
しつづけなければいけない。
イチローの言いたいことは、
「自立」と「勇気」である。
憲法も原発も、
そしてお店の繁盛の考え方さえも、
自分で決める。
「自立」と「勇気」によって。
正月3日。
そんなことを思う。
〈結城義晴〉