お客様は神様? 王様? 能動的消費者? プロシューマー?
Good Monday! Everyone!
[2013vol2]
2013年も第2週に入りました。
このブログでは毎週月曜日に、
Good Monday!と呼びかけて、
その下に[2013vol2]のように書き込みます。
これは「2013年の第2週ですよ」という意味。
その2013年の第1週は、
先週火曜日の1月1日からスタート。
だから今週は第2週。
私はウィークリー・マネジメントをお勧めしています。
マンスリー・マネジメントでは、
月ごとに日数や曜日回りが異なるので比較しにくい。
だからどういうわけか前年同月比が、
基準になってしまう。
私も仕方ないのでそれを使っていますが、
本来なら、直前の4週間、
あるいは13週間[=正確な四半期]の数値を比較するのが、
現状を把握するには一番よい。
みなさんは、自分の体調をチェックするとき、
前年同月比を使いますか?
まあ、人間ドックに入ったりすると、
昨年の数値と比べたりしますが、
それは1年に1回だけ検査をするから。
日々の変化を追いかけ、
週次の動きを見て、
経営をする。
それが一番正確。
だからウィークリー・マネジメントがいい。
『52週マーチャンダイジング』は、
鈴木哲男さんの提唱するものですが、
1年に52回の販促企画をつくることではありません。
お客様の週ごとの暮らしに、
店や売り場を合わせていくことです。
つまりウィークリー・オペレーションや、
ウィークリー・マネジメントが、
基本にあるということなのです。
商人舎版の週の数え方は、
まったく暦通り。
1月1日が始まる週を第1週、
今年ならば1月7日からが第2週。
従って、12月最後の週は第53週となりますが、
それまでお付き合いのほど、お願いしておきます。
さて今日7日は人日(じんじつ)の節句。
朝、七草粥を食べる習慣がある。
「七草粥」は7種の野菜が入った粥。
セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ。
しかし平安時代中期の律令施行細則『延喜式』には、
「七種粥」があって、
この粥には、七種の穀物が入っていた。
米・粟・黍(きび)・稗(ひえ)・みの・胡麻・小豆。
今朝の私の七草粥は、五穀米と七草。
質素な食事が、心地いい。
今年もこういった風習や習慣を、
大切にして生きていきたい。
年を取ってくると、
妙にそんな気分になってくる。
一日にしてならぬもの山眠る
〈朝日俳壇 所沢市・前島弘典〉
選者の長谷川楊さんが「泰然として眠る山」と評す。
一日で出来上がってしまうものではなく、
何日も、何年も、何百年も、何千年もかけて出来上がるもの。
それだけで尊敬できる。
それらを大切にしたい。
惑星に光の届く寒さかな
〈朝日俳壇 静岡市・松村史基〉
三が日は暖かかったけれど、
この数日は寒い。
そして、一月元旦。
初日の出天動説の過りけり
〈朝日俳壇 堺市・小西彦次〉
大根と人参仲良く並びけり
〈朝日俳壇 横浜市・有村次夫〉
スーパーマーケットの売場か八百屋の店頭か。
白色と朱色のカラーコントロール。
今年もよろしく。
月曜日は俳句や短歌を楽しみたい。
さて、今週のスケジュール。
七草から始まって、仕事も普通に本格化。
大学・大学院は今日から始まる。
私はサービスマーケティングの講義。
横浜の小学校は明日から授業開始。
規則正しい生活スタイルの復活。
いいことです。
仕事上、年始挨拶などに外を回る人も多かろう。
新年の賀詞交歓会なども今週から来週にかけて。
私は今週水曜日は東北シジシーへ、
木曜日は横浜でAJS新年懇親会。
その間、原稿2本執筆、
論文3本確認。
そして週末から三連休。
来週月曜日は成人の日。
年末年始の大忙しから解放されて、
すこしずつ冷静に仕事を見直したりする。
それでも、基本は、
今日も一日、優しく、強く。
今年1年の商人舎標語は1月のそれを兼ねる。
よろしく。
最後にひとつだけ新聞から。
日経新聞の『経営の視点』
タイトルは「『お客様は神様』は正しいか」
特別編集委員の森一夫さんのコラム。
「『安ければ何でもいいという市場からは撤退しろ』。
パナソニックの津賀一宏社長は腹をくくった」。
この書き出しで始まる。
かつての松下電器、
テレビ事業の安値競争下で「負け組」。
「『お客様は神様』を金科玉条に、
あまねく広く売ろうと商品モデルを増やし値段を下げ、
そのあげく大赤字だ」
ただしコラムニストのいう「お客様は神様」というフレーズ、
これは三波春夫でございます。
パナソニック創業者の松下幸之助は、
「お客様は王様」。
「誰に何をどう売るか、焦点を絞って
事業構造を組みかえる必要がある」
つまりマーケティングのSTP。
基礎の基礎。
セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング。
「ある分野やある地域などの様々な切り口で、
それぞれの顧客に密着して、
そこでトップシェアを目指す」
今さらか、という気がしないでもないが、
「パナソニックは、
88のビジネスユニット(事業部)を
56に再編して競わせる計画」。
キリンビールの磯崎功典社長。
泡を凍らせたビール「フローズン〈生〉」がヒット。
その理由を調べて驚いた。
「アンテナショップに来た人が
スマホなどで写真を撮って友達などに広めてくれた」
これもスマホを使ったクチコミ。
「顧客は自主的に宣伝もしてくれるパートナーにもなり得る」。
お客様は神様ではなく、
お客様は宣伝マン。
立教・結城ゼミの武藤麻代論文がテーマとするのは、
「能動的消費者」、
アクティブ・コンシューマー。
彼ら・彼女らがここでいう宣伝マン的な活動をする。
キリンは、
「職人技を入れ込んだビールを求める層など、
具体的な顧客像を念頭に置いている」。
私はいつも言うが、
マス・マーケティングから、
ワン・トゥ・ワン・マーケティングへ。
しかしここで誤解してならないことは、
マス・マーケティングのご利益も、
お客様にとっては必須のもの。
誰かがそれを担う必要がある。
全員が全員、
マス・マーケティングを志向する時代ではない、
というだけのことだ。
「高度成長期以来、
均質な商品を安く大量に供給することで成功を収めた産業は
転換を求められている」
転換には時間がかかる。
パナソニックの津賀社長の宣言。
「V字回復は目指さない。
すぐ駄目になるからだ。
私は根っこから変える」
「根っこから変える」
これは当たっているだろう。
しかしこのコラム、
「お客様は何なのか」の、
解答がない。
「残念~!」
ギター侍、・・・ちと古いか。
でも三波春夫よりは新しい。
時にお客様は、「王様」。
松下幸之助の持論。
時にお客様は、「能動的消費者」。
時にお客様は、「プロシューマー」。
アルビン・トフラーのいう「生産=消費者」。
事業ごとに、商品ラインごとに、
業態フォーマットごとに、
それぞれにポジショニングしていく必要がある。
そういった考え方を企業や組織に植え付けるには、
「根っこからの転換」は必要だろう。
2013年第2週から始めてもいい。
では、みなさん、今年も。
Good Monday!
〈結城義晴〉
2 件のコメント
「マーケティングのSTP。基礎の基礎。」
結城先生へ 新年あけましておめでとうございます。本年も本ブログを励みに公私に頑張ります。
昨日のNHKラジオ番組で「AKB現象」を取り上げていました。
AKBはプロではなくスポーツで例えると「高校野球・アマチュア」だそうです。
ファンはプロとしての「AKB」を望むのではなく、アマチュアから成長を続ける彼女達を応援し続けます。「AKBの握手権付CD」も音楽ファンからは邪道と揶揄されていますが、かつてのCDを媒体にした音楽産業は、今やWEB上で音楽コンテツはほぼ無償で手に入ります。それに対して「AKBの握手権付CD」は新たな付加価値を持ったCDです。
したがってAKBはマーケティングのSTPの革新なのかも知れません。
いまちゃん、おめでとうございます。
AKBはマーケティング・イノベーション。
その通りです。
作品、すなわち商品だけでなく、
売り方も大切ですし、
セグメンテーション、ターゲティング、
そしてポジショニングが何より重要です。
今年もよろしく。