きゃりーぱみゅぱみゅ「心の角度」と桑田真澄「体罰に愛はない」
Everybody! Good Monday!
[2013vol3]
2013年第3週の月曜日。
成人の日の祭日だが、
関東甲信越は大雪。
横浜ももちろん、
昨日とうって変わって、
今年初の大雪。
予定されていた高校サッカー決勝まで、
中止になった。
わが家のベランダも、
雪景色。
ジジは、ベッドで寝ている。
そう言えば、
40年ほど前の私の成人の日も、
雪だったと思う。
あのころは月曜日ではなく、
1月15日に決まっていた。
私は朝から、
自宅で連絡を待っていた。
成人式に行くつもりも、
まったくなかった。
連絡は来なかった。
そして一日は終った。
悴(かじか)みて別れのことばつながらず
〈朝日俳壇 荒尾市・鶴田幾美〉
今年の成人たちは、122万人。
団塊の世代の半分に減った。
1992年度生まれ。
私は㈱商業界に在籍して、
月刊雑誌『食品商業』の編集長だった。
バブルが崩壊して、
「価格破壊」が声高に叫ばれていた。
各紙社説で成人式のメッセージを発信。
毎日新聞の社説は、
きゃりーぱみゅぱみゅの、
ヒット曲「つけまつける」を引き出す。
今月20歳になる人気歌手、
紅白歌合戦に出ていた。
作詞も作曲も中田ヤスタカ。
「つけまつけま つけまつける
ぱちぱち つけまつけて」
「付けるタイプの魔法だよ
自信を身につけて
見える世界も変わるかな
同じ空がどう見えるかは
心の角度次第だから」
コラムニストは解説する。
「つけまつげで変身し、自信を取り戻して
新しい世界を求めようと呼びかける。
今の人間関係に苦しんでいるのなら、
思い切って違う人とのつながりを求めようよ
と背中を押すようにも聞こえる」
「気になるのは若者たちの自殺」
2011年の10〜20代の自殺者は3926人、
前年より134人増えた。
「就職失敗が原因とされたのは150人」
これは4年前の2.5倍。
「重圧や不安に悩む若者はかなりの数になる」と、
コラムは言う。
そこで、作家・平野啓一郎の「分人」という概念を紹介。
これは「個人」に対置する言葉としての「分人」。
「内部に実体(本当の自分)があると思うと生きづらくなる。
そうではなくて、他人との関係の中で、
そのつど、変わりゆくものとして、
関係の数だけ、自分がいると思えばいい」
講談社現代新書『私とは何か』に出てくる。
私が毎年、成人の日に書く「もうひとりの自分」と似ている。
「教室でいじめられている自分は、私の一部で、
放課後は別の自分、家に帰れば、また別の自分がある。
私とは、そういった『分人』の集合なのだ。
新しい人間関係を誰かと結べば、
また、別の分人ができる。
そうやって、危機をしのいで、
前向きに生きていけないだろうか」。
良い提案だと思う。
先週土曜日の朝日新聞。
元巨人軍の桑田真澄が「体罰」に切り込む。
大阪市立桜宮高校バスケットボール主将の自殺に関しての発言だが、
これはとてもいい。
「私は中学まで毎日のように
練習で殴られていました」
そしてきっぱりと体罰を否定する。
「絶対に仕返しをされないという
上下関係の構図で起きるのが
体罰です。
監督が采配ミスをして
選手に殴られますか?」
「スポーツで最も恥ずべき
ひきょうな行為です」
「指導者が怠けている証拠でもあります。
暴力で脅して子どもを動かそうとするのは、
最も安易な方法」
これは仕事においては、
「パワーハラスメント」に通ずる。
「子どもが10人いれば10通りの指導法があっていい」
これも仕事や職場につながる言葉。
「練習中に水を飲むとバテると信じられていたので、
私はPL学園時代、先輩たちに隠れて
便器の水を飲み、
渇きを凌いだことがあります。
手洗い所の蛇口は針金で縛られていましたから」
この体験と言い切りがすごい。
「私は体罰を受けなかった高校時代に一番成長しました。
『愛情の表れなら殴ってもいい』と言う人もいますが、
私自身は体罰に愛を感じたことは、
一度もありません」
まったくもって正しい。
桑田をどこかのチームの監督にしたくなる。
しかしこの桑田真澄の発言は、
子どもに対する体罰に限らない。
セクハラ、パワハラ、アカハラ(アカデミックハラスメント)。
「絶対に仕返しされない上下関係」そのものが、
組織にとって有害ではあるが、
その構図のなかで暴力や暴力的行為をすることこそ、
撲滅していかねばならない。
しかし残念ながら、
こういった考え方が、
あまねく普及しているとは限らない。
場合によっては、
桑田が危惧する局面もあるだろうし、
それは今の成人たちが社会人になってから、
遭遇する世界かもしれない。
それまでは、
きゃりーぱみゅぱみゅ。
「同じ空がどう見えるかは
心の角度次第だから」
しかしピーター・ドラッカーは、
何度も繰り返している。
〈人は、企業の所有物ではない〉
〈マネジメントとは、
人の強みを発揮させることである〉
人の強みを発揮させようとするとき、
暴力的行為は一切、必要ない。
では、みなさん。
Good Monday!
〈結城義晴〉