イオンPB1兆円・米国セブン1万店、学習院DSCMと食品ヒット大賞
日経新聞の「パソコン離れ急加速」。
電子情報技術産業協会発表の1月の国内出荷台数。
前年同月比なんと13.4%マイナス。
3カ月連続の前年割れで、
それでも64万8000台。
2012年全体のパソコン出荷台数は前年比で微増。
しかし出荷金額は7.1%マイナスの8090億円。
これは価格競争の激化で販売単価が落ち込んだため。
2012年度の販売計画に関して、
ソニーは販売計画を期初目標から200万台以上下方修正、
富士通も出荷計画を100万台引き下げた。
東芝は売上高を当初の8200億円から7380億円にダウンさせた。
「ウィンドウズ8の販売が想定を下回った」
ソニー加藤優最高財務責任者のコメント。
スマートフォンやタブレットに、
その座を奪われつつある。
私にとってパソコンは毎日必需の道具だが、
全体ではスマホやタブレットに移行中。
このスピード感、実感せずにはおれない。
さて日経新聞にイオンとセブン-イレブンの記事。
まず「イオン、PB販売1兆円」。
2012年度のPB販売額は約7000億円。
前年度比3割アップ。
イオンリテールは約340店、
この総合スーパーではPB比率は約20%。
だが、2013年度は25%に高める。
グループの食品スーパーやコンビニでもPBを拡販して、
イオン全体の2013年度計画では、
プライベートブランドの売上高を1兆円の大台に乗せる。
2012年度比4割増。
1980年、ダイエーが日本初の売上高1兆円を達成したが、
イオンはプライベートブランドだけでそれを果たす。
このうち「格安PB」の品目数は1.5倍となる。
コンペティティブ・ブランドの
「トップバリュ・ベストプライス」の強化で、
消費税増税前の1年間、
価格リーダーシップを握ろうという作戦。
これは一般メーカー品より3~5割安い商品。
2013年度中に現在の400品目から600品目に増加。
2013年度のトップバリュ総品目数は、
衣食住で現状の約6000品目から微増。
従って、1アイテムあたりの売上げを3割増やして、
価格訴求力をさらに上げる計画。
イオンのトップバリュを筆頭に、
今年も低価格旋風が吹き荒れる。
一方、「セブン-イレブン、北米で『復活』」。
米国セブン-イレブンは、
セブン&アイ・ホールディングスの完全子会社。
「日本流の店舗運営で業績を拡大、
北米1万店体制が視野に入る」
アメリカのコンビニは、約15万店。
そのうちの8割がガソリンスタンド併設型。
米国で8000店強のネットワークを敷くセブン-イレブンも、
その4割がスタンド併設店だが、
日本流のデリを強化して好調。
例えば冷蔵ピザを90秒で焼くグリルシステムを、
2000店強に導入。
これを数年で全店に拡げる計画。
2012年12月期は売上高1兆2465億円、
営業利益は400億円(1ドル=80円想定)の見込み。
ジョセフ・デピント社長は語る。
「今後は都市部で日本のような小型店を集中出店する」
鈴木敏文会長はコメントする。
「各国で販売力を引き上げる体制が整う」
つまり日本で成功したコンビニモデルを、
アメリカで成功させ、
さらにアジアでも展開させる。
私は明日からタイのバンコクで、
セブン-イレブンを視察する。
セブン-イレブンは現在、
世界で約5万店、
年間売上高6.5兆円。
それを2015年度には10兆円という構想を描く。
その先陣を切るのがコンビニ発祥の地アメリカとなる。
これも3月末のアメリカ出張では、
見てこようと思う。
さて今日は正午に、
東京・秋葉原のライフコーポレーション東京本社。
清水信次会長のインタビュー。
実にいい対談だった。
4月発刊の月刊『商人舎』のトップインタビュー。
その模様は来週月曜日のこのブログで、
詳細は月刊『商人舎』で。
今日のブログは昨日の行動日誌。
二元中継。
まず東京・目白の学習院大学。
2012年度『DSCM基礎コース』最終講義と、
桜実会講演会。
学習院マネジメント・スクールが主催。
毎年5月にスタートし、
10月までほほ半年にわたって
21世紀の流通業の実態と課題を学ぶ。
私は例年、開講の最初の講義「流通概論」を受け持っている。
そして2月のこの時期には、
13回目の特別最終講義が行われるが、
いつも、実務家の経営トップを講演者に迎える。
今年は、私のお願いで、
㈱たいらや社長の村上篤三郎さんが、
引き受けてくださった。
開会のあいさつは上田隆穂教授。
学習院マネジメント・スクール所長、
学習院大学経済学部長。
講師紹介の役目は私の仕事。
村上さんのテーマは、
「ローカルSMとして生き残りをかけて」。
たいらやの前身はエーリズウエノ。
営業譲渡された㈱エコスは、
100%子会社として「たいらや北関東」を設立。
村上さんは2000年に社長として着任。
栃木県の激戦区の中で、
現在に至るまでの取り組みを、
丁寧に話してくれた。
最後に学生からの質疑応答。
上田先生からも質問。
とてもいい講義だったし、
なにより、たいらやが着実に改善、改革をしていることが分かった。
お願いした私もうれしかった。
講義の後は、修了式。
コーディネーターは松川幸一さん。
学習院マネジメント・スクール顧問。
学生全員が壇上に上がって授与式。
そして修了証授与は上田教授。
参加していた大塚明さんからお祝いの言葉。
日本スーパーマーケット協会専務理事。
閉会のあいさつは、湯沢威名誉教授。
上田先生と私で、
村上さんを囲んで記念写真。
そのあとは場所を移して、
修了生の集い「GMS桜実会」の懇親会。
代表幹事の三菱食品㈱柳沢孝之さんが桜実会の説明。
そして乾杯のご挨拶は、
学習院院長の波多野敬雄さん。
学生たちが所属する企業からの、
美味しいお酒とスナックの差し入れで
1時間半ほど、懇親を深め合った。
中締めは結城義晴。
社会人がアカデミズムで学ぶことの意義は大きい。
最後に贈る言葉は、
「朝に希望、昼に努力、夕に感謝」。
そして一丁締め。
みなさん、修了、おめでとう。
最後の最後は全員で記念写真。
それがこの写真。
顔が小さくて恐縮。
でもみんな、いい笑顔でした。
今日の二元中継のもうひとつは、
昨日午後2時からの明治記念館。
「2013年 食品界・経営者の集い」
主催は日本食糧新聞社。
そしてその場で、
平成24年度第31回「食品ヒット大賞」と、
第26回「新技術・食品開発賞」の贈呈式。
『日本食糧新聞』は、
創刊70年の歴史ある食品業界を代表する最大の専門紙。
「食品ヒット大賞」は昭和57年、
その創刊40周年を記念して制定された。
スーパーマーケットやコンビニ、卸売業者、生協等の
109社がモニターとなって商品を推薦する。
選考委員は食品業界や卸売業界を代表する経営トップ。
一方、「新技術・食品開発賞」は昭和63年に、
創刊45周年を記念して創設された。
技術力を駆使した今後の成長が期待できる商品に授与される。
いずれも需要や価値を創造する商品に贈られるものだ。
贈呈式では、最初に、
日本食糧新聞社会長CEOの今野正義さんから主催者あいさつ。
続いて、「食品ヒット大賞」の選考経過について、
選考委員長の亀井昭宏さんが報告。
亀井さんは早稲田大学名誉教授。
「一般加工食品部門の善戦が顕著だった」
今年の大賞は、ふたつ。
キリンビバレッジの「キリン メッツ コーラ」と、
東洋水産の「マルちゃん正麺」。
「キリン メッツ コーラ」は特定保健用食品、いわゆるトクホ。
コーラとトクホは従来、相容れない。
それを実現し、新市場を創出した。
「マルちゃん正麺」は、一昨年11月の発売以来、
1年で累計出荷数量が2億食に達した大ヒット商品。
コモディティ化した日本の食品市場でも、
真のイノベーションによって、
まだまだ成長できる可能性がある。
そのことをマルちゃん正麺は示した。
その他にも今回は、
「ロングセラー賞」3社、
「ロングセラー特別賞」5社
「優秀ヒット賞」20社が選ばれた。
もう1つの「新技術・食品開発賞」は、
選考委員長の岩元睦夫さんが経過報告。
岩元さんは(社)農林水産・食品産業技術振興協会参与。
「あらためて日本の高い食品技術力を示した商品」と講評。
その受賞商品は4つ。
越後製菓「日本のごはん」
ネスレ日本「ネスレ クレマトップ ゼロ」
森永乳業「濃密ギリシャヨーグルト PARTHENO(パルテノ)」
雪印メグミルク「雪印 こんがり焼ける とろけるスライス」
雪印メグミルクはロングセラー特別賞とのダブル受賞。
受賞会社を代表して2人の経営者が謝辞。
1人目は東洋水産社長の小畑一雄さん。
「会社創業60周年の記念すべき年に
食品ヒット大賞を初受賞でき光栄です」
カップ麺の登場後、ダウントレンドだった袋麺市場で、
「新価値創出に取り組んだ」と語った。
2人目は森永乳業社長の宮原道夫さん。
森永乳業は5度目の「新技術・食品開発賞」受賞。
「新商品のために数年間かけて
製造設備・機器の開発から取り組んだ」
日本の食品産業の技術力は非常に高い。
そのことを自ら証明した。
みなさん、おめでとうございます。
贈呈式が終わると、祝賀・交流パーティー。
乾杯の発声は国分会長兼社長の國分勘兵衛さん。
「日本経済に明るさが見えてきた。
消費者の財布のひもがゆるみ始めた」
國分さんの前向きな言葉とともに乾杯。
来賓も次々と駆けつけた。
最初に元衆議院議員の島村宜伸さん。
そして、衆議院議員の赤松広隆さん。
おふたりとも農林水産大臣経験者。
続いて現・農水大臣の林芳正さん。
「エーファイブという新しい官民ファンドが立ち上がり、
これから日本食市場を活性化していく」
自由民主党幹事長の石破茂さんもあいさつ。
「アベノミクスだけではなく、
民間企業の創意工夫があって、
はじめて日本経済はよくなる」
日本の食品製造業のイノベーション力は
日本だけではなく、世界の食市場で輝く。
イオンのプライベートブランド1兆円、
世界のセブン-イレブン5万店10兆円。
そして製造業の技術革新力。
パソコンからスマホ、タブレットへと急激な変化が訪れる中でも、
日本の消費産業の未来は捨てたものではない。
〈結城義晴〉