結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2013年03月27日(水曜日)

ダイエーの「子会社化」と「流通・未来・自分たちでつくる会」米国へ

「イオン、ダイエーを子会社に」
日経新聞一面の記事。

「とうとう、この時が来たか」
私には、そんな感慨が強い。

企業総合面には、
「イオン、スーパー『1強』に
売上高5兆円超」。

現在、イオンはダイエーの第2番手の株主だ。
それでも流通企業グループとしては、
ダイエーはイオンの傘下との認識がある。

しかしダイエーの現在の筆頭株主は、
総合商社の丸紅グループ。

丸紅は2006年に、
産業再生機構からダイエー株式を取得、
翌2007年、再建のパートナーとしてイオンを選択。

保有株式は、
丸紅㈱が18.41%、
丸紅リテールインベストメント㈱が10.87%、
合計29.28%

その丸紅からイオンは、
株式公開買い付け方式で24%を取得する。
日本ではよく「TOB」と表現するが、
Takeover Bidの略。
英語ではTakeoverあるいはBidと短く表現したり、
アメリカでは、Tender Offerといったりする。

今回の目途は4月。

イオンが保有するダイエーの株式は19.85%。
丸紅から取得する24%と合計すると、
全発行済み株式の4割強となる。

これは主導権が、
丸紅からイオンに移ることを意味する。

現在、代表取締役会長の川戸義晴さん、
取締役専務執行役員の山下昭典さん、
そして取締役常務執行役員の川本敏雄さんがイオン。
山下さんはグループ事業管掌兼総務人事管掌、
川本さんは営業グループ長。

一方、代表取締役社長の桑原道夫さん、
取締役専務執行役員の山﨑康司さんが丸紅。
山﨑さんは商品グループ長。

そして取締役常務執行役員の白石英明さん、
取締役執行役員の玉虫俊夫さんが、ダイエー出身。
白石さんは財務経理管掌兼マネジメント・システム改革プロジェクトリーダー、
玉虫さんは総務人事本部長。

ここにイオンから過半数の役員が派遣されることになる。

イオンは純粋持ち株会社だが、
そこにダイエーが子会社として加わると、
その連結売上高は6兆円を大幅に超え、7兆円に近づく。

総合スーパーとスーパーマーケットを合わせた事業は、
イオンが4兆2000億円、ダイエーが8000億円で、
合計5兆円。

日経企業総合面の見出しはそのことを言っている。

ライバルのセブン&アイ・ホールディングスは、
イトーヨーカ堂、ヨークベニマル、ヨークマートに、
新たに傘下に入れた近商ストアを合計して約2兆円。

もちろんセブン&アイはコンビニのセブン-イレブンが、
単体として圧倒的なトップ企業であるし、
その加盟店売上高は3兆2805億円となるから、
両者拮抗していて、強みが異なってきたと見ることができる。

ダイエーに関して言えば、
2008年度以降、1期も最終黒字化ができていない。
日経の記事では、2013年2月期も赤字のよだうし、
既存店売上高は09年度から、
毎年2~5%ずつ前年割れが続く。

つまり、丸紅主導の現体制では、
再建ができていないという見方ができる。

総合的な判断として、ダイエーは今後、
イオンのもとに集中して、再び再建を目指す。

一方の丸紅は、
「ダイエーの経営から事実上、手を引くことで、
今後は川上分野の食糧事業などに力点をおく」。

日本チェーンストア協会の統計では、
2012年まで16年連続で既存店売上高はマイナス。

イオンと、その傘下に入ったダイエーは、
それを覆すための方策を探る。

日経の記事はこう結論付ける。
「地域密着に徹し、
拡大を望まないスーパーでない限り、
もはや選択の余地はない」

ここでいう「選択の余地」とは、
アークスを含めて、大資本の傘下に、
入っていくかどうかの選択の余地である。

地域密着に徹する。
急速な拡大を望まない。
これはローカル・スーパーマーケットの生き方だ。

この戦略を明確に志向しない企業、
あるいは戦術だけで戦略を持たない企業は、
M&Aの嵐の中に巻き込まれる。

「西友を傘下に置く米ウォルマート・ストアーズも
日本でのM&Aを志向する。
消費増税を控え、どの陣営と組むか、
選択を突きつけられる」

しかしイオンやダイエーにとっても、
ウォルマート西友にとっても、
もちろんセブン&アイにとっても、
規模の論理だけで問題が解決することはない。

働く人間のモチベーションや、
顧客の満足感を抜きにした成長はあり得ない。

エンプロイー・サティスファクションと、
カスタマー・サティスファクション。

規模がこの二つの要素に、
大きく好影響を与える仕組みを生み出さねば、
規模はむしろ足かせとなる。

さて私は、今日から渡米。
4月4日までダラスとサンフランシスコを巡る。
イオンリテールワーカーズユニオン主催の、
「流通の未来を自分たちでつくる会アメリカ版セミナー」。
そのコーディネート役。

全国のイオンリテールおよびグループ各社から、
推薦された優秀な組合員が集まってきた。
総勢48名。

朝7時、前泊した成田のホテルから
バス2台で成田空港へ向かう。
20130327091437.jpg

そして8時から、
成田空港の会議室で結団式。

ツアー団長は阪口浩一さん。
イオンリテールワーカーズユニオン中央執行副委員長。
20130327091507.jpg

私からもメッセージ。
20130327091517.jpg
今朝の日経新聞の記事を引き合いに出しつつ、
イノベーションの決意を迫る。
そして皆に贈った言葉は、
「朝に希望、昼に努力、夕に感謝」。
20130327091528.jpg
この言葉をかみしめて9日間、
学び続けてもらいたい。

そして恒例の記念写真。
20130327091538.jpg
並び方をコーディネート。

ユニオンフラッグを掲げて、ガッツポーズ。
20130327091551.jpg
元気に、旅立ち。

野下聖子さんに見送られて出発。
20130327103421.jpg
野下さんは㈱イオンコンパス営業担当で、
今回のツアー企画をまとめてくれた。
心から、感謝。

では、行ってきます。

〈結城義晴〉


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.