超一流づくめのハーバード・リテール教室「在庫は炭鉱のカナリア」
5月最後の日。
「忙しかったなぁ」
そんな実感がある。
『やっぱりアメリカ経済を学びなさい』
小野亮・安井明彦著、
東洋経済新報社刊。
東洋経済オンラインに著者たちが、
連載コラムを書く。
『国家は破綻する』。
原題はThis Time Is Different。
2011年、邦訳版刊行の評判の本。
この共著者はハーバード大学の二人の教授。
ラインハート教授とロゴフ教授、
その二人が執筆した論文に、
分析ミスがあるという指摘が出て、
それがちょっとしたニュースになった。
両氏は一部にミスがあったことを認めた。
しかしコラムでは、
「指摘を踏まえての精査は
これから進んでいくことになる」
そして感想を漏らす。
「大御所経済学者の手による、
大々的に公刊された論文や本であっても、
すべてが完全に正しいとは限らないということを
思い出させてくれる事件でした」
以って自戒とすべし。
それでも謙虚に、
誤りを認め、
必死に訂正の研究を深めるところに、
超一流の良さがある。
イオン名誉会長の岡田卓也さん。
若い人たちに言い続けた。
「超一流の人に教わりなさい」
間違いがないからだ。
㈱イオンリテールのアメリカ視察研修会の時に、
事務局が私に対して言ってくれたコメントで、
これはちょっとうれしかった。
さて今日は、
通称「ハーバード・リテール教室」。
「グローバル リテールセミナー2013」
トップ経営者向けに、
「在庫と小売りを科学する」セミナー。
帝国ホテルで本日、開催された。
企画が持ち上がったのが12月。
それから6カ月。
主催のゴードン・ブラザーズ・ジャパンに対して、
商人舎が協力して準備してきた。
無事に開催にこぎつけ、
そして今日、
100名を超える経営トップに参集いただき、
無事に終了。
まずは肩の荷が下りた。
今日は、11時に、
帝国ホテル5階の桜の間に集合。
主催者の増田春彦社長と、
成功を期して打ち合わせ。
12時過ぎには、
次々と参加者がやってきた。
商人舎ファミリーの経営トップの皆さんにも、
参集いただいた。
私もぎりぎりまで打ち合わせ。
後方ブースには、
超一流の通訳の皆さん。
私の講義の「雨ニモマケズ」。
見事に英語に翻訳してくれた。
セミナーは13時5分にスタート。
はじめに増田社長が
欧米でゴードンが果たしている役割、
これからの日本での活動について、
そしてセミナー開催の趣旨を説明。
第1講義はハーバード・ビジネス・スクールの
アナンス・ラーマン教授。
テーマは、
「Blending Art & Science in Retailing」
もうこのブログで何度も紹介しているが、
ラーマン教授は、
小売りビジネスの専門家。
サプライチェーンマネジメント、
オペレーショナルマネジメント、
そしてインベントリー・コンロール研究の第一人者。
「在庫生産性は炭鉱のカナリア」。
いい言葉です。
小売業は在庫を価値とみなし過ぎる。
事業生産性の向上のためには、
適切な在庫コントロールと、
それによるサプライチェーンマネジメントが必要。
複雑化する小売業において
アートとサイエンスを組み合わせたオペレーション管理が、
一層重要であることを語ってくれた。
同時通訳による講演に、
参加者は熱心に聞き入った。
ハーバードの小売業研究は、
こんなに細かいところまで、
こんなに深いところまで、
そしてこんなに実務データを駆使するところまで、
進んでいることに舌を巻いた。
後で、私自身の講義の冒頭に、
率直にそのことをコメントした。
第2講座は、
矢ヶ崎健一郎さん。
㈱ジョイフル本田代表取締役社長。
ハーバード・ビジネススクール出身。
ジョイフル本田は、
スーパーホームセンターの展開で、
業界の中で独特のポジショニングを占める。
意外なことに、
POSを導入したのは2年前。
大量の商品在庫を、
どのようにコントロールするのか。
ジョイフル本田の歩み、
そして在庫・物流戦略を紹介してくれた。
古典的なチェーンストア理論では、
排撃されるような経営。
しかしポジショニングの時代には、
キラリと光る企業である。
第3講座は私、結城義晴。
テーマは、
「日米チェーンストアの最新動向と
ポジショニング戦略」。
アメリカの小売理の最新動向をベースに、
フォーマット論からポジショニング戦略までを、
一気に語った。
ご清聴に感謝。
最後は、ニック・テイラーさん。
ゴードン・ブラザーズ・ヨーロッパ・マネージングディレクター。
欧州市場での取り組みを紹介。
講演のあとに、
ラーマン教授への質疑応答タイム。
YUMEキャピタル代表の諸江幸祐さんも質問。
こうしてセミナーは無事に終了。
㈱阪食の松元努常務と、
㈱ロピアの髙木勇輔さんも来てくれた。
その後、会場を移して、
カクテルレセプション。
乾杯の挨拶は、
主催者を代表し、高木新二郎さん。
同社の特別顧問。
そのあとは、懇親に次ぐ懇親と、写真撮影会。
まずは中村邦生さんとワインを片手に。
イオンビッグ(株)常務取締役商品統括部長。
㈱阪食常務の松元努さん。
こちらは商人舎ファミリーが勢ぞろい。
右から
㈱セイミヤ社長の加藤勝正さん、
㈱たいらや社長の村上篤三郎さん、
㈱プラネット会長の玉生弘昌さん、
㈱セブン&アイ・フードシステムズ社長の大久保恒夫さん、
㈱マルト社長の安島浩さん。
大久保恒夫さんとは久しぶり。
イオングループの皆さん。
右から㈱マルナカ物流部長の柴田哲也さん、
イオン新事業開発部長の市毛久夫さん、
そしてふたたび中村さん。
さらに北海道からお二人。
左は、竹垣義彦さん、
イオン北海道㈱取締役営業本部長。
右は菊池健司さん、
㈱総合商研常務。
九州からは、
㈱ミスターマックスの本多秀隆さん。
SCM本部SCM推進部長。
ゴードンとの出会いは、
諸江幸祐さんのおかげ。
感謝したい。
もちろん、 スピーカーの皆さんとも固い握手。
アナンス・ラーマン教授。
ベジタリアンのラーマン先生。
まだまだその理論を聴きたかった。
矢ケ崎健一郎さん。
私は「後進の先進性」という言葉を、
ジョイフル本田に贈った。
ニック・テイラーさん。
ヨーロッパの「イータリー」の話で、
盛り上がった。
最後の最後は、
増田春彦さん。
増田さんの人柄と熱心さが、
ハーバード・リテール教室を、
ここまでレベルの高いものに引き上げた。
心から拍手。
会場は超一流。
講演陣も超一流。
聴講者も超一流。
私もこの場に加えていただいて、
心から感謝。
あぁ、5月が終った。
〈結城義晴〉