イトーヨーカ堂亀井淳・イオンリテール梅本和典両社長と連続対談
今日は一日中、大忙し。
朝、麹町にある㈱イトーヨーカ堂本社へ。
次号『月刊商人舎』9月号で、
「ニッポン総合スーパー『復活!?』」を特集する。
亀井淳社長のインタビュー取材。
亀井さんはいつも、
月刊『商人舎』を読んでくださっている。
「分かりやすい文章で、
大事なことが書かれていて、
楽しみにしている」
高く評価してくださった。
インタビューは10時から11時半過ぎまで。
ショッピングセンターの「Ario」で進める施策、
専門店化への挑戦と改革、
上質な商品と環境づくり、
おもてなしの接客などを、
存分に語ってくれた。
衣料品の改革とブランド確立が進むイトーヨーカ堂。
担当する取締役業務執行役員の戸井和久さんが、
商品開発から売り方まで具体的に説明してくれた。
総合スーパーが成長時代に果たしてきた役割、
これから機能すべき課題、
私から問題提起を投げかけ、
それに応えてくださる内容で、
充実したインタビューとなった。
最後は亀井さんと2人で。
そして午後は、
澄み渡った青空の千葉の海浜幕張へ。
もう一方の雄イオンリテール㈱。
期せずして、同じ日のトップインタビューとなった。
梅本和典社長は、
ジャカルタの植樹活動から帰国したばかり。
アセアンのハイパーマーケットの話題から始まり、
欧米のウォルマートやカルフールと、
日本の総合スーパーとの相違などを、
ディスカッション。
イオンリテールはこの春、
梅本社長をリーダーに体制が刷新された。
梅本さんは、新経営陣が精力的に進めるGMS改革は、
2つの「しんか(進化と深化)」に基づいていること、
SCの核店舗としてのイオン、
小商圏の箱型GMSの課題など、
2時間ほど丁寧に具体的に話してくれた。
先日、私は、
イオンリテールの幹部と店長に向けた講演をしたが、
その時に話した内容を深く理解いただいていて、
インタビューは面白いものになった。
最後は梅本社長と固い握手で締めくくり。
亀井さんのインタビューも、
梅本さんとの議論も、
充実していた。
そしてそれは日本のチェーンストアの本質を、
しっかりと描き出すものとなった。
『月刊商人舎』9月号は、
面白い内容になると確信。
お二人の発言は、
漏らさず、たっぷりとご披露します。
もちろん私の見解も、
たっぷりと開陳します。
読者の皆さん、
大いに楽しみにしていてください。
さて昨日は、横浜の商人舎オフィスを、
三井物産㈱食品流通部のみなさんが、
訪れてくれた。
右から、
ぺットフードチームマネージャーの岩城敬典さん、
加工食品営業部部長補佐の品田哲也さん、
そして同加工食品チームの中野真樹さん。
来週の金曜日から、
ニューヨークとラスベガスへ。
内容はトップセミナー。
さて日経新聞の経済コラム『大機小機』。
今日のテーマは、
「堅調個人消費をどうみるか」
最近の論調は、
「個人消費はアベノミクス効果で好調」。
これに異議を唱える。
「個人消費は最近急に改善したのではなく、
ここしばらくずっと底堅かったのだ」
コラムニストは、
その背景を考察する。
第1が、人口構成の変化。
団塊世代の本格退職が、
高齢者消費の活発化を促している。
「供給サイドもシルバー需要の開拓に
手応えを感じつつある」
今日のイトーヨーカ堂の亀井社長、
イオンリテールの梅本社長。
お二人ともに、
この需要をいかにつかむかを、
強調した。
第2は、低成長下での、
労働市場の推移。
わが国の失業率は3%台、
先進国の中では突出して低い。
それが個人消費の基礎にある。
そして第3は、逆説的だが、
ここ数年の政府の放漫財政。
リーマンショック後は、
大規模な景気対策が続いた。
東日本大震災からの復興は、
的確な公共事業施策とは言えないまでも、
財政出動が繰り返された。
そして昨年末以来、
「アベノミクス第2の矢」大型補正予算。
民主党政権時代は社会保障支出で、
バラマキ政策を展開。
こうした財政支出が、
個人所得の源泉になってきた。
つまりたこ足。
コラムニストは、主張する。
「個人消費堅調=アベノミクス効果」
と、短絡するな。
この点に関しては、同感。
小売りサービス業は、
このことを日々、実感している。
亀井さん、梅本さん、
そしてイトーヨーカ堂、イオンリテール。
現場でのリアリティある営業活動が、
個人消費を堅調に導くのだ。
もちろん「個人消費はずっと堅調」との、
コラムニストの冒頭の命題には、
全面的に賛成できるものではない。
人口動態、雇用環境、財政出動、
こんなマクロな分析だけで、
個人消費を促す要因の解明はできない。
血と汗のにじんだ現場の努力が、
小さな消費のひとつ一つを、
生み出している。
そのことを忘れてほしくないものだ。
〈結城義晴〉