アヌーガ二日目と独国三菱商事社長社宅でのホームパーティ
「呪いはヒヨコのようにねぐらに戻る」
イギリスの諺。
「呪いはめぐりめぐって自分の身に跳ね返る」。
日本でいう「人を呪わば穴二つ」。
毎日新聞の巻頭言『余禄』。
「口の虎は身を破る」
こちらの意味は、
「言葉を慎まないために
身を滅ぼす大事にいたる」。
日経新聞の巻頭『春秋』。
朝日新聞の社説タイトルは、
「ヘイトスピーチ戒めた判決」
毎日の社説は、
「ヘイトスピーチ――司法からの強い戒め」
日経の社説。
「ヘイトスピーチ 差別許さぬ当然の判決」
朝鮮学校を運営する学校法人が、
「在日特権を許さない市民の会」と
その会員に対して、
損害賠償などを求めた訴訟。
京都地裁は1226万円の賠償を命じ、
学校周辺での街宣活動も禁止。
ヘイトスピーチは「憎悪表現」と訳されるが、
「憎悪を煽る表現」とした方がいいかもしれない。
1963年、国連総会で、
「人種差別撤廃宣言」が、
1965年12月には、
「人種差別撤廃条約」が、
採択された。
正式には、
「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する
国際条約」。
人種の違いを理由にした
差別撤廃を定める多国間条約。
日本は1995年に加入ししている。
私が今、立っている地は、
ヨーロッパのドイツ。
ドイツ憲法は、
「治安を妨害する言論の濫用」を、
厳しく規制している。
ナチスによるホロコーストの経験をもつからだ。
民族集団に対する憎悪を煽動するような行為は、
特に刑法の民衆扇動罪第130条で、
禁止している。
もちろん、ドイツ憲法も、
言論の自由は保障している。
日本にはこうした規制はない。
だから判決が重い意味を持つ。
判決が現行法でも、
ヘイトスピーチを処罰できることを示したからだ。
「表現の自由」と「ヘイトスピーチ」。
しかし根本にあるのは、
国連の人種差別撤廃条約だ。
「すべての人間が法律の前に平等」で、
いかなる場合も「人種差別は正当化できない」。
人が人を差別する考え方が、
悲劇を繰り返してきた。
朝日新聞の社説は、
その反省を踏まえた「人類の到達点」と、
表現する。
ドイツ人にとっては、
もう当たり前のことである。
さて、デュッセルドルフの3日目の朝。
ドイツは森の国。
紅葉し始めた町中の木々が美しい。
今日も、朝からケルン・アヌーガへ。
いつものように1時間ほどの行程で、
車中講義。
今日も、アヌーガには、
世界中から人が集まってくる。
会場で合流してくれたのは、
プリンセス取締役の後藤勝基さん。
今日一日、同行してくれる。
昨日にもまして、会場は人人人。
まさに人種のるつぼ。
ここには差別もヘイトスピーチもない。
はじめにイタリアンブースを視察。
バルサミコ酢の説明を受ける。
3年物、5年物、15年物をテイスティング。
熟成したバルサミコ酢は、
ねっとりとして、芳醇な味。
そして11号館にあるプリンセスのブースへ。
プリンセスは、
1880年創立の英国の食品・飲料メーカー。
三菱商事が1989年に買収し、
100%の子会社にした。
最新の年間売上高は17億ポンド。
156円換算で2652億円。
現在は、英国5位のメーカーだが、
イタリアの最新トマト加工工場の買収などして、
間もなく3位に躍り出る戦略を打つ。
後藤さんがEUの食品市場や、
プライベートブランドの現状を、
丁寧に整理・解説くれた。
これが実に有益な情報だった。
プリンセス・ブランドのひとつ。
三菱ならぬ四菱がトレードマーク。
そしてトルコの展示会場。
アジアやイスラムの各国も、
アヌーガへの出展に力を入れている。
トルコはその中でも、
注目すべき食品輸出国だ。
魚を扱うブースでは、
調理して試食をさせている。
昼どきということもあり、
われわれも試食。
こちらはイタリアン展示会場。
チーズメーカーのブース。
ここでも試食に力を入れている。
そして、話題のギリシャヨーグルト。
DELTA。
濃厚でもっちりした味わい。
一時期、日本でもブームになったし、
アメリカでは現在、大ブーム。
説明を受けながら試食。
10月初旬とは思えないほどの温かさ。
陽が館内に射し込み、暑いほど。
ドリンクをテーマにした11号館には、
日本から伊藤園が出展。
グリーンティ『おーいお茶』を主力に展開。
法被が似合う光野友哉さん、
国際本部国際一部第二課グループリーダー。
本庄周介さん、
江島祥仁さん、
現地スタッフは、
頑張っていますよ。
そして昨日に続き、
ドイツビールのコーナーで試飲。
試飲といってもこの量。
温かい会場にいると、
のどが渇く。
ドイツといえばビール。
これです。
ドイツのもうひとつの特産品は、
ソーセージ。
ここでも説明を受ける。
2日間のアヌーガ視察は、
よく歩き、よく試食・試飲し、
よく見て回った。
会場は例年以上ににぎわっていたし、
ビジターの数も増えているはず。
現地通訳スタッフの皆さん。
2日間、6チームに同行してくれた。
ありがとうござました。
そしてわれわれ本部に同行してくれたのは、
谷口ゴールドシャック久美さん。
彼女の機転と交渉力で、
ずいぶんと助かった。
㈱万代常務で団長の西水啓介さん、
ここでいったんお別れの後藤さんと、
4人で記念写真。
それから万代ドライデイリー会一行は、
デュッセルドルフ南の郊外にある2店舗を視察。
エデカの話題の新店「Eセンター」。
いわゆるフード&ドラッグのスーパーマーケット。
エデカは、
ドイツ国内最大のスーパーマーケット企業。
2012年シェアは19.9%
この店には心底、驚かされた。
ドイツ人でもこれだけの店をつくれるとは、
まいりました。
この店は、
フードサービス機能を随所に設け、
ウェグマンズ並み、いや、
それを超える店づくりをみせている。
詳細は『商人舎magazine』で紹介したい。
必見の店舗、お楽しみに。
そして道路の対面にアルディ。
国内第4位。
ディスカウントタイプのボックスストアで、
ドイツ国内に4305店(2012年末)を展開する。
両店が至近距離で出店しても
お互いの戦略が異なるから両立する。
これがポジショニング戦略。
この2店の視察で、
それがよくわかる。
視察の後は、
独国三菱商事の柳川勝彦社長の社宅へ。
ライン川に沿った高級住宅地にある。
ドイツでのホームパーティ。
広いテラスの一角では、
日本食レストランのシェフが
腕を振るってくれている。
万代グループ㈱栄進社長の磯田雅人さんが、
つまみ食いのポーズ。
磯田さんはこのツアーのリーダー格で、
存分に場を盛り上げてくれる。
そんな和やかな雰囲気で始まったパーティ。
はじめに柳川さんが歓迎のごあいさつ。
「社宅でのホーム―パーティに、
このいい天気を用意いたしました」
次いで、
プリンセス社長の伊藤和男さんが、
イギリスのリバプールから駆け付けてくれて、
ヨーロッパとイギリスのPB市場について、
3つのポイントから解説。
用意してくれたレジュメを見ながら
聞き入るメンバーたち。
そしてMDD会長の今津龍三さんが、
お礼と乾杯のあいさつ。
ここからは美味しいドイツビールとワイン、
久々の日本食に舌鼓を打ちながら懇親。
元気なメンバーを写真で紹介しよう。
日本の皆さん、みんな元気ですよ。
こちらも満面の笑顔。
こちらも満足そう。
室内も広々としてくつろげる。
2時間ほどの楽しいホームパーティは、
あっという間に時間が過ぎていく。
心残りだが、最後は、
視察団長の西水さんが締めてお開き。
奥様方に感謝しつつ、
全員で、ポーズ。
柳川社長ご夫妻には、ほんとうにお世話になった。
心よりお礼申し上げたい。
ありがとうございました。
今日もすばらしい一日だった。
アヌーガ視察も、
店舗視察も大成功。
独国三菱商事社長社宅でのホームパーティも、
得難い体験だった。
快晴のケルンとデュッセルドルフが、
そして表現の自由が保障されつつ、
差別のない社会を目指すこの国が、
私たちの心を弾ませてくれた。
(つづきます)
〈結城義晴〉
2 件のコメント
「ヘイトスピーチ」に思う。
結城先生へ アヌーガのブログ楽しく拝見させていただいております。
ありがとうございます。
動物行動学者のコンラート・ローレンツは、人間が現代において無制限に快楽を追い求める時、ア・プリオリに持っていた本能によるシステムの調節機能が失われ、「個人的な責任の欠除や他人の感情に対する配慮の無さ」の特徴をもつ「幼児化」など現れると自著で警告しています。
また、釈迦は「 私は人の心に見がたき一本の矢が刺さっているのを見た」と説き、差異を一本の矢に例えて人間が他者に対してもっている差別感情の危うさ見抜きました。
私は人類が理性と英知により必ずこの矢を抜くとことができると信じています。
先生のご安着を御祈念しております。
いまちゃん、ありがとう。
釈迦の一本の矢、私たち自身が、
この矢を抜くことができること、
私も信じます。