30時間不眠活動! HEBからHEBまでのダラス初日一部始終
「オバマは早くもレームダックだ」
日経新聞『迫真 迷走・オバマ政権』。
lameは足の悪い、
duckはアヒル。
レームダックは「死に体」の意味。
米国国債の債務不履行(デフォルト)は、
ギリギリで免れた。
対立政党・共和党の一部が賛成に回り、
米国連邦議会が国債追加発行容認の法案を可決。
窮地を脱したが、
レームダックの状態。
そのバラク・オバマ大統領。
「勝者はいない。
これ以上、米国の信用を傷つけたものはない」。
ひどく歯切れが悪い。
「オバマケア」と呼ばれる医療保険制度改革法、
さらにシリアへの派兵問題を抱えて、
オバマの指導力に強い不信感が漂う。
残る任期は3年あまり。
2012年11月の大統領選、
再選のときの勝利演説。
「我々は一つの国家、一つの国民」。
しかし「一つの米国は遠い」。
オバマ政権は立ち往生。
それでもアメリカの小売業は、
立ち止まってはいない。
そのアメリカへ向けて旅立った。
ダラス行AA176便に乗り込み、
成田を出発。
整備士の皆さんに成田で見送られながら、
一路、ダラス・フォートワース空港へ。
雲の上は真っ青な空。
頼むぞ! 翼。
11時間ほどのフライト。
窓を開けると北米大陸。
朝日が登ってくる。
朝日に向かって飛行。
そしてダラス・フォートワース地区が見えてきた。
到着は朝の8時半。
晴天のダラス。
これから長い長い一日が始まる。
はじめに向かったのは、
HEBセントラルマーケット。
都市型アッパーグレードタイプのスーパーマーケット。
HEBはテキサス州サンアントニオに本社を置く、
ローカル・スーパーマーケット・チェーン。
2012年の売上高は194億ドル。
100円換算で1兆9400億円、伸び率は7.9%。
350店を展開するが、
セントラルマーケットは9店舗。
店頭では見事なハロウィンのプレゼンテーション。
店内に入るとすぐに解説。
ここでは、フーディーの2人が、
店内ツアーをしてくれた。
左がニューヨーク出身で入社7年目のナンシーさん、
右が中国出身で5年目のティーナさん。
ワイン売場では担当マネジャーにもインタビュー。
セントラルマーケットでは、
2ドル98セントのコモディティワインから、
500ドルの高級ワインまで品ぞろえする。
もちろん、私もレクチャー。
自家製のパンやチーズを試食。
今週は生鮮から惣菜、デアリーまで全部門で、
「チーズスペシャル」と名付けた統一企画を、
徹底的に実施している。
説明を受けながらの店内一周。
最後は屋外のカフェでランチ。
この日のスープは、
チーズがふんだんに使われていた。
次はセーフウェイが
テキサスで展開するトム・サム。
主力フォーマットのニューライフスタイルストア。
しかし残念ながらお客の姿が見えない。
ローカル商品を70アイテム揃えた青果のプレゼン。
驚いたのはワイン売場の主通路のプレゼン。
青いミニスカートのマネキンが立っている。
お客がいない売場では、
その後ろ姿が孤独に見える。
新興住宅地にできたばかりの店だが、
来店客の少なさには唖然。
セーフウェイの売上高は442億0700万ドル。
4兆4207億円。
伸び率は1.3%。
店舗数1641店。
だから1641分の1を見ただけだが、
セーフウェイ、かなり厳しい。
㈱たいらや社長の村上篤三郎さんと、
この店の問題点を話し合う。
左はトッパントラベルサービスの鈴木敏さん。
一方、スプラウツファーマーズマーケット。
トム・サムの至近距離に立地する。
スプラウツは今年8月1日、
ナスダックに株式上場したばかり。
従業員のモティベーションが、
さらに上がったせいか、
売場には活気が満ちている。
お客もよく入っている。
子供連れのお客も増えている。
車で数分のトム・サムとは大違いだ。
スプラウツの隣にはダラーツリー。
バラエティストア全米3位。
売上高73億9500万ドル、7395億円。
伸び率は11.5%。
店舗数4671。
店内ではハロウィンのプロモーション。
スーパーマーケット第1位のクローガー。
売上高は967億5100万ドル。
9兆6751億円で、伸び率は7.0%。
店舗数3538。
店頭のハロウィンのデコレーション。
「ザ・ガーデン」と名づけられた青果売場。
フレッシュジュースのコーナー。
フレッシュジュースとカットフルーツは、
アメリカで大流行。
主通路ではハロウィンの凝ったプレゼン。
そしてハロウィンのうしろでは、
収穫祭のプレゼン。
11月第4木曜日がサンクスギビングデー。
それに向けて、
連続してプロモーションを仕掛ける。
初日最後の訪問は、
HEBフード&ドラッグ。
店頭では早くも、
クリスマスの仕掛け。
もちろんハロウィンも。
子どもたちがカボチャのランタンをつくっている。
店に入ると、今日のおすすめ果実がドンと出迎える。
カットフルーツとフレッシュジュースのコーナー。
青果部門は圧巻の品揃え。
飛ぶように売れるバナナは、
何度も補充する。
奥主通路沿いの売場。
わたしはいつもコーラ売場を見に行く。
HEBのオリジナルコーラ12本入りは、
2ドル29セント。
よく売れている。
コカコーラは3ドル99セント。
非食品の主通路のハロウィンのプレゼン。
主通路では、島陳列で、
1ドルのプラスチックカボチャなどを売り込む。
HEBは強い。
HEBのセントラルマーケットに始まり、
HEBフード&ドラッグに終わった初日の視察。
ホテル到着は夜の7時。
すぐにホテルの会議室で
第1回目の結城義晴セミナー。
アメリカの競争を学ぶことの意味と、
米国の業態の意味、
消費と競争を概観。
出発から27時間。
疲れはピークのはずだが、
真剣に聞いてくれた。
そして、そのまま会議室で懇親会。
クローガーやHEBで、
購入してきたサラダや惣菜を持ち寄って、
試食を兼ねた夕食。
村上団長の乾杯のあとは、
一人ひとりが自己紹介を兼ねて、
視察で学びたいことを一言コメント。
はじめに松本隆文さんがメッセージ。
京都府亀岡に本部を置く、㈱マツモト社長。
松本さんは商人舎の海外視察参加は3度目。
感謝の握手。
㈱廣甚社長の廣岡聖司さんのあいさつは、
出発前の奥様との会話を紹介し、爆笑を誘った。
一人ひとりのあいさつを聞きながら、
美味しいお酒と惣菜で疲れも吹き飛んでいく。
みんな元気です。
視察チームがひとつにまとまっていく。
そんなことが感じられる夕食会だった。
現地コーディネーターの浅野秀二さんも、
ワインを飲んでほろ酔い。
最後は、結城義晴のメッセージ。
このツアーは、
これまでの中でも特別なものになる。
商人舎最高顧問の杉山昭次郎先生のことが、
脳裏をよぎった。
いい夕食懇親会だった。
ひとつになった夕べだった。
30時間眠らずに活動した。
すべての人に、
感謝したい気持ちだ。
(つづきます)
〈結城義晴〉