ヤオコー社長の川野澄人さんがメルカドーナに行った! という話
今朝、月刊『商人舎』新年1月号が、
印刷されてきた。
㈱日本名刺印刷の鈴木堅社長自ら、
新年の挨拶がてら届けてくれた。
このこまめさ、素早さ、ホスピタリティ。
ありがたい。
堅さんは、
ベンチャー企業の若き創業者。
私が見込んだ人物。
ユニークな名刺印刷業を興し、
さらに企業を飛躍的に発展させるべく
大きなビジョンをもっている。
若き経営者といえば、
朝川康誠さん。
㈱USEI代表取締役社長。
立教大学大学院修士号をもつ結城ゼミ3期生。
新年のメールをいただいた。
結城先生
新年あけまして
おめでとうございます。
今年も結城先生のエネルギッシュな活躍を、
楽しみにしております。
例えるなら、
最新鋭とアナログを併存させた
『リニア蒸気機関車』のような。
最先端でありながら、
人間の細やかな機微を忘れない。
先生の存在そのものが
オクシモロンなのかもしれません。
〈褒め過ぎだぞ! 朝川くん〉
私は新年になると、
いくつかの儀式を行うのですが、
その中の大切な儀式のひとつが
商人舎設立時の先生のブログを読むことです。
あそこに書かれている熱気が、
私を一年間走らせてくれます。
先生の教えや多くの出会いに恵まれ、
就任時から2013年12月末までで、
店舗規模は2.77倍に、
時価総額は400倍になりました。
ひとつの指標としては嬉しく思いますが、
見据える先はまだまだ遥か彼方にあります。
ひとつひとつのマイルストーンを大事にしながら、
2014年も情熱と野心と優しさで、
走りぬく所存です。
どうかお力添えいただければと思います。
先生の取材されてきたレジェンドと比べ
未だ足元にも及びませんが、
愚直に邁進していく所存です。
本年もよろしくお願いいたします。
たくさんの若い経営者、実務家たちが、
まだまだ遠くを見つめながら、
仕事に邁進する。
その姿を見つめながら、
応援しながら、
私も励まされる。
日経新聞夕刊『人間発見』欄。
今週はヤオコー会長の川野幸夫さんが登場。
タイトルは、「まあまあ」は「まだまだ」。
埼玉県を中心に1都6県で店舗を展開。
2013年3月期まで24期連続の増収増益。
月曜日から始まった連載だが、
その6日のインタビューの巻頭で、
いきなり語る。
「先日、社長(次男の川野澄人氏)らが
スペインの『メルカドーナ』を視察しました」
およよ!
川野澄人さん、
メルカドーナに行ったんだ。
もちろん、月刊『商人舎』11月号を、
読んでの行動に違いない。
嬉しいかぎり。
しかし澄人社長、素早い。
「スペインという国は、
長い時間をかけて食事を楽しむ志向が強く、
2兆円以上の年間売上高があるそうです」
そう、メルカドーナの年商は190億ユーロ。
2兆4800億円で、1411店舗。
「スーパーマーケットの役割は、
まさにそこにあります。
最近まで大量生産・販売型の
消費スタイルが主流でしたが、
今は変わりつつあります」
マス・マーケティング、
マス・マーチャンダイジングから、
マス・カスタマイゼーションへ。
「スーパーマーケットという業態が
行き詰まっているのではなく、
コモディ ティでは
満足しなくなっている顧客志向に
対応できていないからです」
コモディティとノンコモディティ、
そのコンビネーション。
「ヤオコーは20年前から
従来型の経営から転換を進めてきました。
当時、バブルもはじけ、
スーパー業界の業績は悪化。
実は大型店の出店規制によって守られた業界で、
店舗さえ出せれば成長できたわけです」
規制に守られた業界だった。
正しい認識。
「業績不振は不況だけでなく、
店舗の中身が同質化するという内なる問題でした」
コモディティ化現象。
「日本もスペインのように
食文化を大事にする国です。
そこで日本人の望む方向に
店をつくろうとかじを切ったのです」
これこそフード&ベバレッジ・マーケティング。
「にぎわいをつくろうと
調理場を見えるようにしたり、
夕飯の提案をしたり、
自分たちが目指すべきスーパーマーケットとは
何かを追求したのです」
このインタビューのなかで、
川野幸夫さんの御母堂トモさんの言葉が出てくる。
「お客様の『まあまあ』は『まだまだ』だ」
「売り手の便利は買い手の不便」
川野さんは述懐する。
「母の残してくれた基礎の上に
自分の考えを築き、
ヤオコーの経営に取り組みました」
「スーパーマーケットは政治力も弱いし、
社会的な地位も高くありません。
これまで大半のスーパーマーケットは
地方の名士という立場に満足していました。
私も口べただし、対外活動は苦手です。
ですが雇用吸収力が大きい産業として
発言力を大きくする必要があります。
他の産業に負けない人材を採用し、
今以上の職場環境をつくることは
私の使命です」
最近の川野さんは、
この使命感をよく口にする。
「もちろん自助努力も大事です。
最近は地方の中小スーパーにはまず
ドル箱店をつくることを勧めています。
余裕がないといい考えが浮かばないし、
価格競争に走りがちになります。
社員への当たりもきつくなる」
まず、ドル箱店舗づくり。
「社長を見ていると『安心する』
という雰囲気をつくれば、
社員もがんばり、
好循環が生まれますよ」
好循環企業。
これこそメルカドーナの代名詞。
ハーバード・ビジネスレビューが、
コストコやトレーダー・ジョーと並べて、
メルカドーナを評価したコンセプト。
好循環企業。
ヤオコーは、
その好循環企業を志向している。
今年の商人舎海外研修会の第1回は、
4月10日~17日。
目的地は、
スペインのバルセロナと、
イギリスのロンドン。
バルセロナでは、
メルカドーナを訪れる。
結城義晴の熱のこもった解説がつく。
ロンドンはいま、
ニューヨークを抜いて世界最高の都市。
それはロンドン・オリンピックで、
都市機能の破壊的イノベーションが、
果たされたから。
今日の講演で、
竹中平蔵慶応大学教授が語っていた。
そのロンドンのテスコ、セインズベリー、
そしてウォルマート・アズダ、
さらにウェイトローズ、
マークス&スペンサーなどを、
訪問して、学ぶ。
もちろんウェグマンズやホールフーズに、
多大な影響を与え続けるハロッズも。
世界最高峰の百貨店。
さらにドイツから侵入してきたディスカウンター、
アルディやリドルも訪問して分析する。
是非、ご参加ください。
申込みは、
info@shoninsha.co.jpまで。
しかし鈴木堅さん、
朝川康誠さん、
そして川野澄人さん。
その行動力とスピード。
ビジョンと志。
若き経営者たちの時代が、
やって来ている。
私も負けられない。
『リニア蒸気機関車』でもいいから、
突っ走る。
〈結城義晴〉