百貨店偽ブランド販売とセルコ新年会の「徳と細かく・厳しく」
船井幸雄さんが亡くなった。
船井総合研究所の創業者。
81歳。
かつての小売サービス業界では、
なにかと故渥美俊一先生と、
比べられたコンサルタントの草分けの一人。
私の印象では、
渥美先生ご自身は、
ほとんど船井さんを、
意識していなかった。
そして両者は、
まったく別の道を歩んだ。
もう一人、さらに別の道を、
一人のコンサルタントが歩いていた。
故杉山昭次郎。
商人舎最高顧問。
亡くなってから、
『マス★カスタマイゼ―ション』を発刊。
㈱商人舎刊。
杉山先生は昨年5月、
86歳で逝ってしまった。
渥美先生は2010年7月、
83歳でご逝去。
そして船井さんがこの19日に、
81歳で亡くなられた。
スピリチュアルの世界についての言及が、
三人の中では圧倒的に多かった船井さんが、
いちばん若くしてその世界に旅立った。
ご冥福を祈りたい。
さて昨日の夕方、
再びNHK報道局の岩田一伸さんから、
電話があった。
報道センター・チーフプロデューサー。
百貨店の偽ブランド販売事件に関して。
5百貨店の8店舗。
そごう・西武の西武池袋本店、
松坂屋名古屋店と大丸梅田店、
京王百貨店新宿店。
さらに伊勢丹の松戸店、浦和店、
それに相模原店、府中店。
売価3万円以内の商品が約200個、
販売された。
本物はチャン・ルーのブレスレット。
レディー・ガガ愛用で有名。
偽物を販売したのは、
静岡県のマルヤマ商会。
百貨店は「催事場の販売を業者に任せていた」。
これを「売上げ仕入れ」といったり、
「消化仕入れ」と呼んだりする。
販売や在庫管理を業者に委託し、
商品が買われた時点で、
百貨店が仕入れたことにして、
売上げ計上する。
百貨店にとっては、
リスクが少ない商法だ。
在庫を持つ必要がないし、
人件費もかからないし、
ロスも出ない。
その少ないリスクの一つが、
今回のような問題。
わずかなリスクが現実化したのだから、
当然ながら百貨店は、
責任をとる必要がある。
昨年秋には百貨店でも、
レストランなどで虚偽表示事件が起こった。
「百貨店の管理の甘さ」が指摘されているが、
老舗の暖簾や信用こそが、
再びみたび失墜することとなった。
自らリスクを取らない商売には、
緊張感もないし、
実は喜びもないのだ。
さてさて昨日は夕方から、
全国セルコグループの、
新春賀詞交歓懇親会。
懇親会に先立って、
高橋洋一さん特別講演会が催された。
私は眼科検診が長引いて、
聴けずじまい。
懇親会からの参加となった。
開会の挨拶は、佐伯行彦さん。
協同組合セルコチェーン理事長、
㈱さえきセルバホールディングス社長。
「消費税増税を肯定的に捉え、
売上げ・利益をとる政策とコスト削減策で、
地域密着スーパーマーケットとして、
しっかりと頑張っていこう」
来賓挨拶は清水信次さん。
国民生活産業・消費者団体連合会会長、
日本チェーンストア協会会長、
㈱ライフコーポレーション会長。
「日本は先進12カ国の中で
ダントツの競争社会。
世界一の価格競争、
世界一の企業競争を繰り広げている。
食品、日用品を扱う
スーパーマーケットも卸もメーカーも、
大変な仕事に従事している」
「誇りを持って、
頑張っていきましょう」
清水さんのメッセージはいつも、
前向き、外向き、上向き。
それが産業のリーダーの在り方だ。
次いで行政代表者の挨拶。
経済産業省中小企業庁の安久恵さん。
経営支援部商業課長補佐。
「会員50社50万馬力、
賛助会員150社150万馬力、
合わせて200万馬力で、
売上げていきましょう」
午年の弁。
農林水産省食糧産業局の高橋孝雄さん。
食品小売りサービス課長。
「日本食が世界文化遺産になり、
2015年開催のミラノ国際博覧会の
日本館では食がテーマ。
2020年には
オリンピック・パラリンピックが、
日本で開催される。
日本の食文化のよさを海外はもちろん、
国内でも施策を通じ発信していきます」
㈱商工組合中央金庫の吉田雅功さん。
東京支店長。
「年末年始で中小企業も
回復の兆しが見受けられた。
大事なのは個人消費の回復」
そして、恒例の卸売業トップの登場。
三菱食品㈱社長の井上彪さん。
「売上げ第一から、今年は、
利益重視への意識改革が必要。
利益を追求した結果が売上げになる」
国分㈱会長兼社長の國分勘兵衛さん。
「地域格差が大きくなり、
店づくりは難しい時代。
個性あるオリジナリティ豊かな品ぞろえ、
開発商品が差別化になる」
㈱日本アクセス社長の田中茂治さん。
「勝つより負けないこと。
無理をせず足元を固める年」
「結城さんの言う、
『こまかく・きびしく・しつこく』が、
今年のキーワード」
商人舎と私の今年の標語を使ったスピーチ。
驚いた。
ただし、「なかよく」が抜けていた。
ボランタリーチェーンだけに、
余計に「なかよく」は大事だ。
しかし田中さん、
ありがとうございました。
会いに行きます。
三井食品㈱社長の長原光男さん。
「変化をチャンスととらえ、
変化に即した対応が必要。
お客が喜ぶ商品を揃え、
皆で頑張ろう」
伊藤忠食品㈱社長の星秀一さん。
「セルコチェーンの店を見た。
トップの教育が組織の隅々まで、
行き届いていた。感激した」
これまた恒例の役員紹介。
ひとりひとり理事が紹介され、
会場から拍手。
乾杯の発声は、
協会理事相談役の平富郎さん。
㈱エコス会長。
「競争の激しい中で、
いいプレーヤーが育つ。
アベノミクスの景気は関係ない。
景気は社長がしっかりつくればよい。
競争こそ、企業を磨き社長を磨く
砥石と思え」
平さんの檄が飛び、乾杯。
懇親会が始まると、
会場の半数は前方へ移動。
トップとの名刺交換の列ができる。
その間、私は懇親。
全日本食品㈱のお二人。
齋藤充弘会長と平野実社長(右)。
昨夜のNHK「NEWS WEB」を見た平野さん、
私の口から全日食チェーンの名が出て、
「思わず画面を拝んだ」と笑って話してくれた。
㈱サンシャインチェーン本部社長の川崎博道さん。
改革・改善が進み、
今年は改装に力を入れる。
サンシャインの斬新な改装、
大いに期待しています。
清水信次さん、平さんと写真。
さらに佐伯さんが加わり4人でポーズ。
佐伯さんは、
トレードマークのボルサリーノが、
よく似合う。
さらにさらに、
齋藤さんと平野さんも加わり、
清水さんを囲んで談笑。
清水さんは少しだけ足元は衰えたが、
頭脳は明晰。
「最後に大事なのは『徳』だよ。
君らはまだまだ、それが足りん」
一同。
「ははーっ」
㈱たいらや専務の平典子さんと、
㈱マスダ社長の木村幸治さん。
典子さんは3月1日に、
たいらや社長に就任する。
期待したい。
三菱食品㈱相談役の後藤雅治さん。
㈱エコス社長の平邦雄さんと、
ブルーチップ㈱社長の宮本洋一さん(右)。
中山POP研究所所長の中山政男先生。
商人舎サイトで、
「中山政男のPOP語り」を、
執筆していただいている。
中締めは副理事長の井原實さん。
㈱与野フードセンター社長。
三本締めでしっかり決まった。
その井原さんと、
副理事長・㈱セルバ社長の桑原孝正さん、
そして理事・エコス常務の三吉敏郎さん(左)。
最後はもちろん、佐伯理事長。
今年も皆さん、
宜しくお願いいたします。
懇親会は毎年、
新横浜の横浜国際ホテルで開かれる。
ホテルの入口に、
真っ白な馬のオブジェ。
最後に玄関正面のパネルの前で写真。
ブルーチップ㈱常務の松浦克幸さん(左)、
同統括部長の鍋島丈夫さん(右)。
アドパイン代表の松井康彦さん。
松井さんは、
商人舎エグゼクティブ・プロデューサー。
百貨店の偽ブランド販売も、
「こまかく・きびしく・しつこく」
そして「なかよく」。
「なかよく」だけではだめなことは明らか。
「こまかく・きびしく・しつこく」が、
なければいけない。
もちろん清水信次の「徳」がなければ、
商売をやっている意味がない。
商売は「商人の徳」を磨ぐ砥石だ。
これは平富郎の持論。
[商人の徳」。
それを誇りにできる産業をつくりたい。
〈結城義晴〉