結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2014年03月17日(月曜日)

小保方論文問題の出典と引用、「おもてなし」の生産性と戦略論

Everybody! Good Monday!
[2014vol11]

2014年第12週、3月第3週。

春本番になってきました。

商人舎Magazine、
Weekly商人舎の月曜朝一、
「今週の販促企画」に、
春分の日のことが丁寧に書かれているが、
今週金曜日はその「春分の日」。

そして金・土・日が三連休。

PromotionとMerchandisingを、
きちんと結びつけた行動計画を、
つくってほしい。

最近、強くそのことを思う。

そこでWeekly商人舎週間特別企画で、
新連載をスタートさせた。

脱「販促企画書」の「マーケティング企画」づくり
第1回は5月の「母の日」企画

㈱流通総合研究所代表取締役の金田正裕さんに、
力を込めたご提案をいただく。

金田さんは1971年、
水産界の名門・北海道大学水産学部卒業、
同年、㈱ダイエー入社。
その後、商品統括本部で鮮魚部門バイヤー、
スーパーバイザーを歴任、
Kマートプロジェクト室を最後に、
1981年に退社し、
同年、㈱フレッシュフード研究所を設立。

このころ私は、
月刊『販売革新』編集記者で、
金田さんと組んで、
「最新鮮魚マーチャンダイジング」を、
毎月、試行錯誤しながら連載し始めた。

その後、金田さんは1991年、
㈱流通総合研究所を設立。
さらに1996年、㈱金田流通研究所を設立し、
現在、両研究所代表取締役。

久しぶりに金田さんに、
今度は『商人舎Magazine』にご登場いただく。

乞う! ご期待。

月刊『商人舎』と商人舎Magazine。
どんどん現場の問題解決を、
テーマにしていきます。

さて小保方晴子さんの「STAP細胞論文」。
理化学研究所ユニットリーダー。
私自身は論文を読んでいないし、
テレビの記者会見も見ていない。
新聞報道やテレビ報道の一部しか見ていない。

ましてや早稲田大学の博士論文など、
目にする機会はない。

つまりは全部、伝聞情報。

だから伝聞したことへのコメント。

通称「コピペ」をそのまま論文に転用して、
自分の文書や自分の考え方と、
詐称することは許されない。

しかし出典を明らかにして、
引用することは当たり前に行われる。

分野によっては、
9割がた引用という論文さえある。

その論文の価値評価は別にして、
それもまかり通っている。

しかし、この出典の明示と、
引用の作法を怠ったとしたら、
それは論文として破棄される。

論文に限らない。
単行本でも、記事でも、ブログでも、
平気でコピペして、
自分の文章の如く、
公開しているものがある。

結城義晴の毎日更新宣言も、
数年前、ある青年会議所のリーダーが、
毎日、一部をコピペして、
自分のブログの如く装っていた。

かなり名の通ったブログでも、
ちょっと売れたビジネス書でも、
確実に著作権法に引っかかる、
危ないものがある。

小保方事件の問題点は、
このことが「ノーベル賞」レベルの研究で、
行なわれたと言われているところにある。
理化学研究所の「悪しき官僚化」も感じられる。

だからといって、
「STAP細胞」の考え方自体は、
もったいないくらいに、
ユニークで価値があると、
門外漢ながら、私は思う。

さて今朝の日経新聞『経済教室』。
柳川範之東大教授の講義。
「『おもてなしの心』、生産性は?」

アベノミクスの第3の矢は「成長戦略」。
ここで「サービス分野の生産性向上は大きな課題だ」。

「日本経済に占めるサービス業の比率は約7割」。

日本のサービス業の生産性は高くはない半面、
「おもてなし」は優れている。

柳川教授は、「おもてなし」を定義する。
「利用者ニーズに合った
きめ細かいサービスの提供」。

そのうえで、指摘する。
「実際には、日本のサービス業の生産性は
水準、上昇率とも製造業に比べ低く、
おもてなしが効果を発揮しそうな卸・小売・飲食も
主要国と比べて見劣りする」

しかし柳川さんは、
ここから次々に研究者の見解を紹介。
まず慶応義塾大学の中島隆信教授の指摘。
「金銭的価値だけでなく、
消費者の満足度も反映して計算すると、
実はサービス業の生産性はさほど低くない」

次に経済産業研究所の森川正之副所長の実証研究。
「製造業に比べ業種や事業所によって
生産性のばらつきが大きいうえ統計が未整備で、
一般的なマクロデータから計測するのが難しい」

そのうえで、パズルを解くカギを紹介。
それは「ギフト(贈与)の経済学」。

ここでまた研究者の見解を紹介。
カリフォルニア大学のジェームズ・アンドレオーニ教授。
「実験により寄付行動の理由や影響を研究」。
さらにシカゴ大学のジョン・リスト教授。
「社会の中で実施する実験などで
チャリティーの動機を明らかにしたり、
寄付額が株価動向に左右され、
下降局面より上昇局面に強く反応することなど
興味深い分析結果を発表している」

それを総括する。
「これらの研究ではギフトの動機として
利他的動機、自己満足、
将来の信頼関係の確保などが
挙げられている」

そして中間総括。
「我が国のサービス業では、
実はサービスの販売だけでなく、
同時にある種のギフトを
提供している面が強い」。

「販売したサービスに加えて
ギフトのサービスを提供すれば、
当然売り上げはコストに比して相対的に低くなり
統計的な生産性は下がる。
これが日本のサービス業の
基本的な構造なのではないだろうか」

こういった推論をしていく。
そして「長期的利益につなげるギフト」
戦略性を問う。

「目先の利益にとらわれず
長い目でサービスを提供するのは重要だが、
場当たり的では意味がない。
投資として捉えるなら、
どう将来の利益に結びつけるかを
考える必要がある」
このあと、
「IT(情報技術)化とオープン化」が
論議されるが、それは割愛。

結論。
「『おもてなし』は素晴らしい。
だが国や企業にとって、
自身の強みの源泉を整理し、
環境変化に合わせて
バージョンアップしていくことは
必要不可欠な戦略なのである」

と、ここまで、
日経新聞2014年3月17日版の
「経済教室」から引用し、
中身をダイジェストした。

そして私のまとめ。
これも引用。

気配りを見せぬ気遺ひ暖かし
〈2014年3月16日日経俳壇より いわき・坂本玄々〉

「お・も・て・な・し」を、
企業戦略でとらえることも、
悪くはない。

しかし俳句のほうが、
その本質を表わしていることも、
まま、ある。

では、みなさん。
Good Monday!

〈結城義晴〉


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