立教大学・結城研究室撤収と西武所沢店と塩野七生の台所感覚
今日は午後から、東京・池袋。
立教大学。
研究室の片づけと撤去。
といっても、
このマキムホール5階の研究室には、
2年前に引っ越してきたので、
それほど散らかってはいない。
それに私は研究室には、
資料を置かない。
すべて横浜の商人舎オフィスに、
集中させている。
3時間ほどで、
撤収終り。
結城ゼミ2期生の山本知己さんが、
顔を出してくれた。
現在、博士課程後期を履修している。
片付け終って、
ほっと一息。
元通りになりました。
お世話になりました。
名札。
最後の「在室」。
メールボックス室。
ここにもお世話になりました。
ガラス張りのドアです。
5階ロビー。
そして1階のネームプレート。
お世話になりました。
ほんとうにありがとう。
2007年8月に㈱商業界を辞して、
2008年2月に㈱商人舎を創立し、
2009年4月に大学院特任教授に就任。
あっという間の5年間だったが、
結城ゼミ生はきっちり30人。
私の講義を履修してくれた院生は、
兼任講師の時代を含めて、
ざっと数えて250人くらい。
ありがとう。
すべての人々に、
心から感謝したい。
さて日経新聞に、
編集委員の田中陽さんが書く。
「女性が作るデパート 元気」
西武所沢店の実験。
「百貨店全館を
ほぼ女性だけの職場にして2年。
売上高は増え、
会議や残業の時間は激減した」
いいことづくめ。
当然のことだとも思うだが、
一般ビジネス社会から見れば異常。
田中さんは、単刀直入に、
山本まゆみ店長に聞く。
「女性はおしゃべりが好き。
時間を有効に使い、
無駄なことはしたくない。
やるべきことが理解できたら徹底する」
ワイガヤと即実行と徹底。
所沢店は来店客の8割が女性。
運営は女性だけ。
いわば女性社会。
「女同士、店頭では
顧客との商品選びの会話も弾み、
欲しい商品やサービスの勘所をつかめる。
同僚との何気ない会話も
売り場作りの話が多い」
男性主体ビジネスへの批判が続く。
「目指す売り場を実現するのに、
時間がかかった。
会議の連続で机上で考えた企画が多く、
肉付けのデータも必要」
男ども、良く聞け。
「顧客に向き合うより
机に向き合う仕事だ。
残業時間は増え、
資料は分厚くなるばかり」
「段取りにこだわり、いい提案でも
売り場に反映されるのは
約1カ月半後がザラだった。
今では2週間で売り場が変わる」
結果として売上げは
前年に比べ8%増えて、
現在も勢いがある。
同店の強みは、
顧客目線の店作り。
一方でそれを支えてきた、
雑談の延長線上ともいえる車座会議は、
これまでの意思決定の手順、命令系統とは
大きく異なる。
メアリー・フォレットの状況の法則。
フォレットも女性で、
アンリ・ファヨールの管理論を否定した。
それがピーター・ドラッカーや、
ヘンリー・ミンツバーグにつながった。
鈴木敏文セブン&アイ会長。
「変化の激しい世の中に対応するには
組織を思い切って変えることも必要だ」
山本まゆみ店長。
「売上高や業務効率で
いい数字を出し続けることが
いい組織だと思う」
考え方は、男性も女性も変わらない。
むしろ山本さんは男性的。
百貨店は都市部順調・地方不調。
毎年3%前後の売り上げ減。
しかし同店は2年連続のプラス成長。
藤本圭子セブン&アイ・プロジェクトリーダー。
「男性の仕事とされてきた職種でも
女性ができることがわかった」。
田中さんの結論。
「店や働き方は時代と共に変わっていく」
しかし私はもっと、
リアリティのある理由を感じる。
塩野七生著『再び男たちへ』。
文芸春秋社刊。
その第18章「女の反乱」。
「ちゃんと『男』をしてくれない男たちに対して
女たちが反乱を起こす」
「この反乱を鎮めるには方策は二つしかない」
「第一は男たちが一念発起して
姑息でない政治をすること」
「第二は、女の議会をつくってしまうこと」
西武所沢店は、第二の方策をとった。
第19章「台所感覚」。
「いかに有益な政策でも、
表面上はソンになりそうだったり、
または外見がぱっとしなかったりすると、
民衆(台所感覚)の賛同を得るのは、
至難のわざとなる――」
山本まゆみ店長や、
藤本圭子プロジェクトリーダーに、
会ったことはないが、
なんとなく塩野さんの風貌を思い浮かべる。
春は女性のシーズンだ。
〈結城義晴〉