飛び石「安近短黄金週間」とトヨタの「つくるより売るが難しい」
Everybody! Good Monday!
[2014vol17]
2014年第18週。
4月の終りと5月の初めが同居する週。
8%への消費増税後の、
ゴールデンウィークの合間の月曜日。
名づけて「安近短黄金週間」。
今週の販促企画は、
商人舎Magazineの、
Weekly商人舎・日替り連載、
「月曜朝一」をどうぞ。
朝から横浜商人舎オフィス。
新緑が美しい。
オフィス裏の遊歩道を見下ろすと、
光がまぶしい。
1年で一番いい季節です。
表通りはツツジが満開。
精一杯、花弁を開いて、
まさに満開。
いい季節です。
最長11連休だけれど、
今週の水・木・金曜日に休暇をとれない人は、
3・4・5・6日の4連休。
あるいは今日、休暇をとって、
4連休のあと3連労働、
そして4連休。
こんな人、こんな会社も多いだろう。
これが、いわゆる「飛び石連休」。
逆に商売をやる人たちは、
「飛び石書き入れ時」。
顧客の不幸は、
我が不幸。
顧客の喜び、
我が喜び。
中くらいなり我が連休。
早ばやと風をはらんで鯉幟
〈日経俳壇 茨木市・赤畑博〉
都会では見かけなくなったけれど、
こいのぼりこそ、黄金週間の象徴。
新茶汲む窓の全てを開け放ち
〈日経俳壇 大和市・杉浦正章〉
新茶とは、
その年の最初に摘み取られたお茶。
4月下旬から5月初旬。
「夏も近づく八十八夜♪」
立春から数えて88日目の夜が、
八十八夜。
ことしの立春は2月4日。
だから八十八夜は5月3日。
この日に摘み取られたお茶は、
一年間の無病息災を与えてくれる、
とされる。
味も良い。
葱種の三百粒をスパッと蒔く
〈同 安中市・入沢岳風〉
添え書きがある。
「苗箱に約三百粒の種を瞬時に蒔く、
私は葱農家です」
ゴールデンウィークのあと。
やってくるのはこの日です。
母の日の母の背丈の潜り木戸
〈同 尼崎市・池田誠喜〉
いいですね。
母親への温かい視線。
さて、スポーツの季節でもある。
プロテニスの錦織圭。
第62回バルセロナオープンで優勝。
世界の舞台のツアーで5勝目。
素晴らしい。
一方、日本のプロゴルフ。
44歳の藤田博之が、
つるやオープンで優勝。
一昨年の賞金王。
昨年は勝利なし。
勝負のかかった17番ロングホール。
ベテランの清水重憲キャディーと意見がピタリ。
「最後まで楽しみましょうよ」。
ここは刻んで、
第3打に掛けたが、
その精神的ゆとりが、
プレーオフの落ち着きに繋がって、
優勝。
勝利のコメント。
「勝つ姿だけでなくて。
同じ世代の人たちに共感してほしいし、
俺も頑張ろうと元気になってほしいから」
商売も同じだ。
売る姿だけではいけない。
顧客たちが、
俺も、私も、頑張ろうと、
元気になってくれなくてはいけない。
連休中も、
この意気で、
仕事に邁進してほしい。
錦織圭も藤田寛之も、
休日に仕事する、
プロフェッショナルである。
さてさて、
日経新聞最終面『私の履歴書』。
今月は豊田章一郎さん。
トヨタ自動車名誉会長。
今日のタイトルは「固い絆」。
「販売・製造は車の両輪。
トヨタの販売の礎を築いたのが
神谷正太郎さんだ」
章一郎さんの父・豊田喜一郎さんの考え。
「つくるより、売るほうが難しい」。
そこで日本GMの神谷さんをスカウト。
その神谷さんの哲学は、
「販売店の繁栄あって生産者の繁栄がある」、
「一にユーザー、二にデーラー、三にメーカー」。
小売店の繁栄があって、
メーカーの繁栄がある。
神谷さんは、
「地元の資本や人材を活用して、
各府県に1販売店を目標に、
販売網を築いていった」。
さらに、
「1950年の経営危機で工販分離後、
神谷さんはトヨタ自動車販売社長として
内外の販売・サービス網の拡充に全力を傾け、
その仕事ぶりは鬼気迫るものがあった」
これに関連して、
連載の4月19日は「工販合併」。
1950年に「工販分離」をして、
トヨタは自動車工業と、
自動車販売に分かれた。
「トヨタ自工とトヨタ自販」。
それが1980年代、再び合併する。
日本の自動車産業は、
大きな曲がり角を迎えていた。
「販売の神様」と言われた神谷さんは、
半年前に他界。
そこで、「生産・販売という表裏一体の機能を
総合的かつ機動的に発揮することが必要と判断」。
章一郎さんが、
新生トヨタの初代社長に選ばれた。
この歴史をみていると、
チェーンストアの誕生を思い浮かべる。
ゴドフリー・レブハーは、
その著『チェーンストア』の中で指摘する。
チェーンストアは、
「小売業と卸売業の機能を
併せ持つものだ」
トヨタ自工とトヨタ自販。
製造業と小売業の表裏一体の機能を、
総合的かつ機動的に発揮する。
チェーンストアは、
小売業と卸売業の表裏一体の機能を、
総合的かつ機動的に発揮するものだ。
だから章一郎さんが、
神谷さんから言われ続けたこと。
「とにかく販売店を回れ」。
これは小売業のトップも同じ。
「地域、販売店から、
きたんのない意見をうかがい、
車造りに生かす。
この愚直な取り組みこ
そトヨタの強みだ」
飛び石とはいえ、
安近短黄金週間。
とにかく、店を回れ。
「神は現場にあり」。
トップ、幹部、本部スタッフ、バイヤー。
トヨタに負けてはいけない。
では、みなさん、
月曜日には、
Good Monday!
〈結城義晴〉