CCL「ビッグデータ活用」とイオン岡田元也社長の「ダイエー再生論」
万緑の東京・芝公園。
東京タワーが映える。
いいなぁ。
そして台徳院霊廟惣門。
つまり徳川二代将軍秀忠の霊廟の門。
これも重要文化財。
芝公園から歩いて5分ほど。
カスタマー・コミュニケーションズ㈱。
略称CCL。
その定例取締役会。
私は2007年から非常勤の取締役。
この会社は日本のFSPの草分け。
フリークエントショッパーズプログラム。
そしてCRMをマーケティングする。
カスタマー・リレーションシップ・マネジメント。
当然ながら、
ビッグデータ活用のトップランナー。
ビッグデータは、
安倍内閣の第三の矢「成長戦略」の一環。
一昨日の日経新聞本紙。
「ビッグデータ活用『便利になる』67%」。
日経リサーチのインターネット調査だが、
全国の成人男女1000人に聞いた。
ビッグデータは、
スマホやセンサーなどの情報を
匿名化して分析する技術。
しかしそれを国民はどう受け止めているのか。
回答者の67%が、
「ビッグデータで暮らしが便利になる」。
その理由の上位は、
「普段気付かない不便が解消される」
「交通が便利になる」
しかし、逆に33%の回答者は、
「便利にならない」。
その理由は、
「知られたくないことも知られる」
「もう十分に便利だ」
「商品を安く買えるわけではない」
ポジティブな人は便利派、
ネガティブな人は不便派。
「もう十分に便利だ」など、
年齢を聞いてみたい気がする。
若い世代ほど、
ビッグデータへの期待も高い。
男性の71%が便利になる。
女性は63%が便利になる。
データの活用目的の回答。
4割を超えた目的は、
「買う人の好みを的確に把握する」
「クレームを開発に生かす」
「顧客満足度を向上させる」
そして記事も指摘するが、
「問題はプライバシー保護」。
個人情報保護である。
データの安全性を高めること。
それが、ビッグデータ活用の鍵。
CCLのID-POSデータは、
個人情報を削除してある。
そのうえで、
有益なマーケティング分析をする。
私はアドバイスする。
「ゼロ戦化現象」に陥るな。
そうして、
使い勝手のよいシステムの開発を、
お願いしている。
5月16日の日経本紙に取り上げられた。
この会社は、
官民ファンドの産業革新機構などから、
約5億円を調達して態勢整備に入った。
大いに社会貢献してくれるはず。
楽しみだ。
さて、昨日は、
ダイエー新さっぽろ店を訪れた。
今年4月24日にリニューアルオープンしたばかり。
JR新札幌駅に直結した店。
札幌市営地下鉄東西線の新さっぽろ駅にも、
新札幌バスターミナルにも、
隣接したいい立地。
JR札幌駅まで10分のアクセス。
サラリーマンやOLなど、
有職者が多く居住する地区。
2人以下の少人数世帯は、
7割以上を占める。
だからまず、惣菜売場が広がった。
イオン幕張新都心の店が、
昨年12月20日、オープンしたが、
そのノウハウがダイエーにも、
どんどん導入されていることがわかる。
実際に顧客たちが、
感動の声を上げて、買物していた。
1.5km圏内には、
大規模市営住宅が3カ所ある。
こちらの居住者にはシニア世代が多い。
ここにも惣菜は必需だし、
個食マーチャンダイジングは効果的。
新さっぽろ店のリニューアルは、
ダイエーにとって、
2014年度最初の大規模活性化事例。
従って、大型店舗のモデル構築を目指す。
ただし、売場面積は直営が、
2909坪で、なおかつ3層。
つまり1000坪の3フロアの店舗。
この店の成果・効果の検証が、
今年度のダイエーの進路を決める。
昨日の日経本紙に、
イオン岡田元也社長が登場。
単独インタビューに答えている。
大胆な発言だ。
「旧イオン、旧ダイエーという境目をなくし、
合理的な企業集団に再編する」。
これはイオンとダイエーの融合を意味する。
昨年8月31日に、
イオンの完全子会社となったダイエー。
しかし「イオンとダイエーは多くの事業が重なり、
現状のコスト構造では本質的な改革は難しい」
だからダイエーとイオンの店舗や物流施設などを、
一体的に再編する。
ダイエーの2014年2月期決算は、
単体売上高が約6150億円。
連結最終損益は243億円の赤字。
売上げの7割強が関東と関西。
新さっぽろ店を含む北海道は17店舗で約7%。
九州・中国地方は39店で約15%。
一方、イオングループには、
北海道が総合スーパーのイオン北海道と
食品スーパーのマックスバリュ北海道。
九州には、イオン九州とマックスバリュ九州。
イオンは総合スーパー業態と、
食品スーパー業態を分けて、
業態別の企業群を形成している。
だから北海道と九州のダイエーの店舗は、
イオン子会社にそれぞれ振り分ける。
その期限は2014年度中。
その代り、ダイエーは、
「関西と関東に経営資源を集中し、
スーパー事業全体を引っ張る存在にしたい」。
特に関西は、
マックスバリュ、ピーコックストア、
さらに山陽マルナカや光洋まで、
グループの様々なバナーが混在する。
イオンの中小型総合スーパーもある。
これらを「ダイエーに集めてもいい」。
そして食品分野を強化して、
ダイエーを中核にすえる方針。
岡田さんが強調したこと。
「ダイエーは縮小ではなく、
スーパーの中心として成長させる」。
OBも含めて、
ダイエーマンたちが、
泣いて喜ぶ発言だ。
さらにバナー名は、
「統一したいこだわりも、
そのままというこだわりもない。
顧客が信頼している名前もある。
個性は大事にしつつケース・バイ・ケース。
名前よりも支持される取り組みを
考える方が重要だ」
岡田元也、冴えている。
新さっぽろのリニューアルを見て、
そして岡田さんのこの発言を聞いて、
私は感じた。
ダイエー再生の可能性は高い。
回りの企業群にとっては、
えらい迷惑だろうけれど・・・。
(新さっぽろ店のリニューアルは、Daily商人舎に掲載予定)
〈結城義晴〉