結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2014年09月22日(月曜日)

関西スーパー福谷耕治新社長誕生と孫子の「勝ちを知るに五あり」

Everybody! Good Monday!
[2014vol37]

2014年第38週です。
9月第4週。

いい季節です。
ほんとうにいい季節。

こころざし高きに置けば秋晴るる
〈『春節』1995年3月より  山田弘子〉    
このまま、この季節のなかに、
たたずんでいたい。

そんな気持ちになってくる。
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さて月刊『商人舎』2014年9月号。
ご好評いただいております。

特集はUS Retail Industry

絶賛発売中!
価格:1冊1500円(税別)。
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鳥の目・魚の目で、
アメリカ小売業をとらえ、
業態別に複占化現象を明らかにし、
日本小売業に対しては、
その閉塞状況脱出の手掛かりとする。

先週土曜日のこのブログで、
イトーヨーカ堂の業態論を語った。

業態の衰退期を迎えたか、
そんな見方さえあるだろう総合スーパー。
日本ではずっと「GMS」といわれたりしてきた。

ペガサスクラブの故渥美俊一先生は、
「日本型スーパーストア」と呼んだ。

しかし衣食住フルラインの総合ストアは、
欧米ではハイパーマーケットと称される。
食品主体のセルフサービス店を、
「スーパー」なマーケットと称すが、
それに対して「ハイパー」なマーケット。

イトーヨーカ堂は、
衣食住フルラインの店であるから、
ではハイパーマーケット業態として、
問題を解決すればいいのか。

この業態をどんな方向に引っ張っていくか。

業態が分化したものを、
フォーマットと概念づける。

神戸大学名誉教授の田村正紀先生。
私も田村先生の定義に準じて、
フォーマットが重要な考え方だと主張する。

だから日本の総合スーパーの業態の中で、
イトーヨーカ堂は、
どんなフォーマットになったらいいか。

それは企業の戦略行動であって、
だから私は大衆百貨店になるのがいい、と考える。

つまり百貨店の商品ラインを揃えて、
それをギリギリの低価格で販売する。

百貨店にいやがられる店になる。

それがイトーヨーカ堂のフォーマットとなる。

イオンの総合スーパーは、
イオンリテールだが、
こちらは大衆百貨店ではないだろう。

そんなことが、
月刊『商人舎』を読み続けると、
分かってくる。

9月号のUS Retail Industry特集は、
特にそれが見えてくる。

しかし月刊『商人舎』は残念ながら、
書店でもアマゾンでも手に入らない。

だから㈱商人舎に直接、申込みをお願いしたい。
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さて、今週のスケジュールの目玉は、
明日の火曜日の秋分の日。
商人舎Magazineの日替り連載、
「今週の販促企画」に、
考え方を掲載。

もうひとつ先週の話題。
金曜日の19日に、
関西スーパーマーケットの人事発表。
福谷耕治さんが10月1日から、
代表取締役社長に就任。

井上保さんは取締役会長になる。

井上さん、ご苦労様でした。

福谷さん、名門・関西スーパーの、
第三代目社長就任。

おめでとう。
そして頑張れ。

福谷さんは、
コーネル大学ジャパン伝説の第一期生。
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そして今年4月の商人舎視察研修会、
ロンドン・バルセロナに参加して、
テスコとメルカドーナを、
熱心に学んでいた。

関西スーパー社長就任というだけで、
また伝説をつくった。

関西スーパーこそ、
新しいポジショニングをつくって、
独自のフォーマット戦略を、
推進しなければいけない。

その役目が福谷さんに課される。

大いに期待したい。

そして井上さん。
たいへんな時期の二代目社長。

それこそ伝説の北野祐次名誉会長が、
心血を注いでつくり上げた会社を、
受け継ぎ、引き継ぎ、
ここまで持ってきた。

私は井上さんだからこそ、
それができたと思う。

これからは福谷さんを背後から支えて、
会長として会社に貢献し、
同時に業界や協会の仕事もやってほしい。

これまでは井上さんは、
ひとりで全部、やっていた。

ほんとうにご苦労様でした。

最後に日経BizGate9月17日のコラム。
東京理科大学大学院教授の伊丹敬之さんが、
『孫子』に学ぶ経営を書いている。

「勝ちを知るに五あり」

その一、戦うべきと戦うべからざるとを知る者は勝つ。
その二、衆寡の用を識(し)る者は勝つ。
その三、上下の欲を同じうする者は勝つ。
その四、虞(く)を以て不虞を待つ者は勝つ。
その五、将の能にして君の御せざる者は勝つ。

この後に、最も有名な句。
「彼れを知りて己(おの)れを知れば、
百戦して殆(
あや)うからず」

この名言よりも、伊丹さんは、
「勝ちを知るに五あり」を強調する。
伊丹さんによると、
これは5つ勝者のタイプを表している。

第一は、
「戦うべき状況かどうか、
判断できる者」。

第二のタイプは、
「現場の作戦行動を
兵力の大小に応じて
適切に工夫できる者」

第三は、
「組織の上下で
同じ思いと欲を共有している者」

第四は、
「自ら深く考えて準備をし、
相手が準備のないまま行動するのを
待ちかまえている者」

最後に第五のタイプは、
「現場の指揮官たる将の能力が高く、
最高責任者である君(経営者)は
将のたづなをとって
いちいちコントロールはしない者」

伊丹さんは言葉を変える。
「現場への権限委譲が大切」。

さらに、読み替える。
「本社が現場の事業を
コントロールしたがる企業に発展はない」。

伊丹さんは、
五つの「勝ちを知る」者のエッセンスを、
箇条書きで経営用語にする。

①環境の中の自分の立ち位置の判断
②現場での人や資源の運用
③人心の統一
④自分の側の準備や蓄積
⑤現場への権限委譲

①がまさに、
私の主張するポジショニング戦略。

そしてこの5つの概念は、
経営者だけに求められるものではない。

志高き知識商人にはすべて、
必要なことだ。

こころざし高きに置けば秋晴るる

では、みなさん、今週も、
Good Monday!

〈結城義晴〉


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