FoodLion・HarrisTeeter・Publix・WholeFoodsの現代化競争
大型の台風19号。
10月の3連休の日本列島を、
まさにご丁寧に縦断。
2週連続の台風の上陸。
アメリカの空から、
お見舞い申し上げたい。
しかし、ライフライン、
しっかり守ってください。
市民生活を守る砦たれ。
故倉本長治先生が、
徳島のキョーエイに贈った言葉。
それを日本列島の小売商業が、
全体で全うしてもらいたい。
さて月刊『商人舎』10月号。
随分、読んでくださっているようで、
心から感謝。
あちこちからメールが入ります。
【特集】
2014年末商戦「営業〈マーケティング〉企画」
もう、これまでの販促企画書は捨てよう!
商人舎magazineのMonthly商人舎の、
目次をご覧ください。
ID-POSデータ分析が二つ入って、
秀逸です。
さて、サッカー日本代表。
シンガポールのナショナルスタジアムで、
ブラジル代表と対戦。
結果は0-4。
当然というか0が日本で、
4がブラジル。
私は見ることができなかったが、
ネイマールが4ゴール。
つまりこの試合の全得点を、
ネイマールが上げた。
日本はブラジルに対して、
12戦0勝9敗・3分。
まだまだ、です。
さて私はノースカロライナ州。
北にバージニア州、
南にサウスカロライナ州、
ジョージア州。
イーストコーストと呼んでいい地域。
人口は954万人、
全米第10位。
その最大都市シャーロット。
朝の9時きっかりに、
ホテルを出発。
霧雨が降っている。
ホテルの目の前の、
フードライオン。
ベルギーのデレーズの傘下。
デレーズアメリカという会社。
これ以上ないという、
典型的なコンベンショナル型。
つまり、守旧派。
デリ売場はあるが、
セルフサービス・デリ。
唯一のサービスデリは、
まだ商品が揃っていない。
この地域のシェア一番企業が、
一番の守旧派。
つまりマーケット・リーダー。
しかしマーケットをリードする要件は、
規模だけではない。
だから、マーケット・リーダーの地位は危うい。
いや、もうフォロワーになってしまっている。
次にハリスティーター。
このエリアの高級スーパーマーケット。
そしてマーケット・チャレンジャー。
しかし昨年、クローガーに買収された。
つまり今や、
米国第1位スーパーマーケット企業の傘下。
実にいい店をつくっていたが、
徐々に競争が激しくなってきて、
とうとうクローガー傘下に入った。
そして今、ニュー・ロワー・プライス。
もちろん洗練されたところは残す。
けれど、コモディティ商品は、
ロワー・プライスのオンパレード。
それがクローガーの指導。
クローガー自身、
ウォルマートに対抗すべく、
コモディティ商品には、
エブリデーロープライス戦略を採用。
ノンコモディティには、
ダンハンビーUSAのFSPを活用。
それをハリスティーターにも、
指導している。
それがロワー・プライス。
ハロウィンのプレゼンテーションも、
きちんとしている。
念の為に、
もう1店、ハリスティーター。
こちらも店づくりには、
クォリティがある。
それを残しつつ、
ロワー・プライス。
この調子。
ハリスティーターのこの判断、
悪くないと私は思う。
フード・ライオンとハリスティーター。
そこに侵入したマーケットリーダー候補。
それがパブリックス。
ご存知、全米第3位のスーパーマーケットで、
フロリダに本拠を置くリージョナルチェーン。
1位クローガー、
2位セーフウェイ。
ナショナルチェーンは2社になった。
そのセーフウェイも買収され、
アルバートソンと企業統合される。
規模は大きくなるが、
セーフウェイの経営内容は、
ますます悪くなる。
そこでパブリックスの存在感が、
さらに増してくる。
ノースカロライナに、
そのパブリックスが上陸。
今年2月のこと。
この店は最新の4月オープンの店舗。
生鮮食品の鮮度とプレゼンテーションが、
素晴らしい。
全体にこれほどに、
クォリティ、クレンリネス、ホスピタリティ、
三位一体のバランスが取れた店は、
アメリカでもそう見当たらない。
そのパブリックスの最新店。
この店を見ていると、
このマーケットで、
やがてリーダーシップを握るのは、
パブリックスだろうと思えてくる。
パブリックスも、もう1店訪問。
こちらは今年2月オープン。
シャーロット1号店。
2015年度末には、
このエリアで15店のドミナントを築く計画。
競争相手は、うかうかしていられない。
店頭に幕を張って、
「他社のクーポン、引き受けます」。
ハリスティーター、フードライオン、
そしてBILOの名前がある。
店内は実によく管理されていて、
フロリダの店とは、
失礼ながら大違い。
オーソドックスを絵に描いたような店。
社員持株制度を採用しているから、
従業員の対応もいい。
ここで店長と面談。
メーガン・ホワイトさん。
パブリックスで15年のキャリア。
いわゆる「アラフォー」。
左右に男性を率いて、
上出来のストアマネジャー。
ただし、このパブリックスも、
コンベンショナル型スーパーマーケットの、
その最高峰。
いわば最高の近代化店舗。
この2店のスタディも、
Weekly商人舎に特別企画で掲載しよう。
しかし、パブリックスを含めて、
現代化されたフォーマットが出てきたら、
一体どうなるのか。
実に興味深い。
そのポスト・モダンがすでに出店している。
ホールフーズ。
この店がまた、実に、
脱コンベンショナルを実現させている。
入口の花売場。
バナナは吊り下げ方式。
チーム・メンバーたちが、
にこやかに対応してくれる。
ホールフーズはチーム・マネジメントを採用。
これもポスト・モダンの経営だ。
エンド陳列も美しい。
ミート・デパートメント。
チーズはラグジュアリー・デパートメント。
にこやかにポーズを取ってくれた。
店づくりは1店1店異なる。
しかし、全店は紛れもなく、
ホールフーズそのもの。
ポスト・モダンの標準化とは、
これを意味する。
サービスデリ部門の俯瞰写真。
もうほとんど、
ビュッフェ・レストラン。
ホールフーズは最近、
ますます美しくなっていく。
内食材料提供業から、
内食・外食・中食の融合。
その根底に、
オーガニックや環境のテーマがある。
そしてこの地に、
来年、ウェグマンズが、
やってくる。
隣のバージニア州では、
ドミナントを築きつつある。
その結果、
ホールフーズ、ウェグマンズ、
パブリックス、ハリスティーターによる、
ポスト・モダンの競争が繰り広げられる。
コンベンショナル型に、
決定的な影響を及ぼすのは、
ホールフーズではなく、
ウェグマンズだ。
ハリスティーターは、
いち早く手を打って、
クローガー傘下に入った。
パブリックスはどう出るか。
どう変わるか。
実に興味深い。
〈結城義晴〉