関西スーパー井上保さん、ご逝去。ご冥福を祈りつつダラス研修
残念極まりない訃報です。
井上保さん、
11月2日早朝、
ご逝去。
今年9月30日まで、
関西スーパーマーケット代表取締役社長。
67歳だった。
これほど惜しいと思うことは、
滅多にない。
故北野祐次さんが、
創業者で初代社長。
そのあとを継いで、
業界のリーダー企業の、
体質改革に取り組んできた。
しかもオール日本スーパーマーケット協会や、
日本チェーンストア協会で、
ながらく副会長職を務めて、
産業の発展にも貢献した。
これからそういった仕事が、
もっともっと増えていくだろうと思われた。
残念でならない。
あとは10月1日に三代目社長となった
福谷耕治さんを中心に、
北野さん、井上さんの遺志を継いで、
新しい関西スーパーを創造していってほしい。
北野祐次のもとで、
チーフ・マーチャンダイザーとして、
大活躍した頃の井上保。
一番輝いていたし、
一番幸せだったのだろうと思う。
ご冥福を、
心から祈りたい。
さて私はテキサス州ダラス。
その2日目は朝一番で、
2時間の講義。
それでも、足りない。
そしてクローガーのマーケットプレイスへ。
スーパーマーケット業界第1位。
クローガーの非食品強化型フォーマット。
中2階のオフィスに招かれて、
会議室でインタビュー。
イオンリテール2014アメリカ研修。
答えてくれるのは、
もうこのブログではおなじみ。
30年のキャリアのビル・ラスマン店長。
通訳は現地コーディネーターの井上博圀さん。
この7月に近隣に、
ウォルマートが出店してきた。
しかし12週間に1万ドル(100万円)しか、
売上げは落ちなかった。
それは「冷蔵庫満腹作戦」を取ったから。
日米ともに基本作戦は変わらない。
もちろんプライベートブランドも、
競争型のコンペティティブブランドを持っている。
チェックアウトサービスは、
三人目を待たせない仕組みを確立した。
戦う武器を開発した上で、
ビル店長のリーダーシップ。
それがこの店の強み。
団長の若山昇さんと握手。
イオンリテール近畿・北陸カンパニー支社長。
私とも、握手。
オフィスには、
こんなものが掲示されていた。
フレンドリー&フレッシュ。
この店のスローガン。
「3つのAと4つのC」。
青果部門は素晴らしい。
品質と価格競争力を備えている。
その青果に引っ張られるように、
全店が機能している。
しかし非食品の家具やホームデコは、
今後の新店からは排除される。
私が言い続けていたことが、
やはり、実現した。
その代わりに軽衣料が入る。
多分、コンセプトは、
JUSTベーシックスだろう。
素晴らしい店の、
素晴らしい経営だった。
夕方には、
同じクローガーのフレッシュフェアへ。
生鮮食品とデリを強化し、
非食品を排除したフード&ドラッグ。
こちらもレジは、
セルフレジ、エクスプレスレーン、
そしてノーマルレジの三種類。
都心型のいい店だ。
次はターゲット。
トナカイとサンタクロースが、
入口で迎えてくれた。
ウォルマートの対抗軸の企業。
しかしスーパーターゲットの生鮮食品、
まだまだです。
グロサリーは、
プライベートブランドの開発も進んで、
進化の跡が見られる。
そして非食品、
特にソフトラインは、
どんどんアップグレードして、
コールズを脅かす。
そのコールズ。
ジュニア・デパートと称するが実は、
ディスカウント・デパートメントストア。
私はこの分類に入れている。
そうすると、
日本で「GMS」と呼ばれる業態、
シアーズなどは何か。
シアーズはアメリカ商務省の分類では、
そのディスカウント・デパートメントストアだ。
この最新ショッピングセンターでも、
シアーズの店には、
客の姿が見えない。
JCペニーも、
GMSと呼ばれるが、
ディスカウント・デパートメントストア。
この企業も、
価格帯では下を受け持つターゲットに、
どんどん侵食されている。
そして上からは、
メイシーズ。
特に、11月1日以降、
早仕掛けのホリデーシーズンに入った米国では、
メイシーズも早仕掛けのセールを展開し、
店頭在庫を拡大しているので、
シアーズやJCペニーと、
そっくりの売場となっている。
もちろんコールズとも同質化している。
メイシーズは、二つのバナーに整理している。
大衆的な百貨店をメイシーズ、
高級路線をノードストローム。
だから大衆路線のほうは、
限りなくディスカウント・デパートメントストアに、
近づいてくる。
ノードストロームは、
そこからブルーオーシャンの世界に。
ハイセンス・ハイクォリティ。
さらに超のつくハイセンス・ハイクォリティは、
ニーマンマーカス。
プレゼンテーションは芸術の域。
後ろから。
ポーズ。
一方、低価格志向は、
TJマックス。
オフプライスストア。
ブランド品を安売りする業態。
TJマックスの対抗軸は、
ロス・ストアーズ。
こちらもオフプライスストア。
アメリカは百貨店のオフプライス店舗と、
オフプライスストアとが、
激しく競争していて、
この分野が伸びている。
百貨店のレギュラー店も苦しい。
それ以上に、
ディスカウント・デパートメントストアは、
大打撃を受けている。
一方、専門店。
ディックス・スポーティング・グッズ。
売場のつくりとプレゼンテーションは、
まさにポジショニング戦略。
そしてコンテナストア。
ギフト・ラッピングを打ち出している。
売場はもう、
クリスマス・モード。
クレート&バレル。
キッチン用品、家具など、
専門的な商品群が、
見事にビジュアルプレゼンテーションされている。
そしてペッツマート。
ペット用品とペットの専門店チェーン。
ダラーツリーは、
ダラーストア第3位だが、
第2位のファミリーダラーを買収して、
業容を拡大。
1ドルにこだわるダラーストアとして、
好調を堅持している。
ストーンブリア・センターは、
スーパーリージョナルショッピングセンター。
核店舗が多彩。
百貨店のノードストローム、
メイシーズ、ディラード。
ディスカウントデパートメントストアの、
シアーズとJCペニー。
そしてディックス・スポーティングが入る。
サブテナントは2層のフロアに、
ずらりと並ぶ。
モールのコンコースで、
麻雀を楽しむご婦人たち。
もうひとつのショッピングセンターは、
ノースパーク・センター。
こちらはスーパーリージョナル型ライフスタイルセンター。
われわれのランチは、
パンダエクスプレス。
中華料理のファストフード。
みんな、順番に並んで、
それぞれに注文。
天井を見上げると、
これはもう大ブームのむき出し型。
夜は、ステーキハウス。
ザ・ケッグ。
ここにも大満足。
スーパーマーケットも、
ハイパーマーケットも、
デパートメントストアも、
専門店も、
そしてショッピングセンターも、
大変化を遂げている。
その変化の潮流は、
古典的な業態の発想から、
逸脱して、
自分らしさを出すこと。
そしてあくまでも顧客志向。
顧客の望むままに店をつくり、
それが自分らしさと合致する地点を探し出す。
この方向だぞ、と示されて、
必死で一番を取る競争とは違う。
これがコンテスト型競争だ。
(つづきます)
〈結城義晴〉
【お詫び】
疲労困憊のため、時差ブログです。