クルーグマン教授「再増税急ぐべからず」と百貨店・専門店競争
ポール・クルーグマン教授が、
日本に行っている。
アメリカにいると、
そんな感覚。
プリンストン大学教授で、
2008年にノーベル経済学賞受賞の学者。
昨日、日経新聞の取材に応じてコメント。
来年10月に予定されている消費再増税。
「国内経済の打撃は大きく、
再増税を急ぐべきではない」。
その政策。
「物価上昇率が年率2~3%に達し、
デフレ脱却が本物になるまでは
再増税を控えるべきだ」
クルーグマンは、
インフレターゲット論者。
昨年までは、こう後押ししてくれた。
「消費増税した日本がこれでうまくいけば、
世界各国のロールモデルになる」
「積極的な対策をとれば必ず
デフレから脱却できるという強いメッセージになる。
世界の多くの国が固唾を呑んで
その行方を見守っている」
しかし2014年11月現在、
インフレ目標に達していないうちに、
消費税増税するのは危険だという見解。
財政再建のために消費増税をする。
消費増税しなければ財政再建が遅れる。
そして日本国債の売りを招く。
この懸念に対してもきっぱり。
「1年半~2年の再増税先送りであれば
問題にならない」。
アベノミクスを絶賛していたクルーグマンだが、
「政府が積極的な財政出動に
乗り出す必要がある」。
アメリカにいて、
海の向こうのクルーグマン教授のコメントを読む。
不思議な感じだが、
彼は責任ある発言をしてくれている。
さて私はこちらの6日の朝、
ロナルド・レーガン・ワシントン国際空港。
イオンリテールの米国研修団を、
見送る。
成果が上がった。
みんな元気だ。
送り出して一人、
ロビーに残る。
ラスベガスへの便が発つ頃、
空港には雨。
1時間半も機内に閉じ込められて、
それからやっと雲の上へ。
雲が切れていく。
そして岩肌。
ラスベガス国際空港。
活気がある。
「腹がヘリコプター」で、
すぐにラーメン屋。
らーめん・そら。
警官も来れば、医者のグループも来る。
アメリカ人に馴染んだ店。
そこでそらスペシャル。
満足。
車は中心街のストリップ大通りに入ってきた。
シーザース・パレスとベラージオ。
私は定宿のモンテカルロ。
その17階の部屋。
ここに5日間、お世話になる。
ストリップが見える。
夜はイルミネーション。
さて昨日のワシントンでの研修後半。
コールズ。
ジュニア・デパートと呼ばれ、
百貨店業界では、
メイシーズに次ぐ2番手。
そして日本の総合スーパーが、
大いに学ぶべきフォーマット。
ブランド物も扱うが、
それは比較的チーピー。
しかしこのコールズ、
この2年ほどは業績が芳しくない。
店頭にもパワーがない。
クーポンを主体とした販促は、
そろそろ
敬遠されつつある。
GMSと呼ばれたシアーズ。
そしてJCペニー。
どちらも驚くべき衰退ぶり。
食品のアルバートソン状態。
この2社及びコールズは、
アメリカ商務省の分類では、
ディスカウント・デパートメントストア。
それらがこぞって衰退基調。
普通の百貨店が、
セールを早仕掛け。
とりわけメイシーズ。
今年は特に、
在庫を大量に抱えて、
11月初めからセール、セール。
そして新オムニチャネル戦略。
これがコールズ、シアーズ、JCペニーを、
痛めつけている。
高品質な商品群を、
結果的に安く売る。
そうするとディスカウント・デパートメントストアは、
その存在意義を問われる。
ノードストローム。
ハイセンス・ハイクォリティ。
ここが一番評価が安定している。
セールを早めたりしない。
しかしノードストローム・ラックがある。
ノードストロームで売れ残った商品を、
専門に扱うオフプライスストア。
これもディスカウント・デパートメントストアに、
決定的に打撃を与える。
ただし、ワシントンの、
スーパーリージョナルショッピングセンターに、
面白い存在が、いた。
ロード&テーラー。
アメリカで最も古い老舗百貨店。
比較的低価。
それでいてこのセンス。
化粧品売場は、
百貨店の顔ともいえるものだが、
それには見向きもせず、
ユニークなポジショニング。
百貨店が巨大なチェーンストばかりになると、
40店ほどのニッチャーが輝く。
おもしろい。
あとは専門店。
ディックスがいい。
この空間。
ポジショニング構成要素の、
店づくりのユニークさ。
ベッド・バス&ビヨンド。
ちょっと停滞気味だったが、
店頭が見違える程になった。
危機感の現れ。
店づくりとマーチャンダイジングの、
そのユニークさは際立つ。
ラック・ルーム・シューズ。
この広さを、
2人程で運営する。
ドレスバーン。
レイン・ブライアント。
大サイズのファッション店。
カーターズのベイビーズ&キッズ。
そして最後にベストバイ。
米国家電チェーンのトップ。
右手に、ギークスクワッド。
左手にネット販売の「ストア・ピックアップ」。
さらにさらにサービス機能を充実させて、
専門店の生き残りの意義を追求する。
アメリカではカテゴリーキラーも、
進化がないとあっという間に、
おいていかれる。
イノベーションこそ、
サバイバルの唯一の方法だ。
だからこそ、
「自ら、変われ!」
(つづきます)
〈結城義晴〉
【追伸】
ワシントンDCからラスベガス。
時差は3時間。
でも今日は日本時間で、
公開できました。