大塚家具のポジショニング政策と社外取締役の役割
12月期決算上場企業の株主総会が集中する日。
全体の4割の約140社が開催。
委任状争奪戦で紛糾した㈱大塚家具。
2014年度年商555億円、
2億4200万円の経常赤字。
その定時株主総会。
出席者数は前年の10倍、
しかしそれでも約200人。
ということは昨年までは20名ほどで、
シャンシャン総会をやっていたのだろう。
今回は衆目の集まる中、
会社側の取締役選任案が可決された。
つまり大塚久美子社長側の勝利。
「大塚家を除いた議決権行使数で
約8割の株主が会社提案に賛成した」
総会後の取締役会で、
久美子社長続投が決定され、
父で創業者の勝久氏は会長を退任。
それでもいまだ個人株主として、
約18%を保有する。
会長対社長の対立の理由のひとつは、
その販売政策。
会長は会員制高価格商品販売政策、
社長はカジュアル店舗づくり。
要取引先のひとつに、
フランスベッドホールディングスがある。
その判断が面白い。
「高級路線に活路を見いだすしかなく、
勝久氏への賛同は妥当」
ニトリやイケアが隆盛の家具小売業界。
カジュアル店舗は、
その中に埋没してしまう。
この判断も、ひとつの戦略。
問題はどちらの政策も、
それを突き詰めて、
ポジショニングを確立しなければ、
上手くはいかない。
大塚家具の場合は特に、
何をするかよりも、
いかにするか。
大塚家具には、
それが求められている。
今回の株主総会ラッシュの中のトレンド。
「社外取締役」の選任。
日経新聞は報じる。
「ユニ・チャームが初の、
社外取締役2人を選任するなど、
企業統治の体制を強化する企業が相次いだ」。
ユニチャームはその上で、
「監査等委員会設置会社」への移行も決議。
これは社外取締役が監査も担当できる体制。
「キリンホールディングスは
独立性の高い社外取締役を2人に増員」
会社法2条15号で「社外取締役」は、
「株式会社の取締役であって、
現在及び過去において、
当該株式会社またはその子会社の
代表取締役・業務執行取締役
もしくは執行役または支配人
その他の使用人ではないものをいう」
第一の目的は監督機能強化。
だから会社の最高権限者と直接の利害関係のない、
独立した有識者や経営者などから選任される。
基本的に、その会社の業務を執行しない。
つまり監督の機能を分離して、
独立性と透明性の高い監視機能を持たせる狙い。
一方で、同じ企業内の慣習等に縛られない、
新たな発想や理念を取り入れるという目的も、
社外取締役選任にはある。
ユニチャーム高原豪久社長。
「監査を強化し、
成長と規律のバランスを取った統治構造にする」
さて商人舎オフィスに、
見事な胡蝶蘭が届けられた。
㈱伊藤園社長の本庄大介さんから。
驚いたが、ありがたく頂戴した。
博多人形に代わって、
ここに落ち着いた。
本庄さんの配慮は、
私が第一屋製パン株式会社の、
社外取締役に就任したから。
同社細貝理榮会長は、
㈱商人舎発足の会の発起人のお一人。
伊藤園の本庄八郎会長も、
発起人のお一人だけれど。
細貝さんとは、もう、
20数年のお付き合いで、
これまでも随分とお世話になった。
その恩返しの意味も込めて、
社外取締役就任のご要請を、
謹んでお引き受けした。
そして第一屋製パンも、
この総会ピークの日に、
株主総会を開催。
120名ほどの株主が参集して、
暖かく経営を見守り、
積極的なアドバイスなどの発言があった。
私はその後、横浜に戻り、
新田間川の川べりを歩いて、
春の気分を味わった。
さらに東京・御成門、
カスタマー・コミュニケーションズ㈱へ。
社長の米倉裕之さん、
取締役の石井賢治さんから、
報告を受けて、懇談。
さらにそのあと、上野池之端の東天紅。
第一屋製パンの新旧役員歓送迎会。
そして若手役員の二次会。
左から第一屋製パン常務の細貝正統さん、
取締役の小室英夫さん、
高嶋進さんと前川智範さん。
随分と盛り上がって、
改革の志を燃やした。
〈結城義晴〉