本物の実務家しか持たない「謙虚さ、思慮深さ、誠実さ、鋭さ」
Everybody! Good Monday!
[2015vol13]
2015年も第14週。
3月最終週で、
週中の水曜日から4月。
昨年は消費税増税の切り替えの週で、
世間は騒然としていた。
今年は穏やかな4月への移行。
一月往ぬる、
二月逃げる、
三月去る。
2015年の弥生も、
去ってしまって、
卯月がやってくる。
三日降り三日晴れて木の根明け
〈日経俳壇より 長岡・柳村光寛〉
木の根明けは、雪国で、
木の幹の周囲に隙間が空き始める現象。
日の本を駅伝のごとく桜咲く
〈朝日俳壇 青森市・浅田剛〉
桜前線が俳人の住む青森まで動くのは、
あと1週間か。
今週の販促企画は、
商人舎magazine、
weekly商人舎の日替わり連載。
月曜朝一・今週の販促企画。
この記事にもあるように、
甲子園の春の選抜高校野球は、
ベスト4が揃って、
明日、準決勝。
実は昨日の準々決勝が、
一番面白い。
雨の中の試合だったけれど。
そしてプロ野球。
セントラルリーグは、
阪神タイガースが三連勝で、
幸先のいい出足。
日経新聞のスポーツコラム『選球眼』
編集委員の島田健さん。
「27日はプロ野球の開幕日だったが、
スポーツファンにとっては
忙しい一日となった」
昼間に選抜高校野球、
夜はプロ野球。
サッカーは、
日本代表の国際試合と五輪アジア予選。
さらに女子ゴルフにフィギュアスケート。
「スポーツ全般に
興味をもっている人にとっては
ありがた迷惑だった」
というより、
スポーツマスコミにとって、
ありがた迷惑だったはず。
島田さん、愚痴っぽく語る。
「日本のスポーツは
横のつながりが少ないように見える。
同じ日にビッグイベントが重なると、
当然、メディアの扱いも
一つ一つが小さくなってしまう」
「野球界では選抜高校野球と
プロ野球が重なるのがいつも、
もったいないと思っている」
「野球という競技に統括団体がない、
一つの弊害だろう」
これはどんな世界でも同じで、
統括団体がないと、
顧客や市場の期待を、
裏切ってしまうことが多い。
さて、これも日経新聞『私の履歴書』
3月は古川貞二郎さんが書いてきた。
元官房副長官で官僚のトップ。
歴代内閣の裏側が興味深く綴られている。
先週金曜日から今日まで、
小泉純一郎内閣時代の話。
これが面白い。
「小泉さんは強運の持ち主であり、
政治センスも抜群だった。
しかも明確に方針を示してぶれない」
古川さんは何度も強調する。
そして小泉を支えた福田康夫官房長官。
第1次・第2次小泉内閣の女房役。
実はこの時の官房副長官が、
安倍晋三現首相だ。
古川さんは安倍さんと並んで副長官。
「小泉純一郎総理は
『聖域なき構造改革』を掲げ、
組閣では派閥の影響を排除するなど
斬新な政治手法で人気を集めた。
高い支持率を背景に、
リーダーシップを発揮して
経済構造改革や特殊法人改革、
郵政改革などを推し進めた」
そのエピソードの一つ。
「地球温暖化のボン会議で
日本が窮地に立ったことがあった。
このまま会議を続けるか、
開き直って会議を中断するか
日本代表団の意見が分かれ、
代表の川口順子環境大臣から
官邸の私に電話が入った」
川口さんからの緊急電話を受けた小泉首相。
「じっと聞いていた小泉さんは
『続けてくれ。あとは任せる』とたった一言。
トップリーダーのこの一言で
割れていた日本代表団が一致結束し、
難関を乗り切ることができた。
これが小泉流だった」
きっぱりと判断し、
あとは任せる。
古川さんは8年7カ月の在任期間中、
「原則毎日、古川番の記者と記者懇談会をやった」
通称「番懇」。
週5日のうち、4日は自宅、1日だけ官邸。
その自宅懇談は夜10時からの開始。
この番懇で古川さんが心がけたこと。
第1は「絶対にミスリードしないこと」
「私からは特ダネはとれない代わりに
ミスはさせないよ」
口癖だった。
第2は「いかに理解してもらうかにも腐心した」
新米記者よりやや上の記者の理解度を、
図りながら話した。
分からないようだったら言い方を変えた。
さらに「努力した記者」が、
一線に並ぶことがないよう苦心した。
未公表の人事情報などの確認を求められた時には、
基本的に正しい情報には「ノーコメント」、
間違った情報には「やめた方がいい」。
全体を読んでいると、
壮大な自慢話ではあるが、
それを直接、書くことは一度もない。
極めて大人の書き様。
それが歴代内閣から最も信頼された、
諸葛孔明か黒田官兵衛のような懐刀・古川貞二郎。
本物の実務家しか持たない、
謙虚さ、思慮深さ、誠実さ、鋭さ。
それが内閣という総括団体を、
正しくリードした。
3月いっぱい、
経営を考えるという側面からも、
実に有益な勉強をさせてもらった。
3月の商人舎標語。
「この一瞬を積み重ねよう」
一瞬一瞬に、私たちは、
謙虚でなければいけない。
思慮深く、誠実で、
それでいて鋭くなくてはいけない。
では、今週も、
Good Monday!
〈結城義晴〉