商人舎7度目の決算報告と「デフレは終わった説」
3月最後の日。
夕桜けふも昔になりにけり
小林一茶がこう詠めば、
加賀千代女はこうつぶやく。
けふまでの日はけふ捨てて初桜
一方、一茶の愛弟子・西原文虎。
かゝる代に生れた上に櫻かな
こんなにいい時代に生まれて、
その上に桜。
昨日は商人舎オフィスに来客。
㈱商人舎顧問税理士の宮田昇先生、
後藤周太郎税理士も同道。
2015年1月期決算。
設立以来7度目の決算。
過去最高の売上高。
売上総利益も過去最高。
総資産も過去最高。
無借金経営。
ただし一昨年から、
月刊『商人舎』を発刊し始めたため、
営業利益や経常利益は、
まあまあの合格ライン。
流通消費産業界へのご恩返し、
社会的貢献だと考えて、
利益を削って、持ち出しをしつつ、
「紙と網の融合メディア」を続けていきます。
宮田先生には、
「お手本のようなきれいな決算」だと、
褒めていただきました。
ありがとうございます。
もうお一人は、丸山正博さん。
一般社団法人パチンコ・トラスティ・ボード専務理事。
パチンコホール経営企業の社会的地位向上を目指す、
業界外の有識者・専門家による第三者で構成する組織。
私はこの法人が設立された時から、
ずっと有識者懇談会の専門委員を務めてきた。
2カ月に一回、参集して議論する。
そしてメッセージを発する。
しかし昨年度は渡米が重なり、
一度しか出席できなかった。
その間、ダイナムジャパンホールディングスと、
ニラク・ジー・シー・ホールディングスが、
香港株式市場に上場を果たした。
一定の成果が上がった。
そこで昨年度いっぱいで、
有識者懇談会の専門委員を辞することにした。
長い間、お世話になりました。
ありがとうございました。
商人舎magazineの、
daily商人舎ワールドニュース。
ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスによる
米国3位ライトエイド買収の噂と三占・複占
私の持論を、書き下ろしました。
読んでください。
さて、日経新聞コラム『大機小機』
タイトルは「デフレは終わった」
コラムニスト一直氏が注目するのは、
2014年10~12月期の国内総生産、
そのGDPデフレーターの数値。
これは国内生産ベースの物価を示すが、
その数値が1997年以来、17年ぶりに、
プラスに転じて1.7%上昇した。
だから「デフレは終わった」
ところが専門家や消費現場では、
「デフレ脱却いまだし」の空気。
黒田東彦日銀総裁の最近の発言も同様。
その理由は、消費者物価が、
原油安の影響で低迷しているからだ。
直近2月の消費者物価上昇率は、
生鮮食品除くと前年比2.0%。
消費増税の影響は2%。
だから消費者物価は、
ほぼ1年前と同じだった。
日銀の「異次元の金融緩和」は、
「消費者物価の前年比上昇率が
安定的に2%に達する」ことを目標にしている。
「1年前と同じ」という見立ては、
安定的な2%には達していないことになる。
コラムは指摘する。
「これをもって異次元緩和を
さらに加速させるようなことがあるとすれば
将来に禍根を残す恐れがある」
デフレが終わったから、
異次元緩和もやめろ。
そうしないと、
もっと恐ろしいことになるぞ、
との警告。
インフレターゲット政策の、
最も難しいところ。
さらにもう一つの理由。
「国民のインフレ期待の醸成には、
日常品の価格のみではなく、
企業向け製品の価格動向も、
きわめて重要だ」
BtoCの価格だけでなく、
BtoBの価格動向も重要。
黒田総裁の最近の発言。
「人々のインフレ予想が明確に上昇した」
つまり国民はインフレを期待している。
それがコラムニストの見方。
政府は3月の月例経済報告で、
景気判断を上方修正した。
理由は、生産や輸出が上向いているから。
したがって最後の問題は、
消費増税で冷え込んだ個人消費となる。
こちらの回復はまだ十分ではない。
私たち流通小売業が一番、
それを実感している。
コラムニストは、
主要企業の本格的なベースアップの実現が、
消費を活性化させると判断する。
「所得増加が消費増加につながる構図」が、
着実に出来上がってきているとするが、
構図は出来上がっても、
現場がそれに伴わねばならない。
結語は、
「20年近くに及んだデフレは
終焉しつつある」
しかし、しかし。
こちとらは花が咲こうが咲くまいが
〈小林一茶〉
大衆の財布の紐は、
そう理論通りに緩んではくれない。
ゆめゆめ油断はならない。
〈結城義晴〉