4月商人舎標語「世間良し、天も良し」とセブン&アイ一本足打法
横浜の桜は今日、満開。
商人舎のそばを流れる新田間川、
その遊歩道にも美しく咲き乱れる。
1日中、商人舎オフィスで、
月刊『商人舎』4月号の最終入稿と責了。
ランチは遊歩道脇の牛角で、
なぜかカルビ&ハラミ定食。
4月号の特集は、
「ネットスーパー! 移動スーパー!!」
面白くて、役に立って、
テレビなどでは表現できない、
経営雑誌らしい特集。
ご期待下さい。
その4月号の巻頭Message。
それが4月の商人舎標語でもある。
「世間良し、天も良し。」
買い手良し、
売り手良し、
世間良し。
近江商人の商売哲学にして、
世界商業の現代化原理。
「三方良し」。
リアル店舗のスーパーマーケットも、
ネットスーパーのイトーヨーカ堂も、
移動スーパーの「とくし丸」も。
あなた良し、
わたし良し、
天も良し。
こうでなくてはいけない。
商売の神様も仏様も、
解脱の手助けはしてくれない。
それが小売業の近代化の次に、
商業の現代化を果たすときにも、
貫徹すべき大原則である。
規模のメリットを追求し、
生産性の向上を追いかけ、
結果、行き詰まってしまった近代小売業。
ここまでは工業化すべきであり、
ここから先は工業化してはならない。
二つの性格を持った産業。
それが私たちの小売業、
私たちのチェーンストア、
私たちの消費産業。
リアル店舗小売業も、
ノンストアリテイリングも、
ネットスーパー、移動スーパーも。
買い手良し、
売り手良し、
世間良し。
あなた良し、
わたし良し、
天も良し。
〈結城義晴〉
今月のスローガンは、
「三方良し、天も良し」でいきましょう。
よろしく。
さて、商人舎公式ホームページ上段のテロップは、
提携している「流通ニュース」。
今日4月2日のニュースは、
各社の決算がズラリ。
今日の決算報告のセブン&アイ関連の、
タイトルだけ引き出してみる。
セブン&アイ/
新年度の売上高6%増の6.4兆円、
営業益8.6%増を予想。
セブン&アイ/
2015年2月期の売上高7.2%増の6兆389億円、
当期利益1.5%減。
セブン-イレブン/
2月期は売上高8.4%増、営業利益5.0%増。
イトーヨーカ堂/
2月期は売上高2.0%減、営業利益83.4%減。
そごう・西武/
2月期は売上高0.2%増、営業利益0.8%増。
ヨークベニマル/
2月期は売上高4.2.%増、営業利益0.8%増。
セブン&アイ・フード/
2月期は売上高3.1%増、営業利益80.3%減。
前期の決算で、
きちんとした増収増益はセブン-イレブンのみ。
ヨークベニマルは増収、微増益、
そごう西武は微増収微増益、つまりとんとん。
減収大減益がイトーヨーカ堂で、
フードシステムは増収減益。
業態別盛衰一覧表の如き、
セブン&アイの2014年度決算。
結果、セブン&アイ・ホールディングは、
売上高6兆389億4800万円で、
前年同期比7.2%増。
営業利益3433億3100万円で1.1%増、
経常利益3414億8400万円で0.7%増、
しかし当期利益1729億7900万円で1.5%減。
日経新聞の編集委員で、
流通専門家の田中陽さんは、
この現象を「一本足打法」と名付けた。
新年度はこの一本足のセブン-イレブンに加えて、
オムニチャネル戦略とセブン銀行を、
もう一本の足にする方向であるという。
「二本足打法」。
そのオムニチャネルの名称は、
セブンネットショッピング。
だから収益の柱は、
セブン-イレブン、
セブン・ネットショッピング、
セブン銀行、
つまりセブン・トリオとなる。
これは田中陽さんの見立て。
まあ、セブンの名称が付くのはもう一つ、
セブン&アイ・フードシステムズで、
この社長はわが友・大久保恒夫さん。
早いところ、
セブン・カルテットには、
なって欲しいところだ。
もちろん戸井和久社長のイトーヨーカ堂も、
真船幸夫新社長のヨークベニマルも、
松本隆社長のそごう西武も、
セブン・カルテットに負けず、
それぞれに増収増益を目指してほしい。
結城義晴流に言えば、
ムカデ打法だ。
特にイトーヨーカ堂は3月8日に、
ネットスーパーのダークストアを、
西日暮里に実験オープンさせた。
月刊『商人舎』4月号で、
丁寧に取材したが、
これは優れもの。
そしてこれもオムニチャネルの、
基幹システムとなる。
新しいビジネスモデルの構築に、
チャレンジしなければ、
成長はない。
これは火を見るよりも明らかなことだ。
しかし、
買い手良し、
売り手良し、
世間良し。
あなた良し、
わたし良し、
天も良し。
絶対に貫かねばならない。
〈結城義晴〉