結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年04月24日(金曜日)

イオン経営者候補研修開講式講演とドラッカーの「8つの習慣」

気持ちのいい4月下旬。
朝5時台に起き出して、
千葉県の海浜幕張へ。

イオンタワーアネックス。DSCN2217-5

JRの駅側から見ると、
その裏になるが、
これが本物のイオンタワー。
DSCN2219-5

4階の大ホールで、
イオン経営者候補研修開講式の講演。DSCN2221-5

要望されたテーマは、
イオンの価値を外部から評価すること。

前半の90分ほどは、
さまざまな角度からそれを話した。

創業者の岡田卓也さんが、
商業界のエルダーで、
倉本長治の愛弟子の一人。

だから倉本思想、商業界精神は、
イオンのDNAの一部となっている。

『岡田卓也の十章』という単行本は、
私が㈱商業界の社長を辞する時に、
編集部長の工藤澄人君と一緒につくった本。

岡田さんは「結城さんの著書にしてもいいよ」、
と言ってくださったが、
私は著者名を入れず、
発行者に名を残した。

この『岡田卓也の十章』についても語った。

グローバル500のランキングの中の、
イオンの位置づけについても語った。

そしてイオンのライバルは、
どの企業かについても語った。

それでも私は「経営者の条件」を是非とも、
レクチャーしなければならないと考えていた。
DSCN2228-5

従って後半の90分は、
21世紀のチェーンストア「経営者の条件」が、
テーマとなった。
DSCN2230-4
このことも、存分に語った。

180分でも足りなかった。
もっともっと語りたかった。

経営者候補の研修会は、
このあと、1年間続けられる。

そこにイオンの全グループから、
230人が選抜され、参集した。

実は、これがイオンの強みであると思う。

毎年毎年、200人を超える経営者候補を、
集めて教育し、討議させて、
「経験の共有」を施す。

もちろん多くの会社をつくり、
そこで経営者の実務経験を積ませる。

日本を代表する小売企業のあり方であろう。

では、それ以外の企業はどうするか。

店長教育も、バイヤー教育も、チーフ教育も、
必要であることは論を待たない。

しかしそれらの役割の人々を、
リードする経営者教育こそ、
多くの企業に求められる必須のテーマだ。

地方企業は、帝王教育もいいだろう。
スカウト人事も必要だろう。

一定以上の教育を施し、
経験を積ませたら、
トップマネジメントに関しては、
あとは振り落としの選抜しかない。
厳しい選抜方式こそが、
最後のトップマネジメントを決める。

トップマネジメントの養成は、
実はこの方法しかない。

計画的にトップを、
製造し、育成していくことはできない。

だからできるだけ多くの経営者候補に、
教育を施し、体験させ、
その上で厳しく選抜する。

厳しく選抜せねば、
周りの者や会社全体が、
えらく大きな迷惑を被る。

ただし、勘違いしてはならない。
ドラッカーは『経営者の条件』の中で、
強調する。

「これまで会ったCEOのほとんどが、
いわゆるリーダータイプではない人だった。
彼らが成果をあげたのは、
8つのことを習慣化していたからだった」

『経営者の条件』の読書は、
今日の講義では、宿題にした。
自分で読んで考えるように要請した。

自分で考えることこそ、
一番、身につくからだ。

しかしこのブログで、
簡単にダイジェストだけはしておこう。

「経営者として成果を上げるには、
特別の気質も能力もいらない。
8つのことを身につければよい」

もちろん「インテグリティは必須」だけれど。

第一に、なされるべきことを考える。
顧客のため、従業員のため、社会のために、
なされるべきことを考える。
未来のために今、なされるべきことを考える。

第二に、組織のことを考える。
ステークホルダーのことを考える姿勢も大事だ。
しかし彼らのことを考える前に、
社会の公器としての組織のことを、
考えなければならない。

組織をつくり、動かさねばならない。

第三に、目標を定め、
アクションプランをつくる。

経営とは、行動することだ。
経営者とは、行動する者である。

そのためには、まず目標を定め、
計画しなければならない。

しかし、状況が変化すれば、
ただちにそれを変更していく。

第四に、意思決定を行なう。
もちろん、意思決定は、
定期的に見直していく必要がある。

第五に、コミュニケーションを行う。
これに関しては今日、
丁寧に説明した。

経営者は、動機づけし、
コミュニケーションする。

第六に、機会に焦点を合わせる。
問題の処理や対処が成果をもたらすわけではない。
根本的に、機会こそが成果をもたらす。
そのことを知らねばならない。

第七に、会議の生産性を上げることである。
ただ会議に出るだけでは、仕事はできない。
会議の生産性を上げ、人の強みを生かすことだ。

第八に、「私は」ではなく、
「われわれは」を考えることである。
これも組織の強みを生かすためである。

ドラッカーは説く。
「成果をあげるには、
性格、強み、弱み、価値観、信条は、
いかようであってもよい。
なされるべきことをなすだけでよい」

しかし「なされるべきことをなす」にあたって、
トップマネジメントは厳しく選抜される。

「成果をあげることは、習慣である。
したがって、他の習慣と同じように、
身につけることのできるものである」
ドラッカーは優しい。

「そして身につけなければならないものである」
ドラッカーは厳しい。

つまりドラッカーは厳しくも、優しい。
それがドラッカーである。

〈結城義晴〉


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