ダラス9店舗を巡ってポジショニング戦略の「有無と差異」を学ぶ
商人舎magazineの、
今日のDaily商人舎。
4月の日本チェーンストア協会の販売統計も、
フランチャイズチェーン協会のコンビニ統計も、
13カ月ぶりに前年同月を上回った。
これは目出度い。
「売上げは全てを癒す」
故中内功さんの言葉だと記憶する。
私はテキサス州ダラス。
平和堂2015アメリカ研修。
佳境に入ってきた。
今日は9店舗駆け巡り。
そしてポジショニング戦略を学ぶ。
『小売業・サービス業のポジショニング戦略』は、
結城義晴のオリジナル理論。
といっても様々な先行理論を整理し、
それを小売サービス業に当てはめて、
戦略立案に適用できるレベルまで、
落とし込んで、わかりやすくした実務理論。
その戦略の有無、
その戦略の差異。
まずはテキサスの雄HEBへ。
リニューアルオープンしたばかりの、
HEBプラス。
非食品強化型で、なおかつ、
ウォルマート対策型フォーマット。
右手に強力で広大な青果部門。
それからシーフード・ミート部門へ。
左手が乳製品部門。
このあたりのペリシャブルスが、
ウォルマートを圧倒する。
エブリデーロープライスが基本。
その牛乳売り場。
常時1ガロン1ドル47セント。
1ガロンは3.8リットルだから、
1リットル38.7円。
非食品強化の目玉は、
このエンターテインメント。
これもウォルマートを凌ぐ。
ウォルマートにかなわない部門は、
非食品強化といえども、扱わない。
そしてレジサービスが秀逸。
若い男女のパートタイマーを動員して、
キビキビと対応する。
HEB、やはりすごい。
フーディーズのマルチーナさんに、
店内ツアーをしてもらった。
44人なので二手に分かれて、
二度のツアー。
ワンウェイコントロールの店舗なので、
それが一番いい。
そして改装でお目見えした、
新しいカテゴリー、新しいアイテム。
「Meals in Minutes」
日本語にすれば流行りの「即食」か。
グロサリーでも、
世界中から珍しい商品を集めてくる。
新しいアイテムを探すには、
多数の腕利きが、
その仕事に専念して、
集中的に継続しなければいけない。
それこそバイヤーの仕事だ。
都合よく、ネットなどで探してきても、
それは実は万人の知るものなのだ。
それは我が社のロットに、
合うかどうかわからない。
我が店のコンセプトに、
合うかどうかわからない。
チーズ売り場、ベーカリー、
サービスデリと回って、最後は花売り場。
マルチーナさんに感謝。
HEBは、
基本フォーマットのフード&ドラッグを中心に、
HEBプラスとセントラルマーケットで、
マルチフォーマット戦略を採用する。
それがドミナントエリアで、
高占拠率を獲得する手段である。
言わずと知れた世界最高峰の、
オーガニック&ナチュラルスーパーマーケット。
一丁目一番地には、旬のチェリー。
チラシトップに掲げられている。
カットフルーツは、
これまた最高峰。
この値付けにノウハウがある。
商人舎ベーシックコースの調査班が、
鮮明に示してくれた。
そしてこの夏を告げるエンドの美しさ。
来週月曜日がメモリアルデー。
それはアメリカの夏の到来を意味する。
ミートのチームメンバーが、
丁寧に丁寧にスライスしてくれた。
そして計量。
夜の大試食会で、
五十嵐ゆう子さんの手によるメニューが登場。
大人気だった。
ホールフーズの売れ筋だけ、
プライベートブランドで開発し、
低価格絞込み戦略で売りまくる。
そしてホールフーズマーケット、
トレーダー・ジョーとくれば、今では、
次はスプラウツファーマーズマーケット。
ホールフーズよりも、
カジュアルで低価格。
トレーダー・ジョーよりも、
圧倒的に生鮮食品、とくに青果が強い。
そこにポジションを得た。
バルク売り場もホールフーズより、
カジュアルで低価。
一昨年の株式上場以来、
客層も広がって、絶好調。
ポジショニング戦略を理解するときに、
カギを握る企業だ。
セントラルマーケット、
ホールフーズ、
トレーダー・ジョー、
そしてスプラウツ。
この一群と対極をなすポジション。
1万平方フィート(281坪)の小型店。
ハードなディスカウント。
つまりウォルマートよりも安い。
ドイツ生まれのこのフォーマットは、
ヨーロッパを荒らし回り、
今、アメリカでもウォルマートの、
目の上のたんこぶ。
ウォルマートは、
目の上に、ずいぶん、
たくさんのたんこぶをこしらえている。
アマゾン・ドット・コム、
ダラーゼネラル、
ウィンコフーズ、
そしてアルディ。
そのアルディに、
イノベーション。
主通路沿いにも登場してきた。
つまり売り切れ御免のハードライン。
しかしたんこぶをつくりつつも、
ウォルマートは、
ネイバーフッドマーケットで対抗。
鮮度は格段に良くなり、
惣菜が進化し、
コモディティ・ディスカウントでは、
アメリカの王者。
品揃え、コンビニエンス性で、
アルディとは異なるポジション。
いかがだろう。
ポジショニングの差異。
相変わらず「バイ1・ゲット1フリー」、
さらに「ゲット2フリー」。
1個買ったら1個タダ、
それが2個タダにエスカレート。
昔風のディスプレイは、
相変わらず続けている。
いい立地のショッピングセンター出店で、
適正規模の店、
商品構成もかつての適正、
床はピカピカ。
しかし顧客は来ない。
ポジショニング戦略、皆無。
セーフウェイと統合して、
全米第2位のスーパーマーケット企業となった。
しかしそれは明らかな「膨張」だ。
FORTUNE「働きたい企業ランキング」、
2015年度は54位のコンビニ。
ホールフーズが55位。
アメリカのセブン-イレブンが、
ずっとベンチマークしてきた。
何よりもフレンドリー、
新しい提案に満ち溢れ、
クランリネス、欠品なし。
レジの横にはセブンの5倍くらいのグリル。
熱々のホットドックを顧客が自分でつくる。
以上9店舗を巡って、
ポジショニング戦略を学んだ。
私も語り通して満足。
ご清聴、感謝。
(つづきます)
〈結城義晴〉