日本とニューヨーク・ダラスの最新「ミライ・サラダ・カンパニー」
梅雨前線異常あり。
日本列島の南に居座って、
九州南部は記録的な雨量。
関東では雷を伴った局地的豪雨。
気象庁は大雨への警戒を喚起する。
一方、日本のプロ野球。
史上初めてセントラルリーグが、
全チーム負け越しの異常。
セ・リーグは巨人、阪神が属す人気リーグ。
人気のセ、実力のパ。
そう言われ続けているが、
「0強6弱」とも揶揄される。
なぜ、そんなことが起こったのか。
セ・リーグとパ・リーグに分かれて、
ペナントレースを争い、
その優勝チームが日本シリーズで、
日本一を競う。
それが2005年から、
新しい試みによって変わった。
シーズン途中で、両リーグの全チームが、
互いに総当りで交流公式戦を戦う。
これは実に面白い企画で、
私も大賛成。
もう、11年目に入る。
しかし今年の春の交流戦は、
セ・リーグの44勝61敗3分け。
パ・リーグに大きく負け越した。
この負け越しが響いた上に、
セ・リーグは首位から5位まで、
0.5ゲーム差。
そこで異常事態。
面白いけれど、
「実力のパ、人気のセ」が根本原因。
私は生涯西鉄ライオンズファン。
異常事態も痛快な気分だ。
さて商売の世界では、
百貨店の中元商戦も折り返し。
日経新聞が大手5社に取材した。
高島屋の中元商戦は、
5月にスタートして6月29日時点で、
前年同期比1%増。
大丸松坂屋百貨店は前年比0.2%増。
そごう・西武も数%の伸び。
三越伊勢丹ホールディングス、
売上げは前年比プラスで推移。
阪急阪神百貨店の店頭売上げ、
前年比数%増で推移。
こう並べると大した取材ではないが、
いずれも前年微増。
ただし、中身にはちょっと異変。
高島屋はネット通販の中元品が15%増。
大丸松坂屋百貨店のネット通販も前年比7.8%増。
各社、ネット通販に工夫がある。
高島屋は専用アプリのサービスを開始した。
顧客がスマホのカメラを、
カタログにかざすだけで、
希望の商品をネット通販で注文できる。
大丸松坂屋はネットで早めに注文すると、
割引されるサービスを導入。
しかしネットの伸びがなかったら、
多分、ダウントレンド。
外国人訪日客のインバウンド消費に、
大いに支えられ、
これが異常売上げを作り出す。
ただし異常現象はすぐに、
日常現象となってしまうけれど。
さて日経新聞『企業・消費』欄、
「トレンドサーチ」は時々、
いい情報を提供してくれる。
今日は、サラダ専門店。
クリスプ・サラダワークスと、
サラディッシュ。
どちらもサラダをメインディッシュにして、
それを食べさせる外食サービス。
野菜、チーズ、チキンなど多様な食材と、
ドレッシングを注文通りに組み合わせて、
顧客の目の前で作って提供する。
クリスプでは、野菜を中心に、
雑穀米、自家製のハム、クルトンなど
約30種類の食材が並ぶ。
スタッフが半月状の特殊なナイフを
使って顧客の好みの大きさに切る。
オープンは昨年12月。
価格は860円から。
スーパーマーケットはもちろん、
コンビニやファミレスよりも高い。
しかし、開業後、毎月、
売上げは伸びて、
1日400食以上の日が多い。
宮野浩史社長は
「ニューヨークで見て、
日本でも支持されると思った」。
サラディッシュは、
今年5月に3号店をオープン。
多様な食材と12種類のドレッシング。
それをトルティーヤで包む。
トルティーヤはメキシコ料理だが、
トウモロコシの粉を焼いて作る。
平均カロリーは300キロカロリー以下で、
アメリカでも人気。
それでサラダを包む。
小林英之社長は語る。
「サラダをメーンディッシュに」。
しかしこれはアメリカではもう、
サービス&クォリティ型スーパーマーケットの、
必須の売り方。
ニューヨークのホールフーズ。
顧客が選んだ材料を混ぜて、
音を立てて美味しいサラダを作ってくれる。
やはり世界最新のトレンドは、
ニューヨークにある。
それからダラスのイーチーズ。
かつて一世を風靡したデリ専門店。
日本のクリスプ・サラダワークスや、
サラダディッシュの原点はここにある。
顧客は自分で選んで注文する。
それをカットして、ボールに入れて混ぜて、
オリジナルサラダを作ってくれる。
ロック・フィールド会長の岩田弘三さんは、
「ミライ・サラダ・カンパニー」を標榜する。
詳細は月刊『商人舎』7月号で報告するが、
21世紀の消費者のニーズを、
全て盛り込むと、サラダになるし、
この売り方になる。
私は今、ホテル日航成田。
明日、アメリカに発つ。
目的地はダラスとニューヨーク。
全米小売業の競争構造と、
世界最新のトレンドを学びに。
〈結城義晴〉