国民の生活向上と第7回商人舎ミドルマネジメント研修会
日経新聞の2015夏のボーナス調査。
34業種のうち22業種で前年を上回った。
全体の伸び率は2014年夏が9.06%増だった。
今年は昨年には及ばず、2.11%増。
製造業は昨年の夏に比べて、
461社の平均が2.49%増で85万9306円、
非製造業は155社で、
0.99%増の66万7430円。
食品製造業は29社1.37%増、
68万1916円。
百貨店・スーパー14社は5.74%、
53万2044円。
総額も伸び率も、製造業が上。
アベノミクス効果があるといっても、
まだまだ製造業主体の、
重厚長大の社会ではある。
ポール・クルーグマン教授。
ノーベル経済学賞受賞の米国学者。
「サービス産業の生産性が上がらねば、
国民の生活は向上しない」
そのとおり。
製造業の賃金やボーナスも上がって欲しい。
そしてそれを上回るほどに小売サービス業も、
待遇や収入を上げねばならない。
そうしなければ、
本当の意味での商業基幹産業化など、
成し遂げられない。
言葉や心意気では、
商業の現代化と基幹産業化を言っても、
権力を握る者たちの意識の奥底には、
依然として「富国強兵」が残っているようだ。
明日、政府与党は、
衆議院で安全保障法案を可決する。
自民党の中からも、石破茂は、
「国民の理解が進んだとは言えない」と、
声を上げた。
この法案が通れば、
確かに重厚長大産業は潤う。
国家の安全保障と、
国民の生活向上。
秤にかけられるものではないが、
我々は国民生活を担当する側として、
是々非々で判断しなければならない。
さて今朝は、9時16分発のこだまで、
新横浜から熱海へ。
商人舎ミドルマネジメント研修会、
第7回目が湯河原で開催される。
熱海から135号線を通ると、
快晴の相模湾に、初島が浮かんで見える。
会場は川沿いのニューウェルシティ湯河原。
大きな看板が迎えてくれる。
広くて、天井が高くて、
設備も最新。
快適に学習できる。
冒頭のテーマは、
商業現代化・基幹産業化と、
知識商人の役割。
倉本長治の商売十訓、
ピーター・ドラッカーが重視した三つの概念、
そして世界小売業の歴史を解説。
知識商人として、
身に着けておかねばならない
基本と原則をまず、語った。
受講生は、
北の青森から南の長崎まで、
総勢91名が参集してくれた。
真剣にメモを取り、
真摯に聴講してくれた。
2時間2講座の冒頭講義は、
力が入った。
52週マーチャンダイジングの提唱者にして、
もちろんその第一人者。
鈴木さんは16時から20時まで、
3講座を担当してくれた。
現場主義だから講義も、
極めて実践的。
講義の合間に、
コーヒータイム。
疲れた脳を休めてもらうために、
菓子を用意。
今日は、英国テスコのPBを試食してもらった。
NBのマクビティビスケットと、
レギュラーPBの味比べ。
一番左は、テスコ・エブリデーバリュー。
最低価のコンペティティブブランド。
0.25ポンド(£)、47円。
激安だけれどジンジャー味が、
意外においしい。
大観の間のホワイエは、
ゆったりくつろげる。
受講生たちにとって、
休憩時間の憩いは大切。
鈴木さんのテーマは、
52週MDに続き、
プロモーションとストアコンパリゾン。
ホワイトボードに自ら、
ストアコンパリゾンの意味を書き記し、
丁寧に解説してくれる。
鈴木さんには3時間、
存分に語っていただいた。
短いくらいだった。
心より感謝。
そして午後8時、夕食会場には、
明日の講師・白部和孝さんも加わり、
三人で交流。
明日もまた、
充実の講義が続く。
商人舎自慢の講座ばかり。
明日は、朝から、
ミドルマネジメント研修会恒例の
理解度テストが行われる。
だから会場には、
夕食を終えた受講生がテキストを抱え、
次々にやってくる。
もう一つの自習室、瑞蘭の間。
こちらにも受講生がやってきた。
そして大観の間に戻ると、
これだけの受講生が自主的に、
今日の復習をしている。
毎回、この姿を見ると、
胸が熱くなる。
明日の理解度テスト。
マルバツ式でも、
選択問題でもない。
書き込み式。
多くが、自分の言葉で、
表現する問題。
重要な言葉は、
正解を書いてもらう。
脱グライダー商人を養成するのが、
このミドルマネジメント研修の目的だから。
「国家の安全保障と、
国民の生活向上について論ぜよ」
などといった問題は出ません。
出したい気もするけれど。
健闘を祈る。
(つづきます)
〈結城義晴〉