結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年09月17日(木曜日)

パスカルの「正義・力」とイオン・イトーヨーカ堂・ユニー

安全保障関連法案、
参議院特別委員会で可決。

政府与党は、
明日の参議院本会議で採決の方向。

なんとしてもシルバーウィークに、
持ち越したくはない。

国会周辺に象徴される反対運動が、
連休中に全国的に盛り上がることを、
ひどく恐れている。

それだけ、国会の外の動きが、
効果を発揮していることになる。

私はこの件も含めて、
政治的な見解ははっきりと表明しない。

それを主義としてきた。

しかし私の考え方の根幹にあることは、
「損得より先に善悪を考えよう」

そう、『商売十訓』の第一訓。

ここで一番難しいのは、
「善悪」は所によって異なること。
「正義」は時代とともに変化すること。
「真理」は人によって考え方が違うこと。

ブレーズ・パスカルは『パンセ』に書いている。
「緯度が三度違っただけで
法解釈がすべて覆ることもあるし、
子午線一本が真理を決定することもある」

「ピレネー山脈のこちら側での真理が、
あちら側では誤謬となるのだ」
〈断章249〉

「流行は、
楽しみをつくるのと同様に、
正義もつくる」
〈断章309〉

そしてちょっと長いが〈断章298〉。
「正しいものに人が従うのは正しいことで、
一番力の強いものに人が従うのは
必然的なことである」

「力のない正義は無力である。
正義のない力は暴君的である」

「力のない正義は反対される。
なぜなら、いつの時代でも
悪人というものはいるからだ。
正義のない力は非難される。
したがって、正義と力は、
一緒にしておかなければならない」

「そのためには、
正しいものが強いか、
力のあるものが正しいか、
どちらかでなければならない」

「正義は論議の的になる。
力は見てすぐにわかるから、
論議する必要はない」

「このように、正義に
力を与えることはできなかった。
力は正義に文句を言い、
正義は正しくないと言ったからだ」

「そして、力は、
正しいのは自分だと言った」

「そこで、正しいものを、
力のあるものにできなかったので、
力のあるものを
正義ということにしたのである」

かつての自民党とかつての社会党。
いまの自民党といまの民主党。

その憲法論議。
国会前の大衆。

「正しいものは強い」と言い切るのは、
若すぎるし、早計だ。

パスカルが視通したように、
「力のあるものが正しい」
でなければならない。

残念ながら、そんなケースは、
歴史的にもまれである。

さてDaily商人舎。
昨日はイオンのニュース。
「障害者雇用に関する受賞」

今日はイトーヨーカ堂のニュース。
都市型店舗「食品館」9号店出店

チェーンストア業界第3位のユニーグループ。
日経新聞『企業・消費』欄に、
「総合スーパー最大50店閉鎖」の記事。

しかしユニーはホームページで、
この記事を否定している。

「本日、一部の報道機関において、
株式会社ファミリーマートとの経営統合に向け、
総合スーパー事業の抜本的な見直し
についての報道がなされておりますが、
これは当社が発表したものではございません」

「当社と株式会社ファミリーマートは、
対等の精神に則り、統合検討委員会を中心として、
経営統合に向けた協議を進めております。
その中で、総合スーパー事業及び
コンビニエンスストア事業の
統合後の事業計画を策定中であり、
不採算店舗の閉鎖を含め、
検討を進めておりますが、
決定した事実はございません」

日経の記事は、
「不振の総合スーパー(GMS)事業の
改革に乗り出す。
店舗閉鎖のほか、
苦戦する衣料品売場の縮小を進める」
このあたりの政策的な方向性は、
日経記者の取材で明らかになったこと。

「『ピアゴ』と『アピタ』の店名で
約230店のGMSを運営している。
ただ衣料品専門店などの台頭で、
GMSは業界全般が苦戦しており、
ユニー単体の2015年2月期の営業利益は
前の期に比べ14%減少した」
この部分は事実の列挙。

ファミマとの統合交渉で、
基本合意が延期になった理由は、
「店舗リストラをどこまで進めるかなど、
両社の考えに隔たりがあったこと」
これも立ち話程度の取材で分かる。

そこで「ユニーは全体の1~2割程度、
最大で50店舗程度を
閉鎖する方向で検討に入った」
これは匿名にしろ、
コメントをとったはず。
「1~2割程度」のコメントを、
「最大50店」と見出しに使った。

ユニー・グループ広報が、
この点を「決定していない」と否定した。

「収益改善が難しく、
土地や建物などの契約期限が
切れる店舗が中心だ」
これもある程度常識。

「ただ人員削減はせず、
店舗網の縮小は最小限にとどめる」
これはれっきとした政策だから、
コメントをとったのだろう。

つまりユニー幹部の誰かが、
日経記者に喋った内容が出てしまった。

「苦戦する衣料品や住居関連売り場では
テナントを導入して売り場効率を高める」
これも誘導尋問をして、
「うん」と言ってもらえば、
書ける内容で常識的だ。

とどのつまり、
この記事はほぼ正しい。

先週金曜日9月11日の日経新聞。
イオン、総合スーパーにセレクト店」
ユニーと同じような趣旨の記事だが、
こちらの「セレクト店」は、
月刊『商人舎』2月号で取り上げた。
特集:イオンスタイルを半裸にする

この特集の中のFT 吉川美南店」記事。
1FT

2013年11月に単独出店し、
運営ノウハウを蓄えてきたが、
それを18日、改装開業する
イオンスタイル湘南茅ケ崎の2階に導入。

約4800㎡の売り場面積、
雑貨や靴な ど160ブランドの1万6000品目。
「トラッド」「フェミニン」などの嗜好別に、
衣料品や雑貨を展開。

1号店で消費者の要望や不満を聞き取り、
売り場構成や商品の仕入れに反映させた。
その結果、今年3~8月の売上高は、
前年同期比で25%の伸び。

プロジェクトリーダーの木下尚久さん、
頑張った。
32ft
FT湘南茅ヶ崎の客単価は約5000円。
売上高は改装前の5割増が目安。

イトーヨーカ堂は、
都市型スーパーマーケットを志向する。

イオンリテールは、
イオンスタイルを模索し、
非食品はFT実験を進める。

ユニーグループは、
最大50店の閉鎖。

実務の世界では、
成果が上がるものが正しい。

これはあれこれと迷わずに済むし、
パスカルの思考と似ている。

〈結城義晴〉


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