イオン、ユニー上期決算とヤクルト真中満のような監督
浅い眠りから目が覚めて、
淡路島から瀬戸内海を臨む。
美しい。
ウェスティンホテル淡路9階の部屋。
ホテル内のオブジェや家具なども、斬新だ。
しかも初秋の陽光が燦々と降り注ぐ。
ホテルと明石海峡公園。
瀬戸内の陽光が海に反射する。
そして世界最長のつり橋。
明石海峡大橋。
新神戸から山陽新幹線・東海道新幹線。
東京駅で乗り換えて、
今度は東北新幹線。
そして1時間。
宇都宮を超えて、
田園風景が続く。
ほぼ半分くらい、稲刈りは終っている。
そして那須塩原駅。
駅前には、那須野巻狩の横断幕。
そして車で40分。
着きました二期倶楽部。
私の部屋はここ。
今日もいい天気だった。
那須の空も美しい。
部屋は完全個室。
このデスクで仕事します。
今日も瀬戸内海の淡路島から、
那須塩原まで、大移動。
それでも秋の日本を満喫。
ありがたい。
さてプロ野球セントラルリーグ。
東京ヤクルトスワローズが、
14年ぶりのリーグ優勝。
7度目だという。
だから前回優勝は2001年。
このとき21世紀に入って、
球団6度目の優勝だった。
監督はあの安打製造機・若松勉。
初優勝は1978年、
広岡達朗監督のとき。
広岡がこの、球団創設以来、
覇気がなかったチームを蘇らせた。
そしてあとの4回の優勝は1990年代。
92年、93年の連覇と、
95年、97年。
バブルが崩壊し、
日本経済が斜めに下がっていくとき、
野村克也監督の頭脳野球・ID野球が花開いて、
強豪チームとなった。
今回は、2年連続最下位から、
突然の優勝。
44歳の真中満監督、
その手腕に負うところが大きい。
選手として入団した1年目の1992年に、
当時の野村監督から言われた。
「常に監督になるつもりで野球を見ろ」
それを「現役時代から心がけた」
2008年に引退し、
2009年からスワローズ二軍打撃コーチ。
2011年、二軍監督に就任し、
2013年、イースタンリーグ優勝。
そして今年、一軍監督に就任して、
見事、優勝。
選手の指導は「コーチにまかせっきり」。
本人はどっしりと落ち着いて、
選手を見回す。
つまりコーチ、選手を活かす采配。
ピーター・ドラッカー。
「マネジメントとは、
人の強みを活かすこと」
前年最下位からの優勝。
90年代の強い野村スワローズが、
生み出した成果だと思う。
さて日経新聞の上場企業の上半期決算。
再びみたび、予測報道。
つまり「らしい」「のようだ」記事。
「イオンの2015年3~8月期は、
本業のもうけを示す連結営業利益が
720億円程度になったもようだ」
営業利益は、粗利益から経費を引いた本業の儲け。
それが前年同期比で約7割の増益。
「売上高にあたる営業収益は
約4兆円と2割増えたとみられる」
2割増は凄いことだが、
これは、3月に、
ユナイテッド・スーパーマーケットHDを、
発足させ、連結子会社にしたため。
マルエツ、カスミ、
マックスバリュ関東の統合企業。
通期では、単純足し算で年商8兆円か。
このユナイテッドをはじめ、
全国のマックスバリュ各社が収益に貢献。
コモディティは規模のメリットを活かし、
ノンコモディティは地域企業ごと、
地域カンパニーごと、
そして場合によっては店舗ごとに、
自ら仕入れて、自ら売る。
世界最大企業のウォルマートにも、
いい標語がある。
Eat what you cook!
直訳は、「自分で料理したものを食え」。
意訳はこうなる。
「自分で手当てした商品を、
自分で売り切れ」
52兆円の巨大企業が、
そのスケールをメリットにするためには、
Eat what you cook!
イオンはそれをやり始めた。
傘下のダイエーも、
総合スーパーから食品スーパーへ、
業態転換を進めた。
問題は総合スーパーのイオンリテール。
「店舗改装費用が重荷で
営業赤字だったようだ」
ただし、販売員を売り場に的確に配置して、
機会損失を減らした。
その結果、「6月以降は改善傾向にある」
一方、ユニーグループ・ホールディングス。
こちらは佐古則男社長の記者会見。
売上高は5107億3000万円で、
前年同期比1.8%。
しかし営業利益は103億2600万円で9.9%減、
経常利益は102億8000万円で8.4%マイナス。
そして特別損失は、
減損損失79億8500万円。
当期損失2億7800万円。
総合スーパーの売上高は、
3893億9900万円で前年比3.2%増だが、
営業利益24億2200万円の33.6%減で、
増収減益。
ただし、今後、約50店を閉鎖して、
減収となるし、おそらく減益ともなろう。
それでも減益の幅を減らし、
あるいは微増益にでもして、
収益体質を改善する。
それが総合スーパー蘇生の方針。
コンビニは売上高770億9700万円の1.0%増だが、
営業利益49億 600万円で19.6%減。
こちらも増収減益。
サークルKサンクスの総店舗数は6358で、
既存店売上高は前年同期比1.2%ダウン。
上位3社が既存店売上げを伸ばしているから、
コンビニ業態の環境が悪いわけではない。
ファミリーマートとの経営統合は、
予定通り進んでいる模様。
だとすると、統合後、
ファミリーマートの足を引っ張らないために、
売上げや店舗数は減っても、
収益性を上げ、利益面だけは、
わずかでも足し算に、
貢献しなければならない。
それが今のユニーグループの至上命題だ。
イオンとユニーグループの上期決算。
明暗と評したらいいだろうか。
どちらもスワローズの真中満のような、
「人の強みを活かすマネジメント」を、
実現させようとしているのだろうか。
小売業であるから、
ユニーにもスワローズのような、
短期逆転の可能性がある。
問題はユニーに、
真中のような人間がいるか。
「常に監督になるつもりで会社を見る」人間、
「全盛期を知る」人間。
「人の強みを活かす」人間。
そしてそんな人間を今後、
トップに抜擢するのか。
希望があることだけは、
指摘しておこう。
艱難が忍耐を生み出し、
忍耐が練達を生み出し、
練達が希望を生み出す。
この希望は失望に終わることがない。
(新約聖書・ローマ人への手紙5章)
〈結城義晴〉